ザコ≧勇者 ザコにはザコの闘い方1
side 功才
魔石が写した惨状を見て会議は無言のまま終了した。
死を恐れないリビングデッド化したサン・エルフの脅威。
それを突破出来ても魔法を無効化したり瞬時に傷を回復してしまう勇者パーティのチートさ。
勇者のチャームがあるから近づき過ぎるのも危険だ。
レクレールがルーンランドに来るまで後3日。
やってやるか…レクレールを倒さなきゃオーディヌスは地獄になる。
「メリー、俺がどんな卑怯で汚い事をしても嫌いにならない?」
「コウサ、怒るよ。浮気をしなきゃメリーがコウサを嫌いになる筈ないでしょ!!」
頬を膨らませて見せるメリー。
「ガーグさん、次の会議の時に各国に勇者パーティまでの道を作ってもらえる様にお願いしてもらえますか?イントルさん、ルーンランドの魔法研究室に…を作ってもらえるか聞いて下さい。メリーとセシリーさんは…を大量に集めて。ハンナさんはヘイムランドに…を作れるか聞いてみて下さい。俺はヤ・ツーレ所長にもう一仕込みお願いして来ます」
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幸いな事に各国は快く協力してくれた。
まあ、主戦力を残してるのはエルフィンだけってのもあるけど。
「ザイツ、お前の悪知恵で何とかなりそうか?ルーンランドの奴等を倒せるんだよな」
流石にガーグさんも不安らしい。
…正直、俺も不安なんだけど、ここでそれを見せる訳にはいかない。
「ただ、倒すんじゃ駄目なんですよ。レクレールの信仰心を壊さなきゃ駄目なんです」
「下手に倒せば復讐心に凝り固まってまた同じ事を繰り返すだけですからね」
溜め息を吐きながらイントルさんが頷いてくれた。
「でも大丈夫なんだよね、コウサ」
メリーが意味ありげに俺を見つめてくる。
「そっ、細工は流々」
俺はわざと一息おく。
「「「後は仕上げをご覧じろ」」」
ガーグ冒険者隊の声がルーンランドに響いた。
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予想通りレクレールの先陣は南エルフの女性と子供で編成されている。
「それじゃヤ・ツーレさんは予定の場所に来たら魔方陣を発動させて下さい」
ちなみに俺達ははヘイムランド製のリヤカーに乗っている。
今回の用意した道具は大量の鳥もちにレクレールに作ってもらったマジックアイテム。
怖えー、生気もなくやつれたサン・エルフが集団で迫ってくる姿はヤバすぎ。
「来ました、魔方陣発動!!デュクセンの弓隊は構えて下さい」
ヤ・ツーレさんの合図でチャーム無効化、恐怖の効果がある魔方陣が発動。
サン・エルフの人達の顔が青ざめる。
そりゃそうだろう、気付いたら見知らぬ土地で兵隊から弓を向けられてるんだから。
「弓隊、射てっ!!」
シャイン様の号令が響く。
弓隊な皆さんには予め足元だけを狙う様にお願いしてある。
サン・エルフの女性と子供は蜘蛛の子を散らす様に壁へと逃げ出した。
「続いて結界発動」
壁を囲む様にして結界が発動して逃げ込んだ人を閉じ込める。
「勇者が何かを唱えてます…来ますっ!!」
視力の優れてるイントルさんが叫んだ次の瞬間、ルーンランドを黒い壁が取り囲んだ。
「チャーム対策の結界発動しました」
「ザイツ殿、露払いは私達に任せて下さい」
シャイン様はそう言うと馬に股がった。
「コウサ君、どんな作戦を思い付いたのか楽しみにしてるよ。デュクセン乙女騎士団、僕に続け!!」
ミントの号令にじ騎士が応じる。
デュクセン騎士団が突撃するとサン・エルフの集団に楔が打たれて真っ二つに割れた。
予定では後2、3話で終わります
なんとか完成できそう