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ザコ≧勇者  ザコの決意

今年も一年ありがとうございました

Side 功才


 俺とメリーは山田さんが用意してくれた倉庫で財津英才が来るのを待っていた。


「さあ、米を持ってきましたよ。功才君」

財津英才が久しぶりに笑顔を見せてるのは今日から俺を他人扱い出来るからだろう。


「こちらもルビーは用意してます。これをどうぞ」

財津英才はルビーを手に入れて安心したのかますます笑顔に…認めたくないが俺は、この人間の血を引いてると嫌でも実感してしまう。


「ありがとうございます。これが例の書類ですのできちんと書名して下さい」

例の書類、遺産放棄の書類か。


「小心者で自己保身が得意。あんたといると鏡を見ている様でムカつくんすよ

。書類なんていくらでも書いてやるよ…戸籍なら死亡扱いにしても結構。ただし覚えておくんすね、あんたの言動は何時でもマスコミにリーク出来る様にしてあるっすよ。不思議に思わなかったんすか?突然必要になったルビーを行方不明の息子が偶然持ってるなんて。あっ、この財産放棄の書類はコピーさせてもらうっすからね…シールドボール!!」

山田さんの組織には芸能関係者もいるそうだ。


「貴様、育ててやった恩を仇で返すのか?」


「恩を仇で返したのはあんたも一緒でしょ?爺ちゃんに散々迷惑を掛けた癖に子育てが落ち着くと田舎に追い返したんすから。それに俺とあんたはもう他人なんすよ。まっ、精々若手に抜かれない様にするんすね」

いくら怒ろうがシールドボールからは俺以外は書類を取り出せないんだし。

俺はシールドボールをメリーに手渡す。


「功才、俺が悪かった。どうすれば考え直してくれるだ?金か?」


「俺が出す条件は1つだけっす。俺の大切な姉妹をあんたのエゴで無理矢理結婚させない事。それだけっすよ」

もう少ししたらメリーからコピー機の前に着いたって以心伝心が届くだろう。

そうしたら俺は日本人財津功才じゃなくオーディヌスの財津功才になる。


―――――――――――――――――


 倉庫の中には米袋がうず高く積まれている。

古米や古々米は飼料用としても売られるから値段はかなりお得。

しかも精米をする前の玄米だからビタミン不足にもならない。

(これを粥にすれば、かなりの日数もつだろ)

何せ今回の戦争はかなりの人数が動員されるんだから。


「ザコ、本当に戦争になるのか?」


「ちっーす山田さん。相手は侵略を繰り返さないと自滅確実なんすよ。だから来るなって言っても来ちゃいますね…戦争を仕掛けにね」

レクレールに多国間同盟なんて牽制にもならないだろうし。


「本当に変わったよな。ビビりでケンカもまともに出来なかったお前が積極的に戦争の準備をしてるんだもんな」

山田さんの高評価は嬉しいが間違っている。


「俺は今もビビりですよ。絶対に戦争なんかしたくないっすよ、でも避けれないし負けたら俺の大事な人や物が奪われちゃうんすよ。今はそれにビビってるだけっす」

メリー、ガーグ冒険者のみんな…オーディヌスで知り合った色んな人の当たり前の生活が壊される。


「そっか。ならこれをやるよ」

山田さんがくれたのは大量の乾パンや缶詰の保存食とチョコレート。

確かに米だけじゃ不満がでるし、カロリーが取りにくい。


「いいんすか?かなりの金が掛かったんじゃないっすか」

どう計算しても100万は越えていそう。


「ロキ神様のお陰で金剛不動明王様と結縁が出来たんだよ。それに組織が神様と知り合えたってメリットに比べたら安いもんさ」

山田さんはそう言って優しく笑っていた。


「さてと、それじゃあ行ってきます。山田さん卑怯な知恵が必要なら何時でも言ってくださいね」

俺はオーディヌスに戻る。

戦争をする為じゃなく大切なモノを守る為に。


(勇者君、君には既に仕込みがしてあるから覚悟しろよ)


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