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ザコ≧勇者 雪の中の

Side 功才


 とりあえず台所に来たものの我が家の冷蔵庫は相変わらず生活感がゼロ。

母さんはお嬢様育ちで料理や家事が殆ど出来ない

(しっかし冷蔵庫の中にあるのが卵、お歳暮のハム、キャビア、フォアグラ、鴨のテリーヌの缶詰め、ジュース、チーズ…お宅訪問されたら視聴者がドン引きするぞ)

お約束で言えばハムを使った炒飯なんだけど、家に来るハムは気軽に使えるお値段じゃないんだよな。

ちなみに冷や飯もないからご飯を炊く必要あり。


「姉ちゃん、冷蔵庫に食材が何もないから買いに行って来るよ。晩飯は美才も食べるんだろ?」


「あの子が功才が戻って来てるのに帰ってこない訳ないでしょ。クリスマスも近いから美才の好きな食べ物を作って上げなさい」

姉ちゃん財布から諭吉さん2人を取り出して渡してきた。


「さっすが姉ちゃん男ま…メリー、一緒に行こっ」

男前と言おうとした瞬間姉ちゃんから怒りのオーラが立ち昇った…ヤバイ。


________________


「ねえ、コウサなんで冷蔵庫に何にもないの?」


「うちの母さんは一切家事が出来ないんだよ。なにしろ母さんの親と爺さん達も俳優で母さんは花よ蝶よと育てられたそうなんだ。早い話が財津家でまともに料理をするのは俺しかいないんだよ」

俺の祖父母と曾祖父母になるんだがテレビでしか見た事がない。

なにしろ親父との結婚に猛反対したそうだ。

顔だけで演技は三流のヘボ俳優って言われたらしい。

だから親父は演者である事にこだわったのかもしれない。

 スーパーの中はクリスマス一色。

昔ならリア充ボムの魔法を唱えていたんだろうが、今は隣にメリーがいる。


「コウサ、こうしてると新婚さんみたいだね。メリーはザイツでもプルングでも良いよ」

えらく具体的な催促をしてくるメリーさん。

我ながら端から見てもバッカプルに見えると思う。

それを見て微笑ましく思う人と真逆の感想を持つ人もいる訳で


「ザコ!!いきなり帰って来たと思ったらシングルベルに対する嫌がらせか!!お前は全国のクリボッチの呪いを受けるぞ。今年のサンタの服は赤く染まると思え!!」

シングルベル料理の準備をしていた虎馬と出くわした。

(この時点じゃまだルーチェさんと出会ってないんだよな)


「サンタの服は基本赤だろうが!!トラ、お前に伝えたい事がある…何があっても大切な人を信じろ。そしてハッピー、メリークリスマス」

師匠から聞いた話ではルーチェさんも異世界の生まれで一時的には虎馬と離れるらしい。


「おう、ハッピーメリークリスマス…じゃねえよ。ちきしょーザコなんてトナカイにハリ○ーンミキサーされれば良いんだ!!」


「それはトナカイじゃなくバッファローの人だろうが!!俺にバラバラになれってか」


「コウサ、このサンタさんの服買って良い?」

そんなやり取りをスルーしてメリーが持ってきたのはいわゆるミニスカサンタの服。


「でもメリーが着ると胸がきつくないか?」


「さらりと彼女の巨乳自慢をしやがって!!ちくしょー!!1人クラッカーして泣いてやる」

泣きながらレジに向かうトラ、泣きながらポイントカードを出すのは忘れていない。

頑張れ、親友(とも)よ。いつか異世界苦労話で一杯やろう。


_________________


 昼食を終えた俺はそのままクリスマス料理に取りかかる。

幸い、親は帰って来ないから安心して作れる。

ローストチキン、手まり寿司、フライドポテト、エビフライそしてデコ玉子焼きクリスマスバージョン。

クリスマスにまで玉子焼きをリクエストしたのはマイシスター美才。


「美才、玉子焼き試食するか?」


「お兄ちゃん!!美才はご飯を我慢出来ないほど子供じゃないんだよ、馬鹿にしないで」

美才はプイと頬を膨らませて横を向いた。

玉子焼きを待ち構えてキッチンにスタンバってる時点で兄としては心配なんたが。


「それならメリーに味見を頼むか…」「お兄ちゃんは譲っても玉子焼きは譲らないんだからね!!試食じゃなくて味見なら協力してあげる」

えらくお子様なツンデレ?を見せてくれた美才は上機嫌で玉子焼き頬張っている。

味見を越える量を食べているのは突っ込まないでおこう。


_________________


 少し早いクリスマスパーティーを終えた俺とメリーは山田さんが紹介してくれたマンションに向かっている。

そんな時、空から白い物が舞い降りてきた。


「コウサ!!雪だよ、雪。ホワイトクリスマスって言うんだよね?ミサちゃんもプレセント喜んでくれたし良かったね」


「メリーにもプレセントがあるんだけど受け取ってくれる?」



Side メリー


 コウサはそう言うと真剣な顔になった。


「俺は日本にいた時には自信なんて全然なかったんだ。だけどメリーと知り合えてメリーと恋人になれて俺は自分を手に入れた。あー、なんかごちゃごちゃしてきた…メリー、好きだ。お前がいれば勇者なんか恐くない!!メリーって女神様がいてくれたらザコでも勇者に勝てるんだ!!だから俺と結婚して下さい」

気がつくと私は泣きながら頷いていた。

その日、違う世界で生まれた私達は真っ白な雪に包まれながら一組の夫婦になったんだ。

異世界の冬の寒さなんて気にならない暖かな幸せの中、私はザイツ・メリーになった。


ちなみに作者の予定は仕事でサンタになるだけです…

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