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レクレールの企み

ようやく最終章です

Side 功才


 師匠は気軽に見に行くと言ったが、俺達が戦争中のサン・エルフ帝国に行って無事に帰れる訳がない。

「確かレクレールは食糧事情が良くないんですよね。戦争を出来る余裕があるとは思えないんですけど」

頑張れ、俺!!無駄な努力だと思うけど。


「ええ、サン・エルフは他の国との交流が殆どありませんから農作業の方法が昔から変わっていません。それに清光の精霊レクー以外の精霊を拒否していますから作物の収穫量は多くないと聞いてます」

流石はイントルさん、スラスラと答えてくれた。 


「師匠まだ大きく動かないと思いますからサン・エルフに行くのは後日にしませんか?」

「…でも動いたみたいですね。行きますよ」

師匠はいつになく真剣な表情になっていた。


_________________


¨笑い合う人々、見つめ合う恋人達、サン・エルフ帝国は平和そのもので、とても宣戦布告をされた国には見えない。

ついでに  

「もしかして俺達の姿って周りから見えてないんですか?」

先から何人もの人が俺達の前を通り過ぎているけど誰も俺達に関心を示してない。


「私達は別の次元から見ていると思って下さい…皆さん、これから起こる事から目を逸らさない様に」

師匠の話が終わるや否やサン・エルフの町は光に赤い包まれる。

光が消えた後に待っていたのは正に地獄絵図だった。


「コウサ、みんなどうしちゃったの?こんなのおかしいよ」

恐怖のあまりメリーが俺に抱きついてくる。

さっき笑い合っていた人達が今は互いに魔術をぶつけ合っている。

さっき見つめ合っていた恋人の彼女が彼氏を刺し殺していた。

母親は家の全ての食糧を持ち去ろうとしていた、そして足元で泣きすがる子供を蹴り飛ばす。

あらゆる店から商品が略奪され、あらゆる所で南エルフ同士が殺しあっている。


略奪された商品や家から持ち出された食糧は恭しく掲げれて運ばれて行く。

運ぶ人は行列を作り、その顔はエレガンスのアーキ姫と同じく恍惚となっていた。


「レクレールの奴ら、サン・エルフの国全部にチャームを掛けやがったな」

吐き捨てる様にガーグさんが呟いた。


「強力な魔石を集めていたのはこの為だったんですね。魔石をレクーに捧げてヒイロ達は新しい力を手に入れたのでしょう」

イントルさんも怒りのあまりヒイロを勇者と呼ばずに呼び捨てにしている。


「自分の国に食べる物が無いからチャームを掛けて運ばせるなんて信じられない。イントル、自分あいつらと同じ人間なのが嫌だよ」

ハンナさんが苦しそうに話す。


「あいつらガー君から家族を奪っておいて、今度は南エルフから国を奪うつもりなの」

セシリーさんの中でレクレールに対する怒りが膨れ上がっていく。


「ここで俺らが怒っていても無意味ですよ。今は行列の先に何があるか確認しにいきましょう」

今の俺がしなきゃいけないのはレクレールの隙を見つける事なんだから。

行列の先にあったのは馬の着いていない荷馬車だった。

荷馬車に大量の食糧が積み込まれると南エルフの人達が希望に満ち溢れた顔で運んでいく、行く先はレクレールだろう。


「これでレクレールのみんながお腹いっぱいご飯を食べれるぞ」


「良かったね、ヒイロ」

満足気な顔をしてるレクレールの勇者ヒイロと、それを見て微笑む幼馴染みの

ニア。


「こんなのおかしいだよ。食べ物を奪っうなんて泥棒と一緒だ」

アボー君が必死に訴えている。


「アボー、勘違いするな。これはレクー様の偉大さに気づいたサン・エルフの国民が自ら捧げた物だ」

アボー君を馬鹿にしたような目で見下すのは精霊騎士のエペイスト。


「おい、デカブツ。お前はもう勇者パーティーから外れたんだから口を挟むな。馬鹿力を役に立てたいんならお前が馬車をひけ」

メリーの幼馴染みウッドがアボー君を小馬鹿にした様に話す。


「HEY!!ユー達、早く民を解放して食糧を元に戻すんだ。そうじゃないと俺の魔術がユー達をブレイクするぜ」

現れたのは南エルフの元王子チピーラ・サンシータ。


「もう、誰も貴方の話なんて聞かないさ。さあ元王子様はさっさと帰れ」

エペイストがチピーラを威嚇する。


「ふざけるな。偉大なるアイスキングの氷の槍よ、ここに具現化し敵を貫けアイスグングニル」

チピーラの手から巨大な氷の槍が放たれた。

そしてそれはアボー君の体を貫く。


「あいつら、アボー君を盾にしやがった」








坂本虎馬の小説も連載してるので良かったら読んで下さい

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