ザコ達と試練休む暇なくー
side 功才
バキッ、生々しい音が響いた。
師匠がガゼルの角をへし折ったらしい。
モザイクが掛かりそうなレベルだから見ないけど。
「素材も取れましたし戻りますか」
師匠の爽やか過ぎる笑顔と足元でしくしくと泣くガゼルが対象的過ぎる。
「そ、そうっすね。ガゼルはもう危険じゃないんすか?」
「もう功才君は贅沢ですね。尻尾や爪も欲しいんですか?知ってますよね、魔族は尻尾と爪が無くなれば魔力を失うって」
そう言うと師匠はガゼルの背中を踏みつけて尻尾をひ引きちぎった。
ガゼルは恨めしそうな目で俺をにらみつけている。
俺は絶対に悪くないと思う‥‥多分。
「も、もう帰りましょう。充分素材が取れたみたいですし」
「功才君、充分な素材が欲しいなんてわがまま言って。仕方ない、可愛い弟子の頼みですから手と足の爪も」
ここから先は自主規制にしておこう。
ただ爪も角も尻尾も無くしたガゼルは色が色だけに全身タイツみたいだった。
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魔導師の塔に戻ると何故か天井が高くなっていて、とんでもなくでかい男と妖艶な女性が待っていた。
「ロキ、待ちかねたぜ。そいつらが例のの奴らか」
「お父様、今回はご尽力ありがとうございます」
「トールさん、ヘルお待たせしまた。よろしくお願いします」
‥‥トールって神様じゃん。
いや、師匠も神様なんだけど、こんなにあっさり出てきて良いんだろうか。
「分かったよ。ガーグ、お前にパワーかカウンターをやる。これはお前の力が敵より勝れば敵の攻撃を武器もろとも叩き潰せる。しかし力負けすりゃもろに攻撃をくらっちまう」
なんてギャンブルな技。
「トール神様より拝領せし技必ずやオーディヌスの平和に役立てみせます」
かた膝をついて頭を下げるガーグさん‥‥神様に対する態度ってあれが正解なのかも。
「セシリー、貴女には生命回帰を授けます。貴女なら正しく使える筈です」
データボール参照生命回帰
生命回帰は普通の相手には何の効果もありません。
しかし、アンデッド等の不自然な者に使うと元の状態に戻してしまう技です。
またの名をヘルの営業成績お助け魔術。
とりあえず全員試練に合格できたと。
「功才君、レクレールが南エルフの国に宣戦布告をしたみたいです。見に行ってみますか?」
これが戦争の始まりだった。
初スマホ更新です苦労しました