ザコ達と試練 出来たら魔族は避けたいザコ
side 功才
人を信用する事は大切だと思う、それが苦楽を共にした仲間なら尚更だ。
ましてやガーグさんはガーグ冒険者隊のリーダーで戦いのプロフェッショナル、半人前どころかお子様セットレベルの俺なんかが心配するのはおこがましい。
…ぶっちゃけガーグさん達がいる世界に行きたくありません。
イントルさん達の時と違って今回の敵は大勢、ガーグさん達に会う前に死ぬ可能性が高い…特に俺が。
「それではガーグさんが、いる世界に行く人は誰にしますか?」
師匠が俺達に問い掛けてくる。
「私はガーグさんと長年コンビを組んできました。無論、お願いします」
「自分もイントルと同じ思いだ。セシリー姐さんとガーグ殿を救う為にためらう必要がありません」
イントルさん達は見事なまでに息が合っていた。
若干、約1名が対抗心を燃やしかねないぐらいに。
「メリーとコウサも行きます。そうでしょ?コウサ」
ここで俺が拒否してもメリーに召還されたら逆らい様がない。
「そ、そうだね。行くしかないよね…」
魔族を倒さなくてもガーグさんとセシリーさんを会わせれば試練をクリア出来る可能性はあるんだし。
次の瞬間、俺達は血の様に真っ赤な光に包まれていた…確実に師匠の嫌がらせだと思う。
―――――――――
気がつくと目の前には見事なまでの密林イコールジャングルが広がっていた。
聞こえてくるのは鳥やら猿やら正体不明の獣の雄叫び。
「なかなか立派な森ですね。素晴らしい」
「結構、良い木があるね。親父が見たら喜ぶだろうな」
「この森にはどんな獲物がいるんだろう?コウサ、お料理をお願いね」
3人ともジャングルを見て興奮気味。
良く考えたらイントルさんは森育ちだし、メリーとハンナさんは森の民…都会っ子は俺だけじゃん。
「さてと、まずはガーグさんを探しますか。今のセシリーさんは猿人族は敵と見るでしょうから…でも問題は、この広い森にいるガーグさんを探す方法なんですよね」
これで時間は稼げる筈だ。
「ちょっと待って下さい。微かにミスリルの臭いがします…この臭いはガーグさんです、こっちです」
イントルさん達トロルは森に住んでいて、臭いで獲物を探すらしい…それなら金属の臭いを嗅ぎ分けて冒険者を回避していてもおかしくはない。
「イントル待って!!先頭は自分が行くよ。ガーグ殿はイントルの事を覚えてないんでしょ?」
今のガーグさんがイントルさんに会ったら攻撃してくる確率は高いと思う。
「大丈夫ですよ、距離をとりますので。それにガーグさんがハンナに一目惚れしたら困りますから」
そう言って悪戯っぽく笑うイントルさん、ハンナさんは反論どころか大満足なご様子。
「イントルさん森の中にガーグさん以外の金属臭はしますか?エルフや魔族の臭いはどうです?」
エルフに会えば迎撃されかねないし、魔族なんてもってのほかだ。
「エルフらしき臭いは森の奥からしています。私は魔族の臭いを知りませんが特別な臭いはありませんよ」
エルフも魔族も集団だから臭いは濃くなる筈、これは魔族がまだ近づいていなと見るべきか…それとも。
「嫌な予感がします。早くガーグさんと合流しましょう」
出来たら魔族が来る前にガーグさん達の記憶を戻してエルフと一緒に魔族を迎え撃った方が安心だ。
―――――――――
森に入ると極彩色の鳥や確実に毒を持っている蛇が出迎えてくれた。
あきらかに地球にはいないサイズのチョウチョやカブト虫はスルーしておく。
「どうやらガーグさんはエルフの集落を分かっているみたいですね…待って下さい、ガーグさんはエルフと一緒にいるみたいです」
どうやらそのエルフは金属系の装備をつけてないらしく近づくまで分からなかったらしい。
「ヤバいな、このままじゃどうやってもセシリーさんを怒らせちまう。…なんか重苦しい空気が漂っていませんか?」
森の奥に進に連れて俺の危険探知ザコレーダーが反応しまくる。
「これは魔力、しかも闇の魔力…どうやら魔族は具現化しないでエルフの集落に近づいてるみたいです」
どうやら魔族が具現化していないからイントルさんの鼻にも反応しなかったらしい。
「エルフの集落に奇襲を掛ける為に俺達は無視ですかね」
えらいっ!!下手に小物に手を出したら作戦が水の泡になりかねない…。
良く考えたら指揮系統がしっかりしてるって事なんだけどね。
「コウサ、どうするの?森の獲物が怯えて姿を消しちゃったよ」
メリー、そこは獲物じゃなく動物って言って欲しかったな。
「さっさとガーグさんに合流する。俺達はギルドから魔族襲撃の伝令を依頼されたパーティーにしておけば問題ないし。あくまで巻き込まれた形に持って行くさ」
でも期待してるのは
"ここはエルフの集落。私達エルフだけで守る!!猿人は手を出すな"
そんな流れだ。
ガーグさんを追跡してるとイントルさんから待ったが掛かった。
「気をつけて下さい。結界があります」
イントルさんの指差す先には光を反射している透明なガラスみたいな物があった。
「エルフの結界ですかね?」
あれでもガーグさんはエルフだから、結界をすんなりと抜けれたんだろう。
「コウサ、どうするの?このままじゃ置いてかれちゃうよ」
この結界を壊すのは簡単だ、ハンナさんがフェンリルから授けられたら力を使えば壊せると思う。
しかし、それをすると魔族も侵入してくる。
(風を拒絶してたら中の空気が淀むし、葉っぱに一々反応していたら意味がないよな。考えられるとしたら大きさ、属性か。それに狩りをした時の獲物はどうやって運ぶんだ?…もしかして)
「シールドボール」
何も入っていないシールドを結界に向かって転がす、シールドボールは結界に阻まれる事なく転がっていった。
「生命反応がない物にはには反応しないと。それならシールドボール」
何よりシールドボールは神が作った魔術、つまり聖属性の筈。
自分にシールドボールを掛けて前転の要領で転がっていく。
結果、侵入に成功。
「それじゃみんなにも掛けるよ。シールドボール」
全員が無事に結界を越えれたが、結界の脇に丸焦げになった大蛇を見つけて思わずチビリそうになった。
どうやら結界は狩猟用の罠も兼ね備えている様だ。
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