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ザコ達と試練 鉱山の奥にいるモノ

side 功才


案の定、ガーグさん達はまだ試練を終えていないらしい。


「ガーグさん達はいつ帰って来るんだろうな」


「大丈夫だよ。コウサとメリーには負けるけど、4人ともラブラブなんだから」

メリーの前では口が裂けても言えないが、俺は愛で全てが解決するなんて、これっぽっちも思っていない。


「でもみんな相手の事を覚えていないんだってさ。メリーも俺の記憶が封印されてたんだろ?」

間違っても俺の事を忘れてたんだろ?、なんて言える訳がない。

数日放置されただけでも寂しくて仕方なかったんだから、小さい溝でも出来ない様に心掛けておく。


「でもメリーはコウサを見るとドキドキしたし、コウサが夏海さん達とお話ししてるのを見たらムカムカしたし、コウサに〜っすって言われたらイライラしたよ」


「記憶は無くても感情は残るのかな…でもキツいか。4人とも種族が違うんだよな」

ガーグさんは遺伝子的には殆ど猿人族だし見た目だけで言えばエルフの要素はゼロ、かたやセシリーさんは混じりっ気なしのエルフ。

ハンナさんは猿人族でイントルさんは魔物とされるトロル。


「でも4人も種族の壁を乗り越えたんだから大丈夫たよ」


「記憶を封印されたハンナさんがイントルさんを見たらどう思う?」

メリーが途端に口をつぐむ。

答えは簡単、倒すべき魔物なんだよな。



side イントル


 「ここも行き止まりですか…しかし勿体無いですね。この地層なら、もう少し掘るだけでミスリル鉱脈にあたるんですけど」

無計画に掘り進んだらしく、鉱山の道はまるで迷宮の様になっていました。

幸い私はトロルなので暗い鉱山の中でも平気ですし、まだ有毒ガスの臭いもありません。


(人目は避けたいんですが、一度本道に戻るとしますか)

まだ見ていない場所で貴重なマジックアイテムが保管されているとしたら、本道の奥にある現場管理人さんの部屋辺りでしょうか。

――――――――――


 幸いな事に人族の方々と会わずに管理さんの部屋に来れました。

中に入るとマジックアイテムはありませんでしたが、なぜこの鉱山が廃鉱になったのかが分ったんです。

管理記録によると鉱山の奥にリッチが住み着いた事が原因でした。


(リッチですか…人間になる為に命を落としては本末転倒と言うもの。今回は諦めますか)


流石に何の対策もせずにリッチと戦うのは無謀ですからね。



side ハンナ


 トロル退治の依頼を受けた自分は噂の廃鉱山に来ていた。


「ここがトロルが出る廃鉱山か」


「ああ、そいつは何故か冒険者を返り討ちにするが殺しはしないそうだ」


「不思議だよねー。トロルは野蛮な魔物なのに」

廃鉱山に出没するトロルはかなり強いらしく今回は臨時パーティーを組んでいる。

ちなみに最初に喋ったのがシーフの男で次に喋ったのは魔術師の少女だ。


「噂は噂だ。ところでこの廃鉱には、他にどんな魔物が出るんだ?」


「確かジャイアントバッドとマインスラッグそれにアンデッド系の魔物が多いらしいぜ」

巨大コウモリに鉱山ナメクジにアンデッドか。


「ジャイアントバッドがいてアンデッドがいるんならヴァンパイヤやリッチがいるんじゃないだろうな。どっちにしろ聖水を買いに街に戻る必要があるんじゃないか?」

ヴァンパイヤもリッチもアンデッドを使役する魔物。

それでなくてもアンデッド系が多いなら対策を用意すべきだ。


「大丈夫ですよ。私は火属性の魔術が得意なんですから」


「それにヴァンパイヤやリッチがいるなら、すげぇお宝がある筈だぜ?トロルの報酬と合わせれば大儲けだ」

こいつ等とは何回かパーティーを組んだ事があるが、少し慎重さに欠けている。

 鉱山の中は薄暗くランプを使う事でなんとか3分の2程進む事が出来た。


「とりあえず今日はここまでにしておかないか?鉱山とはいえ、夜のアンデッドは厄介だからな」

アンデッド等の闇属性の魔物は夜がふけるにつれて魔力を高めると聞いた事がある。


「もう少し進んでみようぜ。トロルを見つけれなくてもミスリル鉱石の1つでも拾いたいんだよな」


自分達はそのまま本道を奥へ奥へと進んで行った。


「おかしくないか?奥に進むほどアンデッドの出没割合いが多い。いくら廃棄されて闇のマナが多くなっているとはいえ、この鉱山にはまだミスリルがあるんだよな」

ミスリルには浄化作用があるからアンデッドはミスリル鉱山をあまり好まない筈。


「確かにアンデッド系が増えましたね。それに犬、狼、熊、虎とか出てくる種類も増えています」


「まるでアンデッドの実験場だな。どうする、このまま奥に進むんでいくのか?」


「まだ大したお宝も拾ってないし、このままじゃジリ貧だぜ?もらった地図で見ると奥には抗夫の宿舎があるらしいからそこを漁ってみないか?そこからお宝の匂いがするんだよ」


「シーフの予感か?しかしランプがそこまで持ってくれないと思うが」

無事に宝を手に入れても途中でランプのオイルが切れたら遭難しかねない。


「大丈夫だよ、それに宿舎に松明かなんかがあるだろうさ。何でもここは突然廃鉱されたらしいから、宿舎まだ手付かずらしいぜ」


「確かにギルドからもらった地図では宿舎は未到達地点になってるけどおかしくない?冒険者が来たら最初に調べる場所だよ」

魔術師の少女の言う通り宿舎には保存食やポーションが残っている筈。


「鍵を開けれないだけだろ。先客か?薄明かりが見えるぞ」

シーフの言う通り鉱山の奥から青白い光が見えている。


「いけません!!それ以上進むのは危険です」


そんな時、涼やかな声の持ち主が警告を発してくれた。



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