幕間 虎馬とルーチェのその後
side 虎馬
8年経っても忘れない人がいる。
高2の時に奇跡的に出来た彼女だ。
付き合っていた期間は3ヶ月ちょっと。
職場の連中には"遊ばれたんだよ"と言われた。
2人で写ってる写真を見せたら"確実に遊ばれたんだよ"と言い直された。
でも彼女が最後に残した手紙は涙でグショグショに濡れていて一言
先輩ごめんなさい
そう書かれていた。
最初の1年はルーチェを信じて待っていた。
それからは振られたのを認めるのが怖くてひたすら料理の修行に没頭した。
有名になればルーチェに気づいてもらえるんじゃないか、彼女が無事か分かるんじゃないか、そんな淡い期待を持って一生懸命働いて気付いたら25才。
人気レストランでそれなりの責任がある地位には着けたけど。
(そろそろ前に進まなきゃまずいよな)
何時か2人で小さけどお客さんの笑顔で溢れたレストランを開く、そんな夢みたいな約束はやっぱり夢だったんだろう。
side ルーチェ
こっちに帰って来て何回いや何百、何千回先輩の夢を見たんだろうか。
もし先輩に奥さんや彼女が出来ていたらどうしよう。
俺の所為で先輩を傷つけたのに身勝手な嫉妬で狂いそうになる。
あの笑顔、あの優しさ、あの温もり…。
忘れろと言うのは無理だ。
せめてこの胸の痛みを抱えたまま生き続けよう。
虎馬とルーチェの物語が再び動きだすのはもう少し後の話。
どれかを終わらせて新連載…
都合よく終われる作品がない