ザコ達と試練 彼女がパワーアップ
side 功才
虎馬達と別れた俺とメリーは街をブラブラしていた。
「コウサ、これからどうするの?」
「とりあえず師匠からの連絡待ちだよ。メリーの記憶が戻ったらオーディヌスに戻れるらしいんだけどね。連絡がない所をみるとまだ何かさせたいんじゃないかな」
そうでなきゃ、とっくに呼び戻されていると思う。
「でもロッキさんが創地神様だったなんてビックリしたよ。…創地神様お墨付きの恋人なんて凄くない?お墨付きの恋人からお墨付きのラブラブな夫婦になって、何年かしたらお墨付きの幸せな家族になるんだよね」
メリーの中では既に正しい家族計画が出来ているらしい。
「その為にもレクレールの連中を何とかしないとな」
今回の試練もレクレールと戦う為の物だと思う。
「そうだよね、メリーがコウサと生涯添い遂げるのは確定してるけど邪魔者は排除しておかないと駄目だもんね」
今回の試練で繋がれし者の効果もパワーアップしたんじゃないだろうか。
「メリーはこっちで欲しい物ない?俺は何個か買っておきたい物があるんだけど」
「燻製を作る道具かな。燻製にすればお肉が長持ちするし」
塩はティマー共和国から手には入るし、サンプルをヘイムランドに渡せば、ある程度の量産が可能になるだろう。
そのまま近くのホームセンターで必要物品を購入して店を出たら…魔導師の塔だった。
「功才君、メリーさん試練合格おめでとうございます。…まさか私の術を嫉妬で破るなんて思いませんでしたよ」
つまりメリーの嫉妬は神の試練をも打ち砕くと…
「お父様違いますよ。あれは恋する乙女の力です」
師匠に声を掛けてきたのは真っ白な髪をポニーテールにした少女。
「スレイプ、乙女って貴女は何歳になったんですか?父はそろそろおじい様にジョブチェンジしたいんですけどね」
「じ、女性に年は禁句です!!それに私にはオーディン様の馬車を牽くという大切な役目がありますから結婚はまだまだ先です」
師匠の子供で名前はスレイプ、そしてオーディンの馬車を牽いている存在。
神馬スレイプニルか…馬だからポニーテールって。
「役目、役目で行き遅れないか父は心配でご飯も喉を通りません…功才君、お腹が空いたから後からうどんを煮てもらえますか?」
「お父様は私の事が心配でもおうどんなら食べれるんですね!!」
「何も食べないと体に悪いじゃないですか」
このままじゃ話が進まないと思う。
「師匠、こちらの女性はどなたでしょうか?」
「私はの名前はスレイプニル。メリー・プルング、貴女に力を授けます」
何もなかった様に切り替えるスレイプニルさん。
「スレイプ、自分が誰で何を授けるのかきちんと説明しないとメリーさんも困っちゃいますよ」
すかさず茶々をいれる師匠。
「私は創地神ロキの娘で神馬スレイプニル。メリー、貴女には瞬足の力を授けましょう」
データボール参照 スレイプニルの瞬足
半径5キロ以内なら一瞬で走り抜く事が出来ます。
術者の足に負担が掛からないし、息も乱れず呼吸も普通に出来るんですよ。
情緒がなくて嫌になりませんか?
もう少し遊び心がないとつまらないですよね。
「ちなみにメリーが俺の手を繋いで走ったらどうなりますか?」
「えと…多分、大丈夫だと想いますよ」
何故か焦りまくるスレイプニルさん。
「功才君が一緒に移動するのは新幹線に引きずられる様なものですよ。足の骨は粉々に砕けますし衝撃に体が耐えれません。何より息が出来ずに呼吸困難になりますね。スレイプ、どんな技にもマイナス面があるんですからきちんと把握してから授けなさい。でないと貴女が後悔しちゃいますよ」
師匠の言葉は厳しいが、優しい父親の顔になっていた。
「メリー以外に衝撃が加わるんなら色々と使えますね。ちなみ繋がれし者は変化あったりします?」
「功才君、良く聞いてくれました。今度からは極・繋がれし者と真・捕らえし者に変わります」
俺の魔術はパワーアップしないのに、そこだけはチートな響きにするのね。
極・繋がれし者、真・捕らえし者
効果:浮気厳禁・どうあがいてもメリーさん以外の女性とは結ばれません。功才君が自分で選んだんですからね
感覚遮断・一瞬にして視覚や聴覚を遮断します。これでラッキースケベも怖くない。
…師匠、俺の魔術もこれぐらいパワーアップしてくれたら。
「後は終わりですよね。師匠、ルーンランドとヘイムランドに行きたいんですけど」
ガーグさん達が戻ってくるまで、やれる事をやってやる。
ちなみにルーンランドに缶詰めやドッグタグを、ヘイムランドには薫製の道具やテントを作ってもらう予定。
これでようやくイ・コージが更新できます