ザコのナメクジ退治
新魔法が活躍します
side 功才
やっぱピエロやめよーかな。
「あそこの砦はやばいのがでるぞ。あの役者の卵達も早くしないとやばいかもな」
「な、何がでるんすか?」
「ゾンビスラッグだよ。かなり厄介な魔物だから討伐金額は50万デュクセン。役者の卵達のパトロンをしている貴族様から依頼が出てる」
データボール参照
ソンビスラッグ
ゾンビに寄生していた肉食のナメクジが、闇のマナを溜め込んで魔物化しちゃったんです。
しかも、このナメクジ君は死体を次々と吸収して巨大化しちゃう厄介者、ゾンビだから普通の攻撃は効きませんからね。
さぁどうします?功才君。
「わかったっす。この依頼を受けるっす。一つ聞きたい事があるんすけども、この近くに…は、あるっすか?」
とりあえず、アンデットにはお約束の聖水(1つ1000デュクセンを20個購入)をバスケットボール大のシールドボールに閉じ込める。
後はあれとあれの、どっちにしようか悩んでいると
「コウサ、メリーも一緒に連れて行って。依頼受けたんだよね」
「友達を助けたいのは、分かるっすけども駄目っす。今回の魔物は見た目がやばいんすよ。ナメクジみたいなソンビがでるんすよ」
「コウサは1人で行くつもりなんだよね?絶対に駄目、誰が何と言おうとメリーが許可しないんだから」
「メリーの許可は必要ないんじゃないっすか?」
「あるの!コウサはメリーの大事な人なんだよ。砦に行った人達よりも大事なんだから。メリーはコウサと一緒に冒険をしたくて待ってたんだよ!」
こんな風に言ってもらえたのは初めてだよな。
メリーからは逃げなくて大丈夫かもしれない。
「分かった、分かったから。その代わりにきちんと仕事をしてもらうからな」
「うんっ。やっといつものコウサの話し方になったね」
「メリーが来てくれるなら、後は買う物は塩とおがくずと油だな。それと途中で砂を手に入れていくぞ」
「もう細工は流々なんだね」
「ああ、後は」
「「仕上げをご覧じろ」」
――――――――――
「何つーか雰囲気満点な砦だよな」
古びた砦は3階建てのレンガ造り。
ホーンテッドマンションならぬホーンテッド砦。
「あっ、屋上にいるのがメリーのお友達だよ」
俺には人影にしか見えないがメリーには確認できたらしい。
「今は昼間だからゾンビスラッグはお日様を嫌って屋上には来ないんだろうな。うっし、夜になる前に片付けるか」
その前に荷物から取り出した物を砦の入り口に供える。
「コウサ、何してるの?ワインとお花?」
「この砦で悲劇が起きたんだろ?そうゆう所にお邪魔する前には、きちんと仏様に挨拶をしておかなきゃ駄目だろ?」
ビビりの俺の安心保険。
「ホトケサマ?」
「その辺は通じないか。この依頼が終わったら教えるよ。それじゃお邪魔します」
俺とメリーが中に入った途端、バタンッと鉄製の扉が閉まった。
なんつーお約束な。
ゾンビスラッグが持つ闇のマナの力なんだろう。
これでメリーのお友達は逃げれなかったんだな。
砦の中は、これまたお約束に空気が澱んでいた。
「なんかカビ臭いね」
砦の壁や床には、カビや想像をしたくない黒いシミがそこかしこにある。
「ゾンビスラッグが住み着いた所為で手入れが出来なくなっんだろ」
幸いと言うか、1階には魔物の影もなく無事に2階への階段を上がる事ができた。
2階にあがり、広間の扉を開けると3m近いナメクジ、ゾンビスラッグが闇の中から現れる。
青黒い巨大なナメクジは、見た目がかなりきつく、死体を吸収しているから、さらにグロい。
だって、ゾンビスラッグが動く度に、体のあちこちで吸収された人の顔も動いているんだぜ。
メリーの顔も青くなってきたし、これは…‥さっさっと片をつけて、寝るに限る。
先ずはリュクサックから聖水入りシールドボールを取り出す。
それをゾンビスラッグに投げてぶつかる直前に
「マジックキャンセル」
聖水をモロに浴びて苦しむゾンビスラッグ。
体が溶けだしてますますグロさがアップ
次は塩を取り出して
「アローファクトリー」
出来たのは塩の矢。
「メリー頼む」硬さを確認しつつ、塩の矢をメリーに手渡す。
「ナメクジは動きが遅いから大丈夫だよ。まかせて」
メリーの手から放たれた白い矢がゾンビスラッグの体に突き刺さる。
良かった、無事に矢が崩れずに刺さってくれた。
どうやら木の矢ぐらいの威力はあるらしい。
塩の矢で闇のマナが浄化された為か、ゾンビスラッグの動きが止まる。
メリーが塩の矢で牽制してくれている間に取り出すのは、途中で手に入れた目の細かい砂。
当然、シールドボール入り。
ナメクジだけに、最初は塩を使うか迷ったけど砦の近くに細かい目の砂があるのをギルドで聞いたから砂で代用した。
大量の砂を、モロに浴びたゾンビスラッグは体の水分を取られて縮み始める。
次に取り出した、おがくずに油を染み込ませて
「アローファクトリー」
出来たのは、中まで油がタップリと染み込んだ木の矢。
「メリー、俺が突っ込むと同時に射ってくれ」
「任せて。コウサ、無茶しないでね」
立て続けに6本の矢がゾンビスラッグの体に突き刺さる。
後はゾンビスラッグが体勢を立て直さないうちに
「スモールファイヤー」
俺はバースデーケーキの要領で木の矢に火を着けてまわる。
油が染み込んだ矢は勢いよく燃え上がり、水分が無くなったゾンビスラッグを瞬く間に火に包みこんだ。
「ふぃー、何とか倒せた。
メリーは2階のお友達をよろしく。もう少し、したらミントが来る」
「また手柄を譲っちゃうの?」
「ここの砦は、マクスウェル家の所有物なんだよ。今回は、残念魔術騎士にお礼をしなきゃいけないだろ」
メリーが屋上に行って、しばらくするとミントがニヤニヤしながら広間入ってに来た。
何かむかつく。
「なんすか?」
「別になんでもないさ。小石が宝石を助けたんだと思ったら面白くてね」
「うるさいっすよ。これは流れで、こうなったんすから」
side メリー
私達が降りてきたのを、察するとコウサはすかさずミントさんの後ろに移動する。
どっからどうみても、ミントさんの従者。
みんなが口々にミントさんにお礼を言ってる間も素知らぬ顔で頷いている。
コウサ、ここからはメリーをご覧じろ。
「コウサ、みんなはまだミントさんにお礼があるみたいだからメリーと一緒に冒険者ギルドに行こ。メリーもギルドに登録をするから」
唖然とするみんなを尻目に私はコウサの手を取って歩きだす。
コウサは顔を真っ赤にしながら、口をパクパクさせていた。
コウサ、かっわいいー
コウサとメリーが惹かれあった描写が分かり難いとご指摘を頂き、ただ今幕間制作中です。