幕間 師匠の家族と友達
side 功才
新しく教えてもらった魔術プチスペース、色々と試してみたが相変わらず微妙な魔術だった。
空洞を作る為には条件が幾つかある。
まずは元の形が変形しない事。
果物で言うと種には空洞が作れるけど果肉には作れなかった。
1度に空洞を作れるのは1種類1個のみ。
西瓜に掛けてみたら1個の種だけに空洞が出来ていた。
つまり、目や臓器に空洞を作る事は出来ないって事。
(そう言えば北欧神話で有名なミョルニルもとんでもなく重たい上に専用の手袋がないと火傷しちまうんだよな…確かあれの制作には師匠が携わっていたし)
…今度から信仰する神様はロキって書かなきゃ天罰が下る予感がしてならない。
side ロキ
今、私はオーディンさんの居城ヴァーラスキャールヴに来ています。
相変わらず大きく派手な城に近づいていくと1人の少女が走り寄って来ました。
「なんですか?いきなり走って来てはしたない。貴女の親の顔が見たいですよ」
「父上、なぜここに来られたのですか?他の神々に見つかったら大問題ですよ。それと私の親を見たいなら鏡をご覧になって下さいー!!」
大声で叫ぶポニーテールの少女、名前はスレイプニル。
「スレイプ、そんな大声を出したらばれちゃうじゃないですか。何時になったらお淑やかなレディになってくれるんでしょうね…父は心配でお昼寝が出来ません」
「昼寝って!!夜はしっかり寝てるんじゃないですかー!!」
スレイプニルは大声で叫んでハァハァと息をきらしてしまいました。
「スレイプ、親父とまともに関わるなって教えただろ」
話に割って入って来たのは銀色の髪のワイルドな少女。
「フェンリル姉様ー!!助けて下さいー」
スレイプは近づいて来たワイルド少女に抱きついて泣き始めました。
「走って叫んで息を切らして泣いて、スレイプ随分と忙しいですね」
スレイプが何故か涙目で私を睨みつけてきます。
「親父、あまりスレイプを虐めるなよ。スレイプは真面目なんだからさ…ヴァーラスキャールヴに何の様だ?わざわざ俺やヘルまで呼びつけて」
「お父様は今お気に入りの人間がいるのよ。その子がある世界の変換に大きな役割を果たす可能性があるの。お父様、オーディン様がお待ちかねですわよ」
次に現れたのは白い髪の妖艶な女性ヘル。
3人共、私の可愛い娘です。
「それじゃ義兄弟オーディンさんに会いに行きますか」
私が城に入ろうとすると鎧を着た女性が立ちはだかりました。
「悪神ロキ、ヴァルキリーの名においてここは通さん!!」
随分と威勢がいい女性ですけれども
「小娘そこをどきなさい。私は今大事な用件でここに来てるんですから」
みるみる冷や汗をかき涙目になるヴァルキリーのお嬢さん。
「構わぬ、通せ!!そいつが本気になればお前は1秒と持たぬぞ」
「ロキー、女を苛めて楽しいか?…お前がここ来たって事は訳ありなんだろ?」
「オーディンさん、トールお久しぶりです。私が管理してる世界の1つで力を使いたくなりまして許可をもらいに来たんですよ」
私とオーディンさん、トールの3人は幾つかの世界を創造して、それぞれ複数の世界を管理しています。
ちなみに魔導師の塔は私が管理している全ての世界と繋がっていたりするんですね。
――――――――――
私はみんなにオーディヌスの出来事を見せました。
叛意を持ち出した精霊レクーの事。
そして
「父上!!英雄の素質もない人間を無断で召還するなんて信じられません。死んだらどうするんですか?」
「でも功才君は生きてますよ。強くもなく美しくもなく特別でもない人間が見事に生き延びたんです」
「しかしロキよ、もう少しまともな魔術を授けてやればいいんじゃねえのか?…それと俺はこいつに決めたぜ」
流石は親友のトール、私の意図を組んでくれましたか。
「それじゃ俺はこいつにするよ。なかなか見所があるじゃねえか」
フェンリルも決めたみたいです。
「私は最初から決めてましたわ。何回も見ていますし」
ヘルは前から気に入っていましたから当たり前でしょう。
「それなら私はこの方にします。この方に力を貸してみたくなりました」
そしてスレイプも決めた様です。
「もう1人の人はスルトのお気に入りですから丁度いいですね。それじゃオーディンさん、トールさん私が本気を出して構いませんね」
「断ればラグナロクを起こす気だろ?…それに俺もこいつ等に興味が湧いたしな」
「しばらく顔を見せねえと思ったら、こんな人間を育ていたとはね。今度育て方を教えろよ」
さて、これで準備は万端です。
功才君流に言えば後は仕上げをご覧じろって、ところですかね。
明日は権蔵を更新予定です
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試練より与える特典に悩んでます