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ザコとお上品王国 ザコ空を飛ぶ

side 功才


 イケメンだろうが美女であろうが形振り構わずに必死に逃げてくる時の形相はきついものがある。

それが美々しく飾られた服や鎧を着ていれば尚更。

ワルキュリア騎士団の方々やエレガンスの王侯貴族の方々が俺達に向かって突進して来ている。


「これは有り難いですね。それじゃ脇に退避しますよ。とりあえずジャイアントクレイゴーレムのお相手はワルキュリアとエレガンスの人達にお任せで」

何もあんなデカ物と真正直に正面からやり合う必要はないんだし。


「ザイツ、あいつ等を盾にするつもりか?」


「ガーグさん、人聞きが悪くないですか。俺はワルキュリアとエレガンスの皆様に囮役をしてもらうだけです」 

まあ、あくまで俺が心の中で勝手にお願いしただけなんだけど。


「コウサ、次の指示をお願い」

流石はマイベストパートナーのメリー、話を元に戻してくれた。


「ガーグさん、イントルさん、ハンナさんは前衛で逃げてくる人達を牽制して下さい。セシリーさん、ジャイアントクレイゴーレムの核がどこにあるか分かりますか?」


「コウサ、ハンナ達ををワルキュリアやエレガンスの人と戦わせるの?」


「メリー、人はパニックになると行動が狭められるんだよ。今なら殆どの人はジャイアントクレイゴーレムから逃れる為に最短ルートをまっしぐら走り抜ける、それしか考えつかないだろうさ。脇に退避したのは巻き込まれない為だし」

「牽制は脇に退避する事を思い付ついた人がこっちに来るのを防ぐ為ですね」


「イントル、次のパニック集団を生まない為だよね」

いつの間にやらハンナさんもイントルさんのベストパートナーに進化していた。


「コウサさん、核はクレイゴーレムのみぞおちの辺りにあります」


「セシリーさんありがとうございます。メリー詳しい場所を聞いたらドライアローをお願い」


「コウサ任せておいて!!それじゃドライアロー!!」

流石はメリー、次々にジャイアントクレイゴーレムに矢が命中していく。

確かに粘土自体は燃えにくい、でも粘土は乾燥に弱い。


「流石はザイツ殿、粘土が白くなってきましたね。それじゃ私は岩でも投げれば良いんですね」

特に急激に乾燥した粘土はもろくなる。


「イントルさん、お願いします。ライトウェポン」


俺が手頃な大きさの岩にライトウェポンを掛けると、それをイントルさんがジャイアントクレイゴーレムに次々に投げつけていく。


「ちっ、核も合体してデカくなってやがる。何人分の魂が入ってるんだか。ザイツ、これからどうするんだ?」


これから核に先輩からもらった御札を貼り付けなきゃいけないんだけど。


「功才くーん、お待たせしました。貴方のナイスガイなお師匠様がお助けに来てあげましたよ」


…もう今更師匠にどこから何時の間に来たかなんてツッコミはしたくないけど。


「師匠、その手に持っている紐はなんですか?」

確実に嫌な予感しかしない。


「功才君、嫌ですよ。君が空を飛ぶ方法はないかって聞いてきたんじゃないです。さあ、この紐を腰に結んで下さい」


御札をジャイアントクレイゴーレムの核に貼るには空中から貼るしかない。

だから師匠に貼るのをお願いしたかったんだけど。


「えと、俺は空を飛べないんですけど」


「分かってますよ。だから私が吊り下げながら核まで連れて行って上げるんじゃないですか」


いやいや、どっかの遊園地のアトラクションじゃないんだから。

しかも紐1本って。「さあ功才君、Let's flyですよ」

師匠が紐を投げつけてくる、紐は俺に触れるとたちまち巻き付いてきた。


「いやいや I Can’t flyですって。師匠聞いてます?ちょ、せめて縄にして下さい」


「大丈夫ですって、丈夫な紐ですから」


「食い込んでる、紐が腰に食い込んでるー」


「ザイツが飛んで行ったな…」

呆気にとられているみんなが遠のいていった。



―――――――――――


 ただ今5mぐらいの高さだろうか。

俺を繋ぎ止めているのはたった1本の紐。


「功才君、折角の空の旅なのにテンションが低いですね。それなら旋回飛行やとんぼ返りをサービスしましょうか?」

「慎んでご遠慮します!!早くクレイゴーレムの所に行きましょ…っ早過ぎですってー、紐が千切れるー!!」


「だってクレイゴーレムの腕をかわさなきゃいけないじゃないですか。それっ右、ほれっ下、ここでムーンサルト!!」

クレイゴーレムの核に近づいた頃には俺はヘロヘロになっていた。


「さあ功才君、早く魂を解放してあげて下さい。私も前からエレガンスのネクロマンサーは気になっていましたしね。娘からも"なんとかしなさい"って怒られていますし」


「分かりました、山田さん信じてますよ」

御札を核に貼り付けた途端核と御札が淡く光り出した。


「さて、これで魂は解放されました。功才君、ネクロマンサーの所に急いで下さい。…落としたら駄目ですか?」


「勘弁して下さい。クレイゴーレムはもう動かないですよ」

既にジャイアントクレイゴーレムは物言わぬ泥人形になっている。


――――――――――


 地面に着くなり俺はへたり込んでしまった。

「コウサッ、コウサッ!!大丈夫?もうすぐ無理すんだから」

メリーが服が汚れるのを構わずに俺を膝枕してくれた。


「ガーグさん、俺の事は良いから早く死者の洞窟に行って下さい」

うん、完璧。実際足に力が入らないんだし。


「よしっイントル、ザイツを背負え。レクレールの好きにさせねえぞ!!」

プチヒール掛けとこ。


冒険者隊のイラスト書ける人とかいますか?

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