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ザコとお上品王国 ザコの推測

side 功才


 警備の厳重なお城の執務室に粘土のついた紙が置かれていたらしい。

そしてそこに書かれていたのは"魔石を返して欲しければ指令はお姫様1人で死者の洞窟に来い"と言う指令。

その所為か船の渡航が禁止された。

ガーグさんとセシリーさんがパーティーに行くまでの空き時間で話し合いを行う事にした。


「死者の洞窟なんて随分と気持ち悪い名前をつけましたね」

日本にあったら肝試しスポットにされていると思う。


「ペルーセン教授から聞いた話なんですけれどもエレガンスで亡くなった人の魂は死者の洞窟に一定期間留められるそうですよ。そして王宮ネクロマンサーが魂を管理しているそうです」

おーえげつないねー、エレガンスの人がクレイゴーレムと戦うのは身内の魂と戦う事になるんだから。


「王宮ネクロマンサーって確か魔石を盗んだキヨ・ワーグがそうですよね。つまり死者の洞窟にいるキヨ・ワーグはクレイゴーレムを作り放題って訳ですか。イントルさん死者の洞窟はどこにあるか分かります?」

「詳しい場所は分かりませんが確かお城から北東に進んだ場所にあるそうですよ。海岸沿いにあるらしいのですが」


「そうかそれを狙っているのかもな。…ガーグさん今夜のパーティーにセシリーさんと一緒にハンナさんとメリーを連れて行ってもらえますか?メリー達はパーティーに行ったらメイドさん達から王女やキヨ・ワーグの噂をそれとなく聞いて来て。イントルさん俺と一緒に酒場へ行ってもらえますか?」

俺にはキヨ・ワーグと戦う気なんてサラサラない、エレガンスにそんな義理もないし。

でもいざという時の為にも情報は必要なんだよね。


「コウサ、メリーに任せて。王女様とキヨ・ワーグの噂を聞いてくれば良いんだよね。あくまで向こうに言ってもらう感じにすれば良いんだよね」

女性からの第一印象が最悪の俺がメイドさんに話し掛けても警戒されるだけ、同性のメリーが相手なら警戒心も緩みやすい。


「そっ、なんでキヨ・ワーグがあんな事をしたかとかね。貴族の女性には新王様を絡めれば聞きやすいと思うんだ」

確かアース・エレガンスは独身だから貴族の女性は正妻の座を狙っている筈。

メイドさんからは王女の噂、貴族からキヨ・ワーグの悪評が聞けると思う。


「それでコウサはイントルと何を調べに酒場行くんだ?まさかイントルにくだらない遊びを教えるんじゃないだろうな!!」


「ちょっ、コウサ!!何をする気なの!!きちんとメリーの目を見て答えて」

ハンナさんとメリーから物凄いオーラが出て来た。


「漁師さんに聞きたい事があるんだよ。死者の洞窟に船で行けるかどうかを確認したいんだって。何より俺は酒場に居る女の人は苦手だ」

船で行けるって事は船で逃げれるって事になる。

ちなみに酒場にいる女性は俺の事を金としかみないと思う。



――――――――――


 俺とイントルさんが目指したのは見た目がいかにも大衆居酒屋な店。

港の出入りが規制されているんなら漁師の仕事も規制されている筈、そうしたらしたい事は飲みだと思う。

爺ちゃんの知り合いの漁師もシケの時は酒を飲んでたし。


「ザイツ殿はまだお酒は禁止ですよ。お茶かジュースを飲んで下さいね」

イントルさんって本当に真面目だと思う。


「分かってますよ。俺1人じゃ絡まれると思うので、イントルさん何かあったら頼みますよ」

俺は女性に嫌われる確率も高いけど怖い人に絡まれる確率も高いんだよな。


「すいません、少し聞きたい事があるんすけど。あっこれはほんの挨拶代わりのお酒っすよ。喉が乾いていると思うので是非飲んで下さい」

俺はお酒をチビチビと飲んでいる男性にコップを渡す、きちんと片手にはもう1つのコップをスタンバイさせておいてある。


「おっ、坊主気が効くじゃねえか。それで何が聞きたいんだ?」


「いやー、つい故郷の親父にそっくりで懐かしさのあまりお声を掛けさせてもらったす。いや実は俺国外から来てるんすけども。噂でエレガンスにやばい洞窟があるって聞いたんすよ。そんな所は近づきたくもないんすけど、俺の頭がそんな場所が大好きなんすよねー。何か情報はあるっすか?」

当然、男性と親父は欠片も似ていない。

使える者は異世界にいる親父でも使ってやる。


「やばい洞窟…?そりゃ死者の洞窟だな。安心しな、エレガンスの船乗りはあそこには近づかねえよ」


「うえっ、そんなやばい所があるんすか?まあ、もう1杯どうぞ。まさか波が荒いとかなんすか?」


「あそこは波は穏やかだよ。洞窟の入り口付近では魚も沢山穫れるそうだぜ。でもあそこに近付くとのは船乗りの禁忌なんだ。毎年、何隻も船が沈められてるんだよ」

ここで大事なのは船が沈むんじゃなく、沈められるって事。

多分、ネクロマンサーが霊魂を使って船を沈めてるんだろう。

そして洞窟からも船で逃げ出せると思う。



――――――――――


 「コウサ、やっぱりアーキ王女様とキヨ・ワーグは親しかったんだって。それとアーキ王女には縁談が持ち上がっているみたいよ」

メリーが喜色満面で報告をしてくる。


「キヨ・ワーグは良く言えば優しい性格で悪く言えば優柔不断な性格だそうよ。ウダウダした男なんてどこが良いのかしらね」

セシリーさん、ガーグさんと比べたら大概の人が優柔不断になります。


「自分が聞いた話だとキヨ・ワーグはアース王と不仲だって聞いたぞ。キヨ・ワーグは魂を死者の洞窟を管理する事に難色を示していたみたいだぜ」


予想通りだ。

キヨ・ワーグとアーキ王女は恋人同士なんだろう。

アーキ王女は縁談が嫌でキヨ・ワーグに泣きついたんだと思う。

問題は誰がキヨ・ワーグ達にこの話を持ち掛けたのかだ。

そしてその首謀者は小舟で逃げて来たキヨ・ワーグとアーキ王女を国外に連れ出してやるとか言ったんだろう。

そう、魔石と一緒に。

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