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ザコとお上品王国 王と妃と汚れ役

side 功才


 非常に空気が重い。

カヅさんが頬を赤らめた事に気付いたセシリーさんは不機嫌な表情のまま黙っている。

一方、カヅさんは輝かんばかりの笑顔でガーグさんにワルキリュアの事を説明中。


(コウサ、セシリー姐さん大丈夫かな?)


(遅かれ早かれエルフィンが国交を回復した時からこういう事をある程度は覚悟をしてたと思うけど流石に平気じゃないだろうね)

以心伝心は、本音を話せない場面で凄く重宝している。


(やっぱりガーグさんは側室を持たなきゃ駄目なの?)


(それは難しい質問だよ。ガーグさん個人としては側室を必要としないけど国としては外交の手段になるからね)

外国からの側室はある意味で人質、でもそれで不可侵条約が成り立つのなら完璧に否定は出来ない。


(コウサ、何とかならないかな?)


(こればっかりはガーグさんが決める事だからね。それに王族へ嫁ぐなんて個人の意志で決めれる事じゃないよ。後はセシリーさんがどれだけ面の皮を厚くして、したたかな対応が出来るかどうかだよ)

これからガーグさんが活躍すればするほど、外国から見合い話が山の様に来るだろう。

基本はエルフと人の寿命の差を説いて拒否するのが1番なんだけれど、ハーフエルフとか出して来られたらアウトなんだし。



――――――――――


 エレガンスに行く船は明日の朝一番で出るとの事で、俺達はワルキリュアに一泊する事にしたんだけども。

でも何、この落ち着かない部屋は?

宿屋は少女趣味全開、パステルカラーの内装にレースや花柄がそこかしこに。


「コウサ、ガーグさんってセシリー姐さん以外の女の人も抱けると思う?…男の人って愛がなくても平気なんでしょ?」

他人事と油断していたら、とんでもない地雷原に呼び込まれてしまいました。


「ガーグさんはシャルレーゼ様に育てられただけあって、かなりの堅物だよ。冒険者時代に娼婦と遊んだ事が無かったって言うし」


「娼婦?やっぱりコウサも興味があるんだ?他の女に渡すぐらいならいっそメリーの手で…」

メリーはセシリーさんの落ち込んだ姿を見てナーバスになったのか発想が危険な方向にいっている。


「興味があるとしたら公的に認可するかどうかって法律レベルでの興味ならあるよ。幸いエルフの人達は性欲が薄いみたいからエルフィンには非認可の娼館とかはないから急ぎの案件じゃないけどね」

我ながら見事な切り返し、これでふとした弾みに娼婦って言葉が会話に出て来ても安全な筈。


「それなら何で考えてるの?必要ないんなら考える必要もないでしょ!!」

メリーさん、攻撃の手を緩めてくれず。


「外資が入って来たらエルフィンの女性が身売りする可能性は否定出来ないからね。エルフの女性は綺麗で高値がつくとなると詐欺紛いの事をしてくる商人が出て来ないとは言えないし。それなら国で借金を肩代わりして公営の娼館を建てるべきか、それとも他国の商人の動きを制限するのが妥当か色々と考える訳さ。エルフィンの汚れ担当としてはね」

ガーグさんに汚れ役をさせる訳にいかないし、詩人として有名なイントルさんも同様、ましてエルフィンの国民に他民族に変な先入観は与えたくない。


「コウサは考え過ぎで背負い込み過ぎだよ。…旅の間は愛し合えなかったから、今日はいっぱいしよ」

結果、危うく船の時間に遅れそうになりました。

まあ、ガーグさんやイントルさんもギリギリだったけど。

男性陣目の下にクマを作りまくりで女性陣はお肌がツヤツヤしている。


――――――――――


 「コウサー、海だよ、海!大きいねー、ずっと遠くまで海なんだねー」


「波は穏やかだし地形を見ると内海だな。…あの微かに見えるのがエレガンスなんだろうね」


今回はエレガンスからの招待と言う事もあり王家から船が迎えに来てくれるらしい。

船は木造の帆船、大きさは20m近いだろう。

そしてついに来ました、お約束なキャラが!

帆船の前にはツバの広い黒い帽子を被り、細かい金の刺繍がはいった黒い上着を着て、顔には8の字髭、身長は180㎝ぐらいの男がいました。

その姿は正に海賊船の船長、ファンタジーな異世界に来て初めて期待を裏切らない人に会えたんだよな。


「ようこそエルフィンの皆様、僕のシップへようこそ。僕はこのシップのキャプテン、キャプテン・ザ・ショウだ」

えと、僕でキャプテン座礁?


「キャプテン駄目ですよ。エルフはお上品な種族なんですから、そんな言葉遣いだと怖がっちゃいますよ」

こちらも水色と白の縞を着たお約束な水夫が諫める。


「そうだよね。でも僕も海の荒くれ者だ、海には海の流儀があると理解してもらわなきゃね」

多分、エレガンスでザ・ショウの言葉遣いは荒い口調に入るんだと思う。

しかしエルフィン使節団に怯えている人は1人もいない。

それは慣れだと思う、そしてその原因が使節団の中から出て来た。


「お前は海の荒くれ者なのか。俺も陸じゃ荒くれガーグって呼ばれてんだ。よろしく頼むぜ。うちの連中が馬鹿を言ったら海に捨てて構わないぜ。特にザイツって奴なら俺の許可はいらねえからよ」

身長2mのエセエルフ王子が豪快に笑ってザ・ショウさんを見下ろしながら肩をバシバシと叩く。


「あのその王子様にご挨拶をしたいんですけども」

本物の荒くれ者に会ってガチガチのザ・ショウさん。


「あん?!挨拶だあ?もう済んだからいらねえよ。俺がガーグ・エルフィンローズ、エルフィンの王子だ」

一瞬にして凍りつくザ・ショウさんと水夫さん達。


「ガーグ王子、駄目ですよ。エレガンスはお上品な国なんですから、ガーグ王子を見たら脅えてしまいますよ」

ここぞとばかりにミッシェルさんが切り返す。


「おい待てミッシェル。どういう意味だよ?」


「そのまんまの意味じゃん。この浮気王子」

そしてセシリーさんがガーグさんに絡み出す。


「誰が浮気王子だ?セシリーお前昨日あれだけ嫌味を言ったのにまだ足りねえのか?」


「ふんっだ!ガー君なんて昼は鼻の下伸ばして夜は下のモノを伸ばしたスケベ王子じゃない」


「セシリー、お前朝から何言ってんだよ」


「それじゃ夕べガー君が私に言ってくれた言葉も言っちゃうよ。"セシリー、愛してるから俺を捨てないで"」「ストッープ、セシリー頼むからそこで終えてくれ。話は夜にゆっくり聞くから」

師匠、尻に敷かれし者の効果が強過ぎます。


「コウサ、セシリー姐さん達元に戻ったみたいだね」


「戻ったってより、日に日にガーグさんが立場が弱くなってないか?」

繋がれし者としては恐怖を感じてしまうんだけど。


勇者パーティーを考えなくては

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