ザコと獣人の国 所変われば名前も
このネタを入れたいが為に今回の話を書いたかも知れません。
side 功才
ガーグさんに絡まれて意気消沈するティマー共和国の人達を連れて会議室へ。
「それでどんな魔物が現れたんすか?なんでティマー共和国内で対応をしないんすか?」
虎の威を借る狐ならぬガーグさんの威を借るザコ、それが俺。
「ティマー共和国では牛人騎士団が一番強いと聞いていますが」
流石はイントルさんそんな情報も知ってるんだ。
まあ、確かに犬、猫、牛、馬、リス、亀、トカゲ、魚で一番強そうなのは牛だし。
「それが牛の魔物でして。牛人騎士団は討伐をしたくないと言いまして」
プー男爵の歯切れが、どことなく悪い。
牛の魔物で有名なのはミノタウロス。
でもあれはミノス王の雄牛って意味の魔物だからオーディヌスにいる訳がないよな。
「それで何て魔物なんすか?名前が分からないと対応が出来ないっすよ」
「あのヒレタウロスが現れました。牛人族が言うにはヒレタウロスは我らの先祖だから倒す訳にはいかないと」
何、その美味しそうな名前は?
ミノじゃなくヒレって、焼き肉繋がり?
データボール参照ヒレタウロス
ヒレタウロスは類人猿ならぬ類人牛なんですよ。
でも牛人族には、昔ヒレース神が選ばれし牛に種を宿した事によりヒレタウロスが産まれ、そこから牛人族が始まったって言う神話があるそうなんですよ。
だからヒレタウロスは魔物でも牛人族の中では信仰対象になってるんですね。
功才君、私の仕込み受けましたか?
師匠、笑いの為に神話に仕込みをしないで下さい。
さすがに牛人族の人達が可哀想です。
「ヒレタウロスか。厄介な魔物だよな、力は強いし、得物も持ってんだよな」
「ええ、確かヒレタウロスはポールアックスを使う筈です」
「斧なら自分もヒレタウロスに負けない自信がある!!」
「でもハンナは力でヒレタウロスに勝てないでしょ?コウサならどうするの?」
俺以外は真剣な表情、師匠これは何の嫌がらせですか?
うん、取りあえずミノタウロスを調べてみよう。
データボール参照ミノタウロス
ミノタウロスは身長3mの筋肉隆々な二足歩行の牛です。
何で手は5本指で足は蹄なの?とか蹄鉄なくて蹄悪くならないのとか?武器はどこで手に入れたの?とか突っ込んじゃいけません。
ちなみに弱点は牛と一緒ですよ。
功才君、やっぱりシモフリタウロスの方が良かったですかね?
師匠、シモフリ神は流石に無しだと思います。
確か牛の弱点は鼻と後頭部だよな。
うん、3mだから狙いようがない。
それに
「確認したいんすけども、ヒレタウロスを倒せば良いんすか?それとも大人しくさせれば良いんすか?もしかして牛人族から恨まれたくないから頼みに来たんじゃないっすか?」
「コウサ、どう言う事?」
「早い話がヒレタウロスを倒すだけなら他の部族でも十分なんだよ。でも倒したら牛人族の反感を買う可能性があるだろ?だから共和国の和を乱さない為にもエルフィンに頼みに来たんすよね?」
顔が青くなった所を見ると正解らしい。
「それは何と言いますか。そのあの…」
ますます歯切れが悪くなりプー男爵、ブルドックな犬耳がヘニャリとなっている。
「それともう1つ聞きたいん事があるんすよ。ティマー共和国には良くヒレタウロスが現れるんすか?」
いや、現れないだろ。
良く現れるんなら自国で対策が出来てるんだし。
そして喚んだのはレクレールだと思う。
「いえ、初めてです。ヒレタウロスは村を襲い人をさらっては食料にしているらしく早く対策を打ちたいのんですが。倒すと牛人族に攻められる可能性が高いので」
肉食の牛ってありかより?
まあ、ミノタウロスも人を食べていたって伝説にあるけど。
「ヒレタウロスは牛人族の村は襲わないんすか?」
「ええ、被害があるのは我ら犬人族と猫人族、今日は来ていませんがリス人族の村も被害に遭ってます」
ヒレタウロスは何とかするとして、レクレールの狙いは何だろう?
勇者は獣耳ハーレムでも作るつもりなのか?
「すいませんが俺達だけで話し合いをさせて欲しいっす。何せ重大な要件なんすから」
取りあえず、ティマー共和国の方々には有無を言わせずにエルフ騎士団によって来客室に移ってもらった。
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「ザイツ、今回もレクレールの連中の仕業なのか?」
「そうだと思うんですけど。なんでティマー共和国を狙ったのかが分からないんですよ、ティマー共和国に恩を売るメリットは何があるか知りたいんですよ」
ティマー共和国なんて面倒臭い国に、レクレールが好き好んで関わるには何かがある筈だ。
「確か昔の勇者で亀人族の力を借りて人魚族の国に行きオリハルコンの剣を授かったと言う話がありますが」
オーディヌスで浦島太郎とムー大陸が合体。
「トカゲ人族は古代竜を信奉しているらしいから、古代竜と契約をしたいんじゃねえか?」
すいません、うちの師匠は古代竜を泣かしました。
「どっちも不確定要素が強すぎるんすよね」
「そう言えばお父さんから聞いた事があるんだけど、リス人族は世界樹に繋がる道を知ってるんだって」
「メリー、それだよ。勇者達は世界樹を登ってレクーに会いに行くつもりなんじゃないか?」
多分、光は天から降り注いでいるから世界樹を登っていけばレクーに会えると思ってるんだろう。
若しくは、会えなくても会ってきたと言うつもりなのかも知れない。
自分達をより特別にする為にも。
ちなみに伝説ではミノタウロスはミノス王の奥さんと雄牛の間に産まれたそうです。