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ザコと獣人の国 吠えてきた犬

活動報告でお気に入りトップがザコだったので更新しました

side 功才


 俺達がエルフィンに戻って、数日たったある日の事。

ドワーフの国ヘイムランドからの使者が来た。

代表者の名前はイテーツ・ガンコーンさん、ヘイムランドで一番腕か経つ鍛冶職人らしい。


「頼む、あの釣り竿の仕組みを教えてくれ。あの作り方が分かれば色々と応用が効くんだ。お前が望むんならどんな無茶も聞いてやる」


どうしましょう、土下座をされてしまいました。

それは俺の専売特許なのに。


「条件があるっすよ。まずはガーグ冒険者隊の専用武具を作る事、そしてこれを再現してもらう事っす」


俺が手渡しのは姉ちゃんがくれた活版印刷や農機具、井戸掘りの技術や道具が書かれた冊子を俺が訳し直した物。


「これは…おい!!お前らこれを見ろ。これを作れたら技術革新が出来るぞ」


「面白れえ!!こんな方法があったなんて」


「これなら荒れ地も楽に耕せるんじゃねえか!!」


ドワーフさん達は物凄く興奮している。


「その道具を作って同盟国だけに輸出して欲しいっす。それとこれはどれ位の期間で作れるっすか?」


次に渡したのは鶏小屋の設計図、エルフィンには金網を再現する技術がないんだよね。

広い土地で鶏を放し飼いにしたいけれど獣に襲われる可能性があるから鶏小屋を作りたいんだよな。

ちなみに中に小さいな水路を流して水飲み場を確保、卵を産み易い場所を作り回収を効率化していく予定。


ゆくゆくはエルフィンに養鶏場を複数作りたい。

肉食を好まないエルフの皆さんも卵は好きだし。


「良いのか?これは国家機密並みの技術だぞ」


「エルフィンじゃ再現が出来ないし、安定供給も難しいんすよ。実現出来ないアイディアをひた隠しにするより、マシじゃないっすか」


ちなみに荒れ地の多いヘイムランドに木材を安定供給出来るのはエルフィンだけなんだよね。

エルフの各領主さん達には間伐材を導入した森の管理方法を提案してある。


「よっし!!分かった。お前らが作って欲しい武器を教えろ、俺が気合いを入れて作ってやる」


俺がお願いしたのは

ガーグさんには刀身が分厚いミスリルビック鉈。

切って良し、殴って良し、防いで良しなガーグさんにピッタリの無骨な武器。

だってガーグさんに華麗なミスリルソードは似合わないし。

イントルさんには、ミスリルトンファー、イントルさんサイズだから棍棒並みの太さがある。

ハンナさんにはミスリルバトルアックス。

斬る、突く、叩くが出来る万能斧。

イントルさんと組み手をしている今のハンナさんなら使いこなせる筈。

セシリーさんには、ボウガン。

力が弱くても使えるし牽制にも使える。

メリーにはフルオーダーメイドの弓矢。

早い話がメリーだけに合わせた弓矢、でも何やらこっぱずかしい名前を考えてるみたいだ。

そして俺にはミスリル仕込み槍。

一見すると、ただの木の杖。

でも蓋をとると、あら!!不思議ミスリルの槍に大変身。

俺がミスリル槍なんて持っていたら、カツアゲされかねないからね。


流石はと言うか何と言うかドワーフさん達は、鶏小屋を直ぐに作ってくれた。


卵の味も良く美才からも、合格を貰っている。



――――――――――



 そして農地改革や養鶏場設置にいそしんでいたある日の事。

俺達はガーグさんの執務室に呼ばれていた。


「さっき国境警備兵から連絡が来た。ティーマ共和国から使者が来てるんだとよ」


「事前連絡も無しにですか?どんな獣人が来て人数はどれ位なんですか?」


つうか、交易しているんだから連絡を寄越すの普通だろ?

逆に考えれば、あまり外に漏れて欲しくない事情があるのかも知れない。


「来たのたは犬人族が3人と猫人族が3人の計6人。全員が野郎で、そのうち代表者2人は中年で残りは護衛らしい」


「態度はどんな感じなんですか?」


「結構、強気らしいぜ。なんで入国を許さないんだって吠えてるらしい」


犬だけに弱い犬ほどよく吠えるのパターンに期待。


「確実に面倒事を持って来ましたね。ザイツさんどうしますか?」


流石はミッシェルさん、俺と同じ読みなんだね。


「取りあえず俺が接触します。ミッシェルさんはガーグさん達の…準備をお願いします。メリーは俺と一緒に来て」


「そう来ましたか。それなら…しときますね」


俺達2人だけが笑い合うと、周りは若干引き気味になっていた。



――――――――――


 俺とメリーの2人は馬車で国境に向かっていた。


「コウサ、なんでミッシェルさんはティーマの人達が面倒事を持って来たって分かったの?」


「先ずは事前に書状を送って来なかったの事、中年男性が護衛を連れて来た事、そして妙に強気な事、この3つが揃ったからだよ」


「事前に書状を出さなかったのはバレるのを防ぐ為でしょ?」


メリーが上目遣いで確認をしてくる。

…馬車じゃなきゃ抱いてしまいそうな可愛さた。


「そっ、国交がなく交易だけしているティーマ共和国が書状を託せるのは商人しかいないからね。つまりそれだけバレたくない相談事なんだよ」


いきなりエルフィンに書状を託したらエルフィンの商人は色々と調べ始めるだろうから。


「中年の男性には何か意味があるの?」


「ティーマが頼み事をしてくる前提なんだけども、普通は困って頼み事をしてくる時はある程度の地位がある人の娘を遣わすんだよ。見た目が良ければ関心も集まるし同情もひけるし、人質としても使えるからね。逆に護衛を連れて来て強気なのは脅迫に近い形で契約をしたいんだろうな。まっエルフィン相手に美少女の遣いを送るより効果的だと踏んだだろ」


何しろエルフィンは美少女、美少年率が半端じゃないんだから。


「そっか、だからコウサはガーグさんにあの格好をさせたんだ」


「そこでメリーにお願い。ティーマの連中の尻尾をチェックしておいて」


さてと、ティーマの困ったワンちゃん、猫ちゃん達に事前調査の大切さを教えてあげしょうか。

俺はガーグさんの影に隠れておくけどね。


次回 萌えない獣耳に期待

はしなくて良いんです

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