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幕間 里帰りラプソディー 〜到着の幕〜

カワウソさんからリクエストがあったものを参考にしました。

 デュクセン皇国の貴族、ジン・リーフ子爵は自分の不運を嘆いていた。

彼の領地にある小さな村ジュンゲル村。

密林の名を持つ村だけに、村人の殆どは猟師や木こりを生業としている。

税収も少なく普段なら領主のジンすら見向きもしない小さな村なのだが、その村に突然各国の要人が訪れる事になったのだ。

まずはデュクセン王の側近シャイン・マクスウェル伯爵と婚約者のミント・ブロッサム。

バルドー聖王国の宮廷魔術師ミッシェル・スターローズ。

ルーンランドから魔法研究所所長ヤ・ツーレ、ロックオーガ伯爵一家、ルーンランド国立大学教授ペルーセン教授、宮廷魔術師フリードマン、宮廷詩人のクリスティーヌ、指揮者のファンドン、画家のピルーネ。

そしてエルフィン国からは現女王のシャルレーゼ・エルフィンローズとその曾孫ガーグ・エルフィンローズ。

デュクセンで要人の接待は、その土地の領主が担当しなければならない。


(シャイン様達なら日帰りをお願いできるけれど、ミッシェル・スターローズとヤ・ツーレは怒らせたら恐いので有名なんだよなー。ロックオーガ伯爵なんて傭兵隊の隊長じゃん。それに現役女王と王位継承者なんて普通は国賓だろ?なんでジュンゲル村なんかに来るんだよ)


もし接待に失敗でもしたら、不興をかったら、山賊に襲われでもしたらとジン子爵の重圧は日に日に増していくのであった。



side 功才


ジンの嘆きの原因となった男も移動する馬車の中で重圧に押し潰されそうになっていた。

原因は彼が尊敬して止まない姉が帰り際に言った一言。


「さっさっとメリーちゃんのご両親に挨拶をして来なさい」


そう、ジュンゲル村は功才の恋人メリーの生まれ故郷であったのだ。


(姉ちゃんの馬鹿、みんなの前で言われたら拒否出来る訳ないだろ。しかもシャルレーゼ様まで着いてくるとはね)


「コウサ、これでメリーとコウサの仲はますます深まるんだよ。きっとコウサはアレを言ってくれるんだよね」


期待が満載の目で見てくるメリーが言っているアレとは多分"娘さんを僕に下さい"だと思う。


「言える空気ならね。まずはメリーのご両親に俺の事を認めてもらわなきゃ。別世界の人間なんて分かったら反対されそうだよな」


あれか、"一発、殴らせろ"とか"俺を倒さなきゃ娘はやらん"とか言われるんだろうな。


「ザイツ殿はまだ良いですよ。私なんてトロルなんですから」


「イントルさんにはルーンランドから応援団が来るじゃないですか」


話を聞いたら1人でもジュンゲル村を買える財力があるらしい。


「その為にザイツには儂が保証人として来たんじゃろが。馬鹿孫じゃと足を引っ張りかねないからな」


シャルレーゼ様が威風堂々と言い放つ。

有り難いんだけれどもシャルレーゼ様が動いた為に近衛兵や侍女も着いて来ているし、デュクセン代表としてシャイン様が選ばれたらしい。

結果なんとも大がかりな挨拶になってしまった。


「あのな大事な相棒と弟分の一大事に馬鹿はしねえつーの。ババアが動くと国費の無駄になるだろうが」


「少しは頭を使え馬鹿孫。今まで儂はエルフィンから殆ど出なかったから、今回の出立は同盟を強化する意味もあるじゃろが」


まあ、シャルレーゼ様自ら動く事で、エルフィンが開かれた国に変わったとアピールが出来るんだよな。

そんな時、俺の携帯からプチロッキ君音頭が流れてきた、師匠からのメールだ。


"コウサ君、メリーさんにイケメンの幼馴染みとか親が決めた婚約者がいたらどうします?そう言えばコウサ君の国には焼けぼっくいに火が着くって言葉がありましたよね"


…俺はメリーを信じるよ。

でもイケメンの幼馴染みか…いたら、どうしよう。


「じ、自分は親父が反対してもイントルとエルフィンで暮らす。イントル以外の男は自分には必要ない」


ハンナさんが顔を真っ赤にしながら宣言をする。


「ハンナありがとうこざいます。私も認められる様に頑張りますね」


うん、各国の要人+エルフィンの近衛兵+メリーの期待+イントルさんの宣言=俺に逃げ場無し



――――――――――


その頃、ジュンゲル村では蜂の巣をつついた様な騒ぎになっていた。

領主が10数年振りに訪れただけでも大騒ぎなのに、その領主から語られたのは村人達からは想像もつかない様な権力者達が村を訪れるとの話。

森の恩恵で生きているジュンゲル村の民はエルフの王族に対して信仰に近い物をもっている。

その王族をどうもてなすか、何の為に来るのか、議論が鳴り止む事はなかった。


「今森ではどんな獲物がとれるのじゃ」


村長の問いに答えるの猟師ボーゲン・プルングプ


「村長、エルフは肉を好まないと聞く。木こりの連中に森の恵みを聞いた方がいいんじゃないか?」


それに応えるのは木こりのアクスト・ハンネス


「森の恵みはあるが、それを料理出来る人材がいねえぞ。まさか女王様や伯爵様に田舎料理は出せないだろ」


2人共、騒動の原因が自分の娘だとは知る由もなかった。


―――――――――


議論はまとまらないまま、要人がジュンゲルを訪れる日が来た。

緊張しているジン子爵と村人の前に現れたのは豪華な装飾が施された馬車、そしてその馬車から降りたったのは


「なんか前に帰って来てから1年も経ってないのに凄い久しぶりの感じがするねー」


「仕方ないだろ。自分達はここ半年の間で色んな経験してきたからな」


「メ、メリー!?」「ハンナ!?」


そう、馬車から降りてきたのはジュンゲル村から2年ほど前に旅立って行ったメリー・プルングとハンナ・ハンネスであったのだ。



side メリー


お父さん達が唖然としている。

そりゃ私とハンナがエルフィンの馬車から出て来たんだから仕方ないんだけど。


それより大事なのはお父さんの隣に幼馴染みのウッド・スレイヤーがいる事。

私の心の中ではコウサに誤解されたくないって気持ちとコウサに悪戯したい気持ちがケンカをしていた。

コウサなら私の名前を呼びながら近づいて来ているのがお父さんだと分かる筈。

(コウサったらウッドを見つけた瞬間にシュンとしちゃって。捨てられた子犬みたいな目になってるし。もーうコウサは可愛いんだからー)


もう少しコウサを見ていたいけれど、ここは内助の功を発揮しなきゃいけない場面。


「お父さんお母さんただいま。紹介するね、隣にいるのがメリーの彼氏のザイツ・コウサだよ。今コウサとメリーはエルフィンに仕えているんだよ」


「ジャ、ジャイツ・コウシャでふっ。メ、メリーしゃんとの仲を認めてもらいたくいて参上いたしまひた」


コウサは緊張から噛みまくり、お顔は汗だらけ。

コウサ、反則な位に可愛い過ぎだよ。

セシリー姐さんにムービー撮影をお願いしておいて大正解。

感想、幕間リクエスト(幼なじみ関連以外)お待ちしています

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