ザコと姉妹 姉妹異世界へ
久しぶりあの2人がでます
side 栄華
またあのテントを見つけた。
今度のテントは水玉模様、看板には天気予報と同じぐらいに当たるロッキさんのすぺしゃる占いと書かれている。
「おやおや、これは功才君のお姉さまじゃないですか。偶然の再会ですね」
し、白々しい。
演技も何もせずに棒読みの台詞をよく言えるわね。
「うちの愚弟が世話になっているみたいですから偶然にしておきますね。それで今日はなんの用事でしょうか?」
「それはこれですよ。貴女と美才ちゃんをオーディヌス財津功才の奇跡を巡る旅にご招待します。もちろん移動代は無料、滞在費は功才君持ち、帰りはきちんと日本に送ってきますから」
そう言ってロッキさんは私に2枚のチケットを手渡してきた。
「それはありがたいけど、いきなりどうしたのかしら?」
「美才ちゃんが功才君に会いたがっていると聞きまし、それに今のうちに功才君に元気をつけてあげたいんですよ。準備が出来たらそのチケットを例の鱗に重ねて下さい、そして功才君に電話を掛ければオッケーですよ」
お土産は何が良いかしらね。
でも先ずは美才に教えてあげなきゃ。
side 美才
「美才、次の休みに功才の所に遊びに行かない?」
!!!!!!!今、お姉ちゃんはお兄ちゃんの所に遊びに行かないって言ったんだよね?
「行く!!絶対に行く!!何が何でもお兄ちゃんに会いに行く!!」
お兄ちゃんに会ったら何してもおうかな。
まず卵焼きを作ってもらって(これは絶対)、膝枕で耳掻きをしてもらって(お兄ちゃんの膝枕は美才の癒しスポット)、とにかくお兄ちゃんに甘えるんだ!!
「それなら決まりね。お土産は何が良いかしらね」
お兄ちゃんへのお土産か。
ここは重要、みんなが喜ぶお土産を持って行けばお兄ちゃんは鼻高々、美才はお兄ちゃんの自慢の妹として紹介される筈。
お兄ちゃんから聞いた話だとオーディヌスは中世ヨーロッパに近いとの事。
美才はここでお菓子を選ぶなんて平凡な選択はしない、そうできる妹は違うんだから。
side 功才
いよいよ姉ちゃん達がオーディヌスにくる日が来た。
「ザイツ、少しは落ち着いたらどうだ?朝からソワソワしやがって似合わねえぞ」
ガーグさんがニタニタと笑いながら話し掛けてきた、姉ちゃん達が来たら俺をからかう気が満々なんだろう。
「ガーグさん、コウサはエイカ義姉さんやミサちゃんに会えるのが楽しみで仕方ないんですよ。ねっ、コウサ」
「いや楽しみつーか、妙に照れ臭いつーか変な気持ちなんだよ」
姉ちゃん達に日本で見せてた顔とオーディヌスで冒険者している顔は全くの別物なんだし。
「でも自分はコウサの姉妹がアイドルだってのが今だに信じられないんだよな。アイドルってルーンランドのマジックガールズみたいな人達なんだろ?」
ハンナさんは姉ちゃん達を見ても俺の姉妹とは信じないと思う、つーかメリー以外は全員信じないだろう。
「何にしろ私達はザイツ殿の家族を歓迎するだけですよ」
「ザイツさん歓迎準備は、ばっちりだから任せてね」
うん、みんなに感謝しなきゃな。
そして俺の携帯が鳴った。
「あっ、姉ちゃん…うん、いつ来ても大丈夫だよ」
そして俺の目の前が淡く光る、光が消えるとそこには姉ちゃんと美才が立っていた。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃーん。会いたかったよー」
美才は涙を流しながら俺に抱きついて来た。
「功才、元気そうで安心したわ。良かったらみんなを紹介してもらえる?」
姉ちゃんが優しく微笑む。
まさに感動の再会、みんなも涙を流して…
あれ?なんでみんな呆然としてるんだろ?
「おいザイツなんで他人が来たんだ?」
いやガーグさん、美才がお兄ちゃんって言ってたじゃん。
「メ、メリー、ミサちゃんとエイカさんって義理の姉妹だったのか?」
うわっ、オーディヌスでも血が繋がってない疑惑をもたれた。
「ザイツ殿、確か兄弟姉妹ならDNAが極めて近いと聞いたのですが」
DNAレベルの疑惑なのか?
「ガ、ガー君、ガークとシャルレーゼ様ぐらい似てないよ」
あの俺と姉ちゃん達には他種族の血とかは入ってないんですけども。
どうやったらみんなを納得させる事が出来る?
姉ちゃん達やメリーの証言じゃ弱いか。
それなら…俺が熟考モードに入った瞬間、頭に猛烈な痛みを感じた。
「こーうさー、お姉ちゃんがなんて言ったかちゃんと聞いてた?きちんと皆様を紹介しなさい」
姉ちゃんの拳骨は久しぶりに味わっても痛い。
「つー。姉ちゃん、いきなり何すんだよ!」
「何ってお姉ちゃんの愛情たっぷりの拳骨じゃない?忘れたんならもう一度味わせてあげようか」
「もう結構です、すっきりくっきり思い出しました。みんなの紹介ですよね」
ちきしょー、この人をお姉さんにしたいタレント1位に選んだ奴の気がしれない。
「功才、今失礼な事を考えてたでしょ。全くこの子は」
不幸中の幸いってやつで、このやりとりで身内だと信用されたらしい。
「えーとまずはあそこにいる見た目がヤクザの親分みたいなハゲ頭の人がガーグ・エルフィンローズさん。信じれないかも知れないけども、この城の王子様で俺の所属する冒険者隊のリーダーだよ」
「ガーグ王子様ですか、うちの馬鹿がお世話になっているみたいで…功才っ貴方は人の見た目にあれこれ言える顔じゃないでしょ?」
心の中で叫んでやる、言論弾圧だと。
「いやザイツには俺達の方が助けられてばかりですよ。しかしあのザイツの口を封じれるとはさすがお姉様ですね」
「あら簡単ですわよ。こうすれば何も言わなくなりますから」
そう言って姉ちゃんは俺の頬をつねる。
あっ、ガーグさんの目が点になってら。
「次に俺が冒険者隊の中で一番お世話になっているイントルさん」
「お兄ちゃん、イントルさんってすっごい大きいんだね」
美才はイントルさんの大きさに驚いた様で目を丸くして見上げている。
「ミサさんでしたね。私はトロルという種族なんですよ、私もお兄さんには何回も救われたんですよ」
「次にメリーの幼馴染みでイントルさんの恋人のハンナ・ハンネスさん」
「自分がハンナだ。イントル共々よろしく頼むっ。後コウサを大人しくさせる方法をぜひ教えて欲しい」
くっ、このままじゃやばい。
次にいかないと
「そして次がセシリー・エルレインさん。セシリーさんはエルフなんだよ」
「ふぇーお兄ちゃんセシリーさんって美人だねー。それになんか優雅なかんじー」
「はっ、セシリーが優雅?ザイツの妹さんよ、それは見間違いだよ」
大声で笑うガーグさん、お陰で細かい説明はいらなくなると思う。
「ガー君みたいなごついのを見た後だから私が優雅に見えたんだよ」
「誰がごついだ、初対面の客人の前で普通そんな事を言うか?」
「最初に言ったのはガー君じゃない。なによこのハゲ王子」
「何だと、この泣き虫エルフ。お前は将来の王妃だろうが、王をたてる気はねえのか」
「毎晩きちんとたたせてあげてるじゃない」
「わー、ここでそれを言うか?お前は馬鹿か?いや悪かった、俺が全面的に悪かった」
それはいつもの賑やかな日常、ガーグ冒険者隊のいつもの光景だった。
「何つーか、俺はいつもこんな感じで賑やかにやってるよ」
とりあえず姉ちゃん達は安心してくれた様だ。
師匠が何気に大事な事を言っています
栄華と美才がでると話が進みやすい