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ザコとドワーフ 同盟と静かな時間

ちょっと何時もと違う感じになります。


side 功才


ガーグさんとアドバンリ王が目覚めたのは日没後だった為、話し合いは次の日に持ち越しとなった。


それは理解できる、同盟の様な国家の一大事を簡単に決める必要はない。

しかし声を大にして言いたい。

話し合いに俺は必要ないだろ!!と

ヘイムランドの代表はアドバンリ王と長子のアドバイル王子そして外務大臣。

エルフィンからはガーグさんと将来の外務大臣のイントルさんと何故か俺。

イントルさんは将来の外務大臣だから分かるけども俺は蚊帳の外で動きたいんだよな。

出来たらこのまま話し合いに参加しないで終わりたいんだけども、念の為にあれをしとくか。


side メリー


コウサの事を良く知らない人はきっとこう言うだろう、三下の小物、不細工で弱い猿人族の少年だと。

コウサの能力を初めて見た人はこう言うだろう、卑怯で姑息なペテン師だと。

コウサを良く知っている人はこう言うだろう、気がつけば他人を自分のペースに乗せてしまう男だと。

でも誰も本当のコウサを知らない。

ううん、知っているのは彼の恋人である私だけ。

コウサは今私の膝の上でを静かに目を閉じて考え事をしている。

その顔には寂しさと虚しさに満ち溢れていた。


「コウサ、話し合いはどうなったの?」

朝から始まった話し合いは午後になってようやく終わったみたい。


「とりあえず両国が合意したから後日エルフィンにて正式に同盟を結ぶ事になったよ」


「随分とあっさりだね。ドワーフはエルフの事を嫌いじゃなかったの?」


「アドバンリ王とチョマー家は顔馴染みでシャルレーゼ様とも懇意なんだってさ。アドバンリ王が不安だったのはガーグさんが復讐に執着しているんじゃないかって事。復讐にかられて戦を起こされたんじゃ同盟国はたまったたもんじゃないからな」


コウサは淡々と話をしている。


「それなら安心だよね。ガーグさんにはセシリーさんがついてるし」


「ガーグさんはね。念のためにドワーフには餌を巻いとたし」


溜め息を漏らしながらコウサが呟く。


「餌って、アドバンリ様は同盟を約束してくれたんでしょ?」


「正式には同盟は締結してないから俺達が帰った後に同盟に反対するドワーフがいてもおかしくないんだよ。だから餌を巻いといた、ドワーフが思わず食いつく餌をね」


「今度は何をしたの?」


「向こうから持ってきた釣り竿を渡したんだよ。あれにはネジとかリールとか色々とオーディヌスにはない技術が詰まってるから。それにルーンランドで作ってもらった装備も見せたから対抗意識を燃やすと思うよ」


そう言ってコウサはまた目を閉じる。

コウサは眉間にしわを寄せて真剣な表情になった。


「コウサ大丈夫?なんか元気ないよ」


ここに私以外の人がいたらコウサは"ビビってた"とか"腹が減って"とかふざけた事を言って誤魔化すと思う。


「流石に最悪の展開を考えていたら、ちょっとな」


コウサはそう言って力なく笑った。

これが本当のザイツ・コウサ、この表情を見せてくれる様になったのはニホンから帰って来てから。


「最悪の展開って何?」


私は穏やかに問いかける。


「レクレールとの戦争かな。前までならメリーと一緒に日本に逃げ帰っていたんだけど、そうもいかないだろうし」


今の時点でオーディヌスでレクレールとの戦争を思い煩い、悩み策を巡らせ胃を痛めている人がコウサ以外にいるだろうか。

コウサは異世界チキュウのニホンと言う平和な国から突然オーディヌスに喚ばれた存在、その彼がこの世界の誰よりもオーディヌスの事を案じている。


「戦争か。でもコウサのお陰で色んな国が同盟を組めたもんだもん。レクレールも警戒して戦にはならないよ」


「でも下手すりゃ同盟を警戒したレクレールが暴発する可能性も否定できないんだよな。戦争が起きたら人が傷つき地が荒れる。1人が死ねばその人に関わっている大勢の人が哀しみ、地が荒れれば大勢の人が飢える。時間さえあればエルフィンで農地改革をしたいんだけどな」


きっとコウサの頭の中では戦争で疲弊した大地の上で泣き叫ぶ人々に攻められているだろう。

"なんで戦を防げなかったんだ!!お前達の所為で戦で人が死に地は荒れ人が飢えて死ぬ"

コウサは何かをする時に考え過ぎる程に考える。

思い描く最悪の結果を防ぐ為に。


「もし、そうなったら2人で逃げちゃおうか」


「そうしたら俺とメリーはずっと笑えなくなっちゃうよ」


コウサが力なく笑う。

そしてまた目を閉じる、どうすれば笑顔を無くさないで済むのか考えてあがく為に。

本当のコウサを知っている私ならこう言う、臆病で弱いから他人の弱さ辛さが分かる優し過ぎる人だって。


「さって現状が進まない中、これ以上考えていても無駄だな。メリー暗くしてごめんな」


私はただ微笑む、コウサとのこの時間を大切にしたいから。

そして何より


「そーだよ。メリーの事を放っといて考え事ばかりするんだもん」


「いや、ついね。ごめん」


「ギュッとしてコウサからキスしてくれたら許してあげる」


この時間が終われば何時もの甘い時間が待っているんだから。

コウサと私が元気になる為の2人だけの時間が。



功才とメリー、最初叩かれた事もありましたけどハーレム展開にしなくて良かったと信じたいです

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