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ザコとドワーフ ガーグの想い、そして…勇者

最後にある人がようやく登場します

side 功才


俺達は王族2人の意識が戻るまであてがわれた部屋で待機する様に言われた。

なんつーか、うちのリーダーも随分とヘビーな人生を送って来たんだな。

イントルさんは、もうトロル族の所には戻れないだろうし、俺も日本には戻らない。

ガーグ冒険者隊の男って女運の代わりに何かを犠牲にしなきゃいけないんだろうか。

俺が小さく溜め息漏らすと、メリーが敏感に反応してきた。


「コウサはさっきの話で何かに気付いたんでしょ?」


「まっ、色々とガーグさんに抱いていた疑問が解消したって感じかな」


ちなみにメリーは何を警戒してるのか、俺をがっちりとホールドしている。


「良かったらザイツ殿の意見を聞かせてもらえますか?」


普段と違い憂鬱な顔しているイントルさんが訪ねてくる。

この中でイントルさんが一番ガーグさんと付き合いが長いし、それ以上にイントルさんの性格からしてガーグさんの事が心配で堪らないんだろう。

イントルさんの憂鬱な顔を心配したハンナさんがイントルさんに抱きついている。


「まずなんでガーグさんが冒険者になったのかです。最初俺はガーグさんがエルフィンの生活に馴染めなかったのか純血派に追い出されたのが主因だと思いました。でもそれだけじゃなかったんだと思うんです」


「ガーグさんは仇の情報が欲しかったとか?」


「メリー、それなら耐えてエルフィンにいた方が情報を得れるよ。いくら鎖国に近いからといっても一個人と国が手に出来る情報量は違うよ」


「確かに冒険者を警戒している国は少なくないですからかね」


冒険者の中には国家機密を他国に売り渡すのを生業としている人もいるらしいから当たり前なんだけど。


「次に怪しまれるのを覚悟で名字を名乗らなかったのはなんでか。まぁこれはエルフィンローズもチョマーも有名な名字で聞く人が聞けばガーグさん個人を特定出来るからだと思います」


エルフィンローズは王家の名前だから直ぐにエルフの王族だとバレるし、チョマーも勇者と一緒に冒険をしたガーグさんの曾祖父さんガープ・チョマーを思い起こさせる、ましてやガーグさんはガープさんと姿が似ているって話だから尚更だ。


「ザイツ殿、もしかしてガーグさんは」


どうやらイントルは俺の予測に気付いたらしい。


「次に惚れれ抜いているセシリーさんがいるのにエルフィンに帰らなかったのかは何故か。ガーグさんとセシリーさんの再会はミッシェルさんの企みだと思うんですよ。下手すりゃガーグさんはセシリーさんへの思いを抱いたまま再会する気はなかったのかも知れません」


ちなみにセシリーさんは気絶したガーグさんから離れようとしなかった。

普段はハゲだ鈍感だと言っているけどもセシリーさんにとってガーグ王子じゃなくガーグさん個人に惚れ抜いているんだと思う。


「コウサ、再会する気はなかったって本当?それじゃセシリーさんが可愛そう過ぎるよ」


「ガーグさんの行動はセシリーさんやエルフィンを復讐に巻き込まない為だと思う。冒険者になったのはエルフィンを巻き込まない為なんだよ。もしエルフィンの民がチョマー家の最後を知ったらどうなると思う?」


「それは怒るんじゃないかな?メリーでも話を聞いたら腹が立ったし」


「そうだよな。それが国民に人気のガーグ王子なら尚更だ。エルフは自分達の王族を崇拝しているから下手すりゃ戦争になる」


「しかし戦争になったらエルフィンの民が死ぬし、精霊に嫌われでもしたらエルフィンは滅亡するかもしれませんしね」


イントルさんの言う通り精霊は自然を傷つける戦争を嫌うらしい、そしてエルフが他種族より優位な点は精霊魔術が得意な事。

個人戦や防衛手段なら精霊は力を貸してくれるかも知れないが光の精霊を信奉するレクレール相手の戦争なら難しいかもしれない。


「イントル、それじゃガーグ殿が名字を名乗らなかったのはレクレールに気付かれない為なの?」


おお、まさかの元脳筋娘が気付いた、恐るべしイントルパワー。


「ハンナそうですよ、ガーグさんが冒険者になったと知ったらレクレールは仲間に引き入れようとするか有名にならないうちに闇に葬ろうとするでしょうからね。チョマーを名乗れば我は復讐の意志ありってレクレールに宣言している様なものですからね。そうですよねザイツ殿」


「レクレールは他国との交流は少なくしているとは言えある程度の諜報活動は行っているでしょうからね。ガーグさんに気付けば無名のうちに何とかしようとしたでしょう」


依頼の途中で強い魔物をけしかけてもいいし、因縁を吹きかけて決闘に持ち込んでもいい。


「それじゃガーグさんがセシリーさんと離れていたのはセシリーさんを復讐に巻き込まない為?」


「きっとそうだと思うよ。セシリーさんはガーグさんの過去を知っているから復讐に力を貸すと警戒したんだろ?もし自分が死んでも長命なエルフなら違う幸せを見つけれるとか思ったんじゃないかな。イントルさんとは仇を見つけた時点で何か理由をつけてパーティーを解散する腹積もりだったと思う」


全く、うちのリーダーは1人で抱え込んじゃって、俺が下級精霊フローラルと相対した時に怒ってくれたのも精霊の怖さが身に染みているからだろう。


「それでシャルレーゼ様は有名になったガーグさんを連れ戻した訳ですか。あのままじゃ遅かれ早かれレクレールに気付かれてしまいますからね。その前にガーグ冒険者隊のリーダーはエルフィンの王子と表明してしまえばレクレールも簡単に手出しは出来ないでしょうからね」


「そうじゃないと断腸の思いでシャルレーゼ様が復讐を諦めた意味がなくなりますからね。シャルレーゼ様がエルフィンに帰ったのは幼いガーグさんを守る為、冒険者になるのを許したのはエルフの臭いを消す為でしょうね。でも幸か不幸かガーグ冒険者隊は有名になってしまった」


国とかの面倒くさい事に巻き込まれない為に選んだガーグ戦士隊が、まさかの大本命になるとはね。



side ???


一方、その頃ヘイムランドの冒険者ギルド。「ヘイムランドではヒュドラが現れて民が苦しんでいるそうですね。でもご安心下さい、我らが勇者様が討伐に来ましたので」


ギルドに現れたのは豪華なローブを身にまとった猿人族の女性。

金髪碧眼で美女と言っても差し支えはない。


「無駄足だったな姉ちゃん。ヒュドラはもう倒されたよ」


(なっ、勇者様の手柄を横取りするとは何て不届きな。これじゃ召還した意味がなくなりましたわ)


「良いじゃないか。民に平和が訪れたのなら嬉しいよ」


女に声を掛けたのは赤い炎の様な髪にあどけない顔をした少年。

あどけない顔とはアンバラスな豪奢な飾りをつけた純白の鎧を身にまとっていた。



「慈悲深いお言葉、流石"は勇者様"ですわ」




実はある展開どちらにするかまだ悩んでたりします

女性の意見を聞きたいです

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