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ザコとドワーフ ザコとヒュドラ

久しぶりに師匠が出ます

side 功才


ゲームみたいに逃げるってコマンド使えないかなー。

使えたとしても俺リーダーじゃないんだよな。

うちのリーダーはやる気満々で剣を構えてるし、つーか、エルフの王子様がヒュドラ相手に舌舐めずりってどうよ。

そんなこんなしてたらヒュドラさんが近づいて来ました。


(近くで見ると怖さ倍増。つうかグロっ)


近くで見たらヒュドラの顔と言われていた物は触手なんだと思う。

想像してみて欲しい、8m級の蛇の胴体から出た黒い触手がウネウネと動いている所を。

やっぱり協調性を重んじる日本人としては手柄泥棒は反対なんだよね。

自己責任として喚んだ人達にお任せしたいんだけど。


でも前衛のガーグさんの背中からは、早く何とかしやがれって言う無言のプレッシャーがヒシヒシと伝わってくるし、後ろにいるメリーは期待を篭めた熱い視線で見つめてきている。


仕方ない…久々にやりますか。


まずはヒュドラの触手めがけて

「シールドボール」

あんまり自由闊達に動かれていると困るから、シールドボールで動きを制限しておく。

そして時空リュックから、日本から持ち込んだ生石灰を取り出す。

「シールドボール」

出来上がったの生石灰を閉じこめた直径1mの白いシールドボール。


「メリー、ヒュドラの触手に向かってミストアローを」


「コウサ、任せてっ!!」


見事にヒュドラさんの触手が潤おう。


「イントルさん、この玉をヒュドラに投げて下さい」


俺がこんな大きくて重い物を投げれる訳がない。


「お任せ下さい」


それでもってヒュドラにぶつかる寸前に


「マジックキャンセル」


見事にヒュドラは生石灰まみれに、ミストアローで潤った鱗に生石灰はしっかり付着している。

次に取り出すのはウォーターボール…水をいれただけのシールドボールなんだけど。


「イントルさん、次はこれをお願いします」


「ザイツ殿お任せ下さい」


綺麗な放物線を描いて飛んでいくシールドボールがヒュドラにぶつかる寸前に


「マジックキャンセル」


生石灰に水が掛かった事で発熱反応が起き、ヒュドラの触手が火傷により動かなくっていく。


「コウサ、この後はどうするの?」


「後は師匠に連絡を入れてヒュドラを迎えに来てもらうよ。今のヒュドラには攻撃能力がないから大丈夫」


事実、ヒュドラはウロウロしている、自分の触手が高温になりピット器官が上手く働いていないんだろう。


「ザイツ、さっきの白い粉はなんだ?水が掛かったら煙がでた様に見えたがマジックアイテムか?」


「あれは生石灰って言って自然物を加工した物ですよ。生石灰は水が掛かると高温になるんです」


ネットで調べたけれども詳しい理論を説明をする自信はない。


「なるほど。斬るから再生するのであって、火傷させる事で触手を動けなくした訳ですか」


流石はイントルさん、このやり取りだけで分かったんだ。


「新しい触手を出したくても、前の触手はついたままですからね…あっ、師匠なんとかヒュドラを無力化しましたけども」


師匠に電話しているが妙に声が近い感じがする。


「コ、コウサあそこにいるのロッキさんじゃないかな?」


メリーの指さす先には携帯片手に手を振る師匠がいた。

師匠はヒュドラの近くで空中に浮いているが、誰も突っ込もうとしない。

唖然としている俺達を後目に師匠がヒュドラに話し掛ける。


「おー、よちよち。熱かったでちゅねー、怖かったでちゅねー。…ヒュドラちゃんは強い子だからちょっと我慢してくだちゃいねー」


なぜか赤ちゃん言葉の師匠が軽く手を振るとヒュドラの触手が次々に切り落とされていく。

そして出てきたのはつぶらな瞳を持つ丸い顔だった。

しかも号泣しているから罪悪感がもの凄い。


「はい良く我慢できまちたねー。今からお兄さんがパパとママの所に連れて行ってあげまちゅからねー」


優しく諭す師匠を見るヒュドラの瞳には喜びの色が浮かんでいる。


「功才君、とっても優しいお師匠様は今から弟子の尻拭いの為にヒュドラちゃんのご両親に謝罪に行ってきますね」


師匠が指をはじくと同時に師匠とヒュドラの姿は消えた。


――――――――――


「功才君、あのヒュドラはまだ子供なんですよ。大好きなパパとママから引き離されて見知らぬ土地へ連れて行かれた挙げ句に、火傷を負わされたなんて涙無しに語れない物語を作っちゃいましたね」


どこまで行ったのか分からないけど、師匠は往復3分ぐらいで戻って来た。


「ザイツの師匠、アンタなら分かる筈だ。教えてくれ、いや教えて下さい…ヒュドラを喚んだ奴がどこにいるのかを」


あのガーグさんが師匠に頭を下げている。


「もうこの世にはいませんよ。多分、全魔力、全生命力を使った召還術なんでしょうね。あっ、エルフの王子様が探している相手はまだ動いてはいませんよ」


「命掛けって!そこまでする必要があるんですか?」


「功才君らしくもない。価値観なんて人、国、部族で違うじゃないですか。例えば自分が崇拝している精霊様のお役にたつとなれば喜んで命を捧げるんじゃないでしょうか」


こっちの世界でも、いや精霊が実際に存在するから余計に宗教に依存する人がいるんだろう。


(コウサ、どう言う事?)


(お偉い神官様がこう言ったんだろ?精霊様の命令で亡くなった者は天国に召されるし命令に逆らった者は地獄に堕ちるとかね)


褒美と脅しは多くの宗教が取り入れている手段。


「皆さん忘れちゃいけませんよ。復讐する者は目が曇りやすいんですよ、相手を斬る時に自分の今抱えている大切なモノを地に堕とす危険性も忘れるくらいにね」


師匠がガーグさんを見つめてニヤリと笑った。


「永年の私怨と国民、仲間、セシリーを天秤にかけろってか!!」


ガーグさんが叫んだ、でもその叫びは師匠に向けているじゃなく自分の中の何か叫んでいる感じがした。


それよりヒュドラを倒した証拠どうしよ。

その辺に鱗とか落ちてないかな…

そろそろ次に絡む種族を決めないと

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