幕間 ザコのバレンタイン模様
時期もんなんで
side 功才
南エルフの交渉、ガーグさんの各国の謁見の為に俺達はルーンランドに滞在していた。
そして何気に携帯を見て気づく。
日付が2月13日だ。
そう、もてない男に対するお菓子メーカーからの嫌がらせが行われる地獄の日。
バレンタインの前日な訳である。
今こそ声を大にして言いたい。
オーディヌスにはバレタインはおろかチョコさえないんだ!!
なんて素晴らしい、今まで生きて来て、こんなに安心してバレンタインを迎えられた事はない!!
バレンタインの差別を知った小学生低学年時代。
女子の動きに過剰に反応をしてしまった恥辱の小学生高学年時代。
諦めを悟った中学時代。
俺は生まれて初めて安心して2月13日に熟睡ができるんだ。
メリーに言ったら貰えるんだろうけども、自分の彼女にねだってもらうのは無しだろ。
ざまあみろ!お菓子メーカー。
我はバレンタインの呪縛に打ち勝ったり…
…寂しくなるから、もう寝よ。
side メリー
エイカ義姉さんから私の携帯に電話が掛かってきた。
「メリーちゃん久しぶり。元気だった?うちの馬鹿は迷惑を掛けてない?」
「エイカお義姉さんお久しぶりです。迷惑じゃないんですけど、この間コウサが試合で格好いい所を見せたからモテそうで心配なんです」
「大丈夫、そんな事あり得ないわよ。いやねもう少しでバレンタインって日なのよ。せっかくメリーちゃんって可愛い彼女が出来たんだからコウサにもマトモなバレンタインを味わせてやりたくてさ」
エイカお義姉さんは何だかんだ言いながらコウサの事が可愛くて仕方がないみたい。
「そうなんですか!!前にコウサからバレンタインの話は聞いたんですけども詳しい日付は教えてくれないんですよ。それにこっちはチョコレートもないですし」
「チョコを送ってあげたいけど無理だよね。美才も功才にあげたいみたいなんだけど」
「あっミサちゃんのチョコなら大丈夫です。なんかロッキさんがくれたアプリで送れるみたいなので」
「相変わらず功才の師匠は滅茶苦茶だよね。それじゃ私のと美才のをお願いするね。それと材料のチョコを送ったげる」
「ありがとうございます。あの我が儘言っていいですか?友達にも教えてあけだいんですけど…はいっ、ありがとうこざいます」
よっし!!
これでコウサにちょこれーとをあげれる。
そしてハンナやセシリーさんにも教えてあげなきゃ。
side ハンナ
いきなりメリーから呼び出しをくらった、なんでも大事な話があるらしい。
……
「ばれんたいん?それはなんだ?」
「コウサの世界の行事で普段は、恥ずかしくて思いを伝えれない女の子がちょこれーとってお菓子と一緒に愛を告白出来る日なんだって。素敵だよねー」
確かに素敵な行事だけれども1つだけ言いたい。
「だっれがー恥ずかしくて思いを伝えられない女の子なんだ?朝から晩までコウサ、コウサって騒いでる癖に」
「それとこれは別なんだよ!良いよ?せっかくエイカお義姉さんからハンナ達の分までチョコを送ってもらったんだけどハンナには分けてあげない。セシリーさん一緒に愛をこめて作りましょ」
メリー、そう来たか。
それなら
「待った、自分が謝るから。自分もイントルにちょこをあげたい!!」
「メリーちゃんありがとね。でもどこで作るの?出来たらガー君には内緒にしたいしさっ」
「それならエリーゼ・ロックオーガ伯爵夫人に相談してみたらいいんじゃないですか?自分は何回か話してみたけど優しい人だったし」
side メリー
調理方法を伝えたらエリーゼさんは調理用のマジックアイテムまで用意してくれた。
「あのーすいませーん。私達も参加させてもらって良いですかー?」
エリーゼさんが出してきた条件は、エリーゼさんの知り合いの女の子も加える事だった。
エリーゼさんの他にリアさん、キャロルさん、チェルシーさん、ソニアさん。
それに私とハンナ、セシリーさんを合わせた8人となった。
「あっ、大丈夫ですよ。材料はかなり多くもらっていますから」
恋する女の子を差別する必要はない。
それにみんなお目当ての人もいるみたいだし。
side 功才
なんて爽やかな目覚めなんだろう。
思えば毎年腹痛になる様に神に祈ったり、遅刻ギリギリに登校して休み時間は男子トイレにこもったりして現実逃避をしていた。
しかし今年は平穏無事に2月14日を過ごせるんだ…。
でも机にはラッピングがされた箱が2つ、メッセージカードを見たら姉ちゃんと美才からだった。
"功才へ、これで0個地獄を免れるんだから感謝しなさい!!それとあまり無理しない事。 栄華より"
"お兄ちゃんへ、何時でも戻ってきて良いんだよ!!ホワイトデイには熱々の卵焼きをよろしく!! お兄ちゃん可愛い妹美才より"
ありがたいけど、現実に引き戻された。
そういや中1の時にいっそ誰からも貰わなきゃすっきりするって思ったら買い物をしたらコンビニのおばちゃんがチョコをつけて寄越した事を思い出した。
そんな時勢いよく部屋のドアが開けられた。
「コッウサー、はいっメリーの恋がたっぷりと詰まった甘いちょこれーとだよっ!!今ならメリーのあっまいーキスつきっ」
それは初めて幸せを感じたバレンタインの訪れだった。
side イントル
ハンナが部屋に訪ねて来たんですが、何故か顔を真っ赤にしてモジモジとしています。
「あ、あのねイントル。今日はさ、コウサのいた世界では女の子が大好きな男の人にちょこれーとって言うお菓子をあげる日なんだって。だからーそのー、イントル自分はイントルを大好きだからこれを食べてっ」
今日はお仕事を休んでハンナとゆっくりと過ごすとしますか。
side ガーグ
「はっ?バレンタインだぁ?なんだそれ」
「だからコウサさんのいた世界で女の子がちょこれーとって言うお菓子を渡して愛を証明する日なんだって。ガー君がどうしてもって言うんなら私のちょこをあげても良いんだけど…」
「だったらもったいぶらねえで早く寄越せ。いいか他の男には絶対に渡すなよ、チョコもお前の愛も俺の物なんだからなっ」
ったザイツの奴、こっ恥ずかしい行事を輸入しやがって。
…感謝しねえとな。
ちなみに作者の明日の予定は会社付き合いのフットサルのみ…
貰う予定はなしっ
明日女性読者から感想っていうチョコがきている事に期待笑




