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幕間 ガーグ戦士隊過去話

リクエストのあったイントルとガーグの昔話です

残酷な表現があります

side イントル


サン・エルフ帝国との試合が終わった日の夜の事。

私とハンナはダンスパーティーでの心地よい疲れを感じながらソファーで休んでいました。


「ねえ、イントル。前にルーンランドに来た時って何の依頼だったの?」


「あれは丁度ガーグさんと組んで1年がたった時でしたね」



――――――――――


「イントル、次の依頼はこれを受ける」


ガーグさんが提示してきたのはルーンランドでの盗賊討伐。

何でもルーンランドで盗賊による誘拐が頻発しており盗賊を討伐して欲しいとの事。



「ルーンランドですか。なんでわざわざ国外に出張するんです?」


「デュクセンに大きい依頼がねえんだよ。採取とか護衛しかねえから暴れる事ができねえしな。丁度ルーンランド行きの乗り合い馬車がもう少ししたら出る。準備が出来たらから行くぞ」


今になって思うと、あの時のガーグさんは焦っていたと思うんです。


「最低限の準備は出来ていますし私もルーンランドに興味があるから良いですけよ。今日出発するとルーンランドに着くのは明後日あたりですね」


――――――――――


「イントル、ガーグ殿はなんでそんなに急いでいたの?」


ハンナが甘える様に私の体にもたれ掛かって来ました。


「知り合いからルーンランドの盗賊がエルフ狙っていると言う噂を聞いたらしいんです。その頃のルーンランドには北エルフが何人か居住していたそうですから」


「ふーん、でもその頃のガーグ殿ってエルフと関わりが持たなかったんでしょ?」


「陰では色々と動いていたみたいですね。今思えば依頼料をギャンブルですったって言うのは薬品とかをエルフィンに送った時の隣町に酒を飲みに行くっていうのはエルフを助けに行く時の言い訳だったんでしょう」


全く、不器用というか素直じゃないというか。


「なんでガーグ殿は自分はエルフの王子だって言わなかったんだろうね」


「信じてもらえないってのもあるでしょうが、もしガーグさんがデュクセンにいるのがバレたらどうなると思います?」


少し意地悪かも知れませんが、ハンナが一生懸命考える姿が愛らしくて、つい私は問題を出してしまいます。


「う――――、セシリー姐さんがデュクセンまで追ってくるとか?」


「ええ、他にもガーグさんを慕っているエルフも来るでしょうね。そしてエルフの王子として利用する輩も出てくるでしょう」


ガーグさんを担ぐ、拘束して身代金を要求するとか幾らでも利用方法はあります。


「そうだよね。それでその依頼はどうなったの?」



――――――――――


私達はまずルーンランドの冒険者ギルドに顔を出したんですよ。



「あんた等がデュクセンから来た冒険者か。ふむ、冒険者歴は浅いが実績は凄いな。ルーンランドには戦士系の冒険者が少なくてな。頼むぜ、詳しい話は傭兵隊の隊所で聞いてくれ」


そして傭兵隊の隊所で出会ったのがロックオーガ伯爵夫妻です、お二方ともサバサバした性格で直ぐに私達を受け入れくれました。


「へー、こりゃゴツいのが来たな。エリーゼこれで安心だな」


「ああ、まさか俺が見上げなきゃいけない奴がいるなんてな。お前達には盗賊のアジトに潜入してもらって陽動をしてもらう。俺達は顔が割れてるから警戒されちまうんだよ」


「潜入して捕まっている奴らは大丈夫なんだろうな」


ガーグさんの心配は当たり前で盗賊に捕まっている人が人質にされたら手が出せませんからね。

「盗賊の奴等は出入りが激しいんだ。お前達は立派な盗賊顔だから大丈夫だよ」


これを言ったのはエリーゼ婦人なんですけども、ガーグさんの正体を聞いて焦ったと言ってましたね。


「いや、これじゃ不十分だ。イントル、俺の頭を剃ってくれ」


その当時のガーグさんの髪型は角刈りだったんです、でも髪の色がシャルーレゼ様と同じく新緑を思わせる緑で目立っていましたね。

今思えば王家の特徴である緑色の髪を剃って捕まっているエルフの人から正体を隠したかったんでしょう。

そしてなんと言うか不名誉なんですけど私達はあっさりと洞窟に潜入する事が出来ました。

ええ、普通に盗賊から挨拶もされましたし捕まっている人達の場所も教えてもらえました。


そして捕まっている人達を見た瞬間、ガーグさんの雰囲気が変わりました。

今思えばムチで打たれた女性のエルフを見つけたからなんでしょうね。


「イントル、陽動は止めだ。盗賊はきっちりとシバいてやる!!」


「ガーグさん相手は何人いるか分からないんですよ。それに弓を使われたお終いですって」


でもガーグさんは牢番を1人だけ残して斬り殺して終いました。


「おい、早くお仲間を呼んで来やがれ!!全員地獄に送ってやらぁ!!」


幸いというか、牢屋は曲がりくねった先にあったので入り口で待ち伏せする事で弓は使われずに済んだんですけども生きた心地がしませんでしたよ。

30人くらい倒した辺りでしょうか。


「随分と俺の部下を可愛がってくれたな。せっかく高く売れるエルフが手に入ったんだ…ブッフェー」


あれが盗賊の親玉だったんでしょうね。

ガーグさんは盗賊の話が終わる前に殴りつけて髪を掴み何回も洞窟の壁に顔を打ち付けました。


「お前中の奴等に手は出してないだろうな?」


「ふぁ、ふぁい」


「で買い主は誰だ?おらっ吐けっ!こらっ!!」


何度も何度も執拗に打ち付ける姿に残っている盗賊も恐怖を感じたらしく次々に逃げ出して行きました。


「今度俺の身内に手だしてみろ?全身の骨を砕いてタコにしてやるかなら!!覚えとけっ!!」


そう言ってガーグさんは盗賊を床に叩きつけたんですよ。

よっぽど怖かったらしく盗賊は取り調べに素直に応じたそうです。

その後私達はルーンランドに何件かの依頼をこなしました。

その時にロックオーガ伯爵からペルーセン教授を紹介してもらったんですよ。


今思えばガーグさんは、あの頃から王族の責務を果たしていたんですね。

何話か幕間を書いて本編に行く予定です

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