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ザコとエルフ 決着




side 功才


次は決勝と言う事もあり俺達は控え室で休憩をしている。


「失礼致します。ガーグ王子様はいらっしゃいますか?」


そんな控え室に訪ねてきたのはガドイン・ロックオーガ伯爵、ちなみに今回の試合の主審でもある。


「よおガドイン。その敬語と王子様は止めてくれねえか。背中が痒くなら」


うん、俺達でさえ様どころか王子っても呼ばないのに。


「しかし仮にも王位継承者なのですし、審判でご迷惑をお掛けしましたし」


って事は…


「娘さんは無事に見つかったみたいっすね。怪我とかはなかったっすか?」


「何故その事を…。えぇお陰様で無事に怪我もなく見つけてもらえる事ができました」

 

「良かったじゃねえか。同じエルフがダチの娘に怪我でもさせていたら、やりきれねえからな」


そう言って伯爵の肩をバシバシと叩くガーグさん。

同じエルフってのは、疑問だけど。


「後ですね。先程の試合を見た者でイントルさんとザイツさんに会いたいと言う者がいるのですが…」


一瞬にして部屋の空気が張り詰めた。


「それは女なのか?」


イントルさんの前に立ちはだかるハンナさん。


「コウサは試合で疲れてるの!!それとガーグさんの試合が終わったらメリーとのデートが控えてるから無理です」


俺をギュッとホールドするメリー。


「ガドイン、女なら遠慮してもらえねえか。プルングの嬢ちゃんとハンネスの嬢ちゃんが不機嫌になるんでな。ったく女房思う程、亭主もてずなんだけどな」


俺はともかく先の試合のイントルさんならモテそうだよな。


「確かに2人共噛みつきそうだしな。分かった、俺がうまい事言って誤魔化しておくよ。ガーグ今しか言えないが勝てよ」


「まっ、お前のストレスは解消してやるよ。お前等行くぞ」


勇ましいって言えば勇ましいがエルフの王子様の号令じゃねえよな。


ガーグ・エルフィンローズ、この名前はルーンランドにて後世まで語り継がれる。



曰くエルフの王子らしさはないが、どの王よりも王としての威厳を兼ね備えた男。

曰くエルフィンの民に最も愛された王。

曰く多くの優れた配下を持った王。

そしてガーグ王の伝説はルーンランドから始まったと。


「サン・エルフ帝国大将 太陽王子チピーラ・サンシータ」


黄色い声援に包まれてチピーラが闘技場に上る。


「oh!レディのみんな、声援感謝するぜぇ!」



「エルフィン聖王国大将 ガーグ・エルフィンローズ」


ガーグさんがローブを放って闘技場に上る。

チピーラと対照的に会場は静まり返っていた。

最初はガーグさんのエルフらしからぬ容姿に呆気にとられたから。

そしてある光景を見た為。

その光景はガーグさんを偽物エルフと糾弾しようとしたチピーラのファン達でさえも口をつぐませた。

会場中の北エルフが一斉に立ち上がり身動ぎ一つせずにガーグ王子の試合を見つめていたのだから。


「見事な物ですね。ねぇザイツさん」


「これはヤ・ツーレ所長、お仕事お疲れ様でした。無事に伯爵の娘さんを助けたみたいっすね」


俺に話し掛けて来たのは魔法研究所の所長ヤ・ツーレ。


「何の事でしょうか…。いえ、何故分かりました?」


「娘さんの事を知っている人で秘密裏に力のある組織を犯人に気づかれずに動かせる人なんて他にはいないっすよ」


「これはエルフィンとの仲には気を配らないといけませんね。…何故、北エルフの皆様は一斉に立ち上がったんですか?」


「敬愛するガーグ王子が国の為に試合をするのに座っているのは論外ってとこっすね。うちのリーダーはエルフィンで信じれないぐらいの人気なんすよ」


「しかし応援はされないのですね」


「信じてるからっすよ、我らがガーグ王子が南エルフに負ける訳がないって」


「ザイツさんも信じてるのですか?また南エルフは策を弄してくるんじゃないです」


「コボルトがオーガに喧嘩を売る様なもんすよ。半端な策なら策ごと喰い破る様な人っすから」


「確かに見た目がオーガみたいですしね」


「見た目だけじゃなく実力もオーガ級なんすよ。うちのリーダーは」


イントルさんの時以上に相手に同情するよ。



「You、本当にエルフ?冗談は醜い顔だけにして欲しいゼー」


「餓鬼、俺は機嫌が悪いんだ。くだらねえ事を言うな」


「oh!怖い怖い、顔だけじゃなく言う事も悪者なんだねっ」


ちなみに、このやりとりはどういう原理か分からないが巨大スクリーンに映し出されている。


「チピーラはどんな策を使ってくるんでしょうね」


「木剣に刃を仕込んでると思うっすよ。剣術に詳しくない北エルフが木剣で斬られて血を流したら怯えると踏んだんすね」


ちなみにガーグさんは大量出血をしても笑いながら相手を追い詰めるタイプ。


「だから剣の中に鉄を仕込んだんですね。受けても切り落とされない為に、第1試合でただの木剣を持たせたのは中に何もない事を見せておく為ですか」


「向こうが策を弄してくるのは予想ができたっすからね。最悪、木剣が削られるだけでも良かったんすよ。始まりますよ」


――――――――――


「この後僕のファンの女の子達との約束があるからHayaku終わらせるよ」


チピーラがガーグさんに切りかかる、難なく受け止めるガーグさん。


「何で傷つかないんだ?それはただの木剣じゃないだろ。偽エルフだから剣も偽物なのかい」


またネタばらしをしちゃった。


「あーん!お坊ちゃまは俺の剣が不満かい?ならこれなら文句はねえだろ」


ガーグさんは、剣を投げ捨てた。


「ザイツさん大丈夫ですか?」


「冒険者は帯剣していない時にも襲われるもんなんすよ」


そう、ガーグさんは素手でも強い。


薄ら笑いを浮かべたチピーラが切りかかる。

そしてチピーラは薄ら笑いを浮かべたまま、ガーグさんの拳で吹き飛ばされた。


「お前がどんな了見で喧嘩売ってきたのか構わねえ。だがよ、ダチの身内にフザケた真似されて黙ってる訳にはいかねんだよ」


ガーグさんは倒れたチピーラを抱え上げて頭突きをかます。


「覚えとけ、王ってのは民の人生を丸ごと背負い込む覚悟でやるもんなだよっ」


ガーグさんチピーラは白目を剥いているから確実に聞こえてないかと。

そしてガーグさんの勝利は当たり前だと言わんばかり北エルフの人達は無表情のまま着席をした。


「勝者ガーグ・エルフィンローズ。これにて3勝2敗となったのでエルフィン聖王国の勝利とする」



side ロッキ


功才君達が勝ちましたか。

さて、功才君この試合で名前が売れちゃいましたよ。

厄介事が舞い込んできそうですね。

でもそれでこそ私が投げ込んだ小石です。

エルフの次は誰を巻き込んでくれるのか楽しみにしていますよ。


「ロッキ様、拘束した精霊達はいかがいたしましょう」


「貴方までその名前で呼びますか。…確かトイザルスさんでしたよね」


「貴方様が名乗れと言った名前じゃないですか。そろそろ意味を教えて欲しいのですが」


「功才君に名乗る機会があれば功才君が教えてくれますよ」


ようやくザコが国際デビューをしました。

期待してますよ功才君。

色々とね。

トイザルスの意味が分かる人がいたら凄い

正解者には読みたい幕間をプレゼント…いないと思いますが

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