ザコとミントの旅 1 旅の開始
side 功才
ブロッサムさんのパーソナルカードを見せてもらった。
名前
ミント・ブロッサム
種族
人間・猿人族
年齢
16
身分
騎士
職種
魔術騎士見習い
(契約精霊・白雷の精霊)
「魔術騎士のブロッサムさんは、どんな魔法が使えるんすか?」
「ザイツ君、やっぱり僕に興味津々なんだね?色々使えるから喜んでよ。それとこれから一緒に旅をするからミントでいいよ」
「それなら俺の事も、コウサでいいっすよ。ミントさん期待してるっす」
……………
ミントの親が、精霊魔法を覚えさせた理由がわかった。
「火のマナよ、ここに集結し敵を焼き尽くせ。ファイヤーボール」スーパーボール大の火の玉が飛んで来た。
ちなみに鉄の槍で叩き落とせた。
「冷気のマナよ。その力で敵を凍りつくせ。アイシクル」
震えるぐらい寒くなったんで、ヒートハンドで温まった。
「雷のマナよ、その閃光で敵を焼き尽くせ。サンダー」
雷が明後日の方向に飛んでいった。
「水のマナよ。奔流をもって敵を彼方に流せ。ウォーター」
俺がずぶ濡れになった。
「大気と火のマナよ。力を合わせて敵を弾け飛ばせ。ボム」
爆竹みたいな爆発が起きる。
「どうだい?コウサ君、僕の魔法は?」
「わかったっすよ。ミントは剣術が得意なんすよね」
ミントが使った簡易魔法は、ロッキ師匠の嫌がらせ魔法と違って、本来どれも強力な筈。
多分、ミントは魔法陣にうまく魔力を編み込めていないんだろう。
まぁ、1人より2人、組み合わせれば戦略は広がる。
「コウサ君よ、良くわかってくれたね。僕は騎士だから剣術の方が得意なんだよ」
まぁ、少なくとも俺よりは強いだろう。
「それじゃ次に向かう街を決めたいんで相談に乗って欲しいっすよ。デュクセン皇国で、ブラングルより規模が大きく周りに自然が同じぐらいの街はあるっすか?」
「コウサ君、僕は首都デュクセンに行きたいな」
「デュクセンには皇国騎士団がいるから、駄目っす。ミントさんが騎士団が手に負えない依頼とか騎士団が嫌う依頼を受けていいんなら別っすけど」
本来、魔物退治とかは統治者の役割なんだし、皇国騎士団なんて関わりたくもない。
「それならブルーメンはどうかな?」
ブルーメンはデータボールによると、芸術都市ブルーメンと呼ばれているデュクセン皇国の中核都市。
デュクセン皇国における音楽・美術・演劇の中心地。
芸術都市って事は、貴族が観光に訪れるだろうから治安は、安定していると思う。
観光都市だと宿代が高いから、冒険者の数は多くはないだろう。
俺でも依頼には、事欠かないと。
「ブルーメンか。いいんじゃないっすか」
「そうだよね。ブルーメンは良い街だよ。丁度素晴らしい劇を上演しているんだ、貴族の男性と女性騎士のラブストリーさ。コウサ君も見たくなったろ?」
ミントは、何かを想像し、頬を赤らめて自分の世界に入り込んだ。
(ミントの頭の中では貴族=シャイン様、女騎士=ミントの劇が頭の中で上演されてるな)
side ロッキ
「功才殿とブロッサム家の子女ミントは、ブルーメンに向かう様です。しかし功才殿は異性としてミントには関心がない様で」
「仕方ありませんよ。功才君は恋愛でも勝てる見込みのない戦いはしないでしょうし。マクスウェル家の長男じゃ功才君に勝ち目はありませんからね」
「しかし功才殿の頃のお年なら、恋に恋してもおかしくはないのでは?」
「前にね、功才君が言ったんですよ。確かに自分は美少女に縁があるけど、それ以上にモテる男にも縁があるって。だから異性としての自分に関心をもっていないか直ぐに分かるんだそうですよ」
それを感じた時点で功才君にとって、ミントという女性はシャインから預かった女性で、戦略の1つでしかないでしょう。
功才君が、自分から必要以上に親しくはしないでしょうね。
side 功才
ミントさんとの旅をする上で約束を決めた。
生活費は自分持ちとする事。
ミントさんは、実家とシャイン様から結構な金額をもらったみたいだし。
宿は別として、依頼も個人で受けてよい。
貴族や騎士が泊まる宿には俺は止まれないし、そんな金もない。
夜にしなきゃいけない依頼は、1人でした方が面倒くさくないし。
それぞれ目的を達したと思ったら、相手に話して帰っても文句は言わない事。
早い話、ミントさんは旅が辛かったら、いつでもお帰り下さいと。
ちなみに俺はシャイン様から、身分証明書をもらった。
シャイン・マクスウェルの名においてコウサ・ザイツの身分を証明する。
またコウサ・ザイツはマクスウェル家の知己であり、マクスウェル家の許可なく危害を加える事を禁ずる。
これがあればマクスウェル家の領内なら、フリーパスだし、ミント絡みで貴族や騎士に絡まれる可能性は低くなる筈。
後はブルーメンまでの旅の道中で、ミントさんの戦力を把握しておこう。
指摘感想お待ちしております。