ザコとエルフ ザコの試合
功才の意外な一面がでます
side 功才
「これよりジューベ・ヤギューによるイアイの模範演舞が始まります」
名前から想像はしていたが眼帯をつけて袴と道着を着たエルフってどうよ。
しかも真っ赤な袴に真っ赤道着って。
そこまでするなら髪切ろうよ、髷を結おうよ。
日本人としてはロン毛金髪の侍キャラは認めたくありません。
板敷きになった闘技場に現れたのは枝に麦ワラが巻かれた物。
ってことは、あれをするのか。
(コウサ、イアイって何?)
(俺の国に伝わっていた剣術の一つだよ。本当は太めの竹を使うんだけどさ)
(イアイ?東にあるジーポンの剣術の事か?)
ガーグさんって剣術とかに妙に詳しいんだよな。
しかしジーポンって、ジューベーは間違った侍像に憧れていそう。
……
ジューベーは刀を藁に当てると押し切った。
(ほう、あれがイアイかちゃんと斬れたな)
(ねえ、コウサもイアイできるの?)
「違う、あんなのは居合いじゃねぇー。居合いは納刀した状態から斬るんだよー!!」
柳生だろ、十兵衛だろ、それなら新陰流だろ、居合いだろー。
「オーウ、イアイはカタナを使ったケンジュツでーすよ。モンクはイケませんー」
「違うっつの。しかも押し切っていただろ。そんな風にしたら直ぐに刃が悪くなろだろうがー」
「ボーイ、ダメですヨー。サムライは正義の為イガイにはオコらないのですからー」
違う意味でのテンプレ侍になりやがって。
…待てよ、それならあれをやりだかるんじゃないか?
それならむしろ丁度いいかも。
「サン・エルフ帝国副将孤高のサムライ、ジューベー・ヤギュー」
手を振るんじゃない、侍が声援に手を振って応えるんじゃねー。
「エルフィン聖王国副将、コウサ・ザイツ」
「オーウ、ザイツもカタナをつかうのデスネー。しかもニート流ですカー。ムサシですネー」
俺がウェポンファクトリー作ったのは見た目は木刀二振り、そして中身に一工夫有り。
しかしなんだよニート流って、二刀だっつの。
「二刀流の意味も分からない偽侍がうるさいっすよ。俺が使うのはこの刀っすよ」
2本の内、1本は腰に差したままにしておく。
「ニセサムライはユルセないデスー。イイでしょー、ドコカラデモきってくるがイイデース」
ジューベーはそう言うとファイティングポーズをとる。
「それなら喰らうっすよ」
俺は大上段から斬りつける、あえて遅めに。
「とりましたヨー。これぞシンケーンシーラハドーリでーす」
どこの通りだよ、真剣白刃取りだっつーの。
俺はジューベーに刀を預けたまま後ろに飛び去る。
「ザイツヤブレたりー。カタナはサムライのソウルでーす。はなしちゃノーでーす」
あえて放したんだけどね。
「それじゃマジックキャンセル&シールドボール」
ジューベーの周りに赤い煙が舞い、シールドボールで閉じこめられた。
side メリー
勝った、コウサの勝ちが確定だよー。
「メリー、コウサは今度なにをやったんだ?」
「ハンナもう大丈夫なの?ほらっこの間コウサが作ってくれたオソバ覚えてる?」
コウサお料理上手だもん。
メリーが狩りをしてコウサが主夫しても良いくらい。
「セシリー姐さんにヒールをかけてもらったから大丈夫だよ、ソバは覚えてるけどそれがどうしたんだ?」
「コウサが使っているカタナの中身はソバを食べる時に使った唐辛子で出来ているんだよ、それをオガクズで周りをコーティングして木刀にしたんだよ」
「プルングさん、唐辛子は目に入ったら危険だと聞きましたが」
「肌の弱い人は大量に肌に着くと火傷みたいになるんだってー」
「おい、エルフは肌が弱いんだぞ。しかもザイツの奴シールドボールで閉じこめたって事は…」
「中は地獄だよねー。息を吸えば辛いし鼻に入ってくるし目にも入るんだもん。コウサは子供を誘拐した時点で本気で怒ってたからね。容赦しないと思うよ」
うん、コウサいいよ。
今のコウサに魅力を感じるのはメリーくらいだもん。
side 功才
名付けて必殺唐辛子刀。
ちなみにハバネロを使用しています。
頃合いを見計らって
「ウインドウアーマー&マジックキャンセル」
ジューベーのシールドボールを解除する。
解除した途端に巻き込まれるのは勘弁だからウインドアーマーで防御しておく。
うん、流石にジューベーは涙目でのたうち回っている。
でも終わらない、子供を巻き込んで反則する様な奴らには卑怯さをとことん味わってもらおう。
取り出すのは氷刀。
まあ、氷から作っただけの刀なんだけどね。
それでもって
「ヒートハンド」
氷を溶かしてジューベーに水をかける。
水で溶けた唐辛子は体の至る所に流れてく訳で目に入ったら涙でも流せないから地獄。
「ユーはホントウにサムライなんですかー?サムライはセイセイドウドーウとタタカうものじゃナイノデスカー?」
「何を勘違いしてるんすか?侍も武士も戦士なんすよ。自分の身を汚してでも主に勝利をもたらすんすよ。それと居合いはこうするすよ」
俺はジューベーから刀を取り上げて新たに藁束を用意してもらった。
side メリー
「メリー、おいメリー戻って来い」
「えっ、な何ハンナ。今格好いいコウサを堪能していたのに」
でも今のコウサ格好良かったなー。
カタナを腰からシュパッと抜いてスパンと斬ったと思ったらカタナがサヤに納まっているんだもん。
「いやー何とか勝てたよ。ってメリーいきなり抱きついて来てどうしたの?」
ルーンランドの女の子が、あんなに格好良いコウサに惚れない訳がないもん。
恋人アピールをしておかなきゃ。
「ザイツ、なんで今までイアイを使わなかったんだ?」
「居合いは爺ちゃんから習ったんですけども実戦で使えるレベルじゃないですから。それに刀と鞘がないと使えないんですよ。にわか兵法は怪我の元ってね」
「えー、メリーは使えそうな気がするけどなー」
「居合いは毎日練習して親指の皮がすり切れて厚くなって初めて一人前なんだよ。それに一対一以外では使いにくいし俺は動く物には対応できないし。歩きながら抜刀する事もできないんだよ」
コウサ照れてるー、可愛いなー、もう。
「コウサ、メリーがご褒美のキスしてあげるー」
絶対にぜっーたいにコウサは誰にも渡さないんだからねっ。
結構言われるんですけど、sideを使う理由はキャラによる感じ方を書きたいからなんです。
前半のメリーの押せ押せに対しての功才の臆病振りとか