ザコとエルフ ガーグの試練
今シリーズの舞台はルーンランドです。
ルーンランドは作者のもう1つ駄作、イ・コージのメイン舞台です。
エルフィン城会議室、ここで功才はミッシェルと代表選手選抜の話し合いを行っていた。
「ガーグさん、イントルさん、ハンナさんの3人は実力から言っても絶対に外せないですよね」
「残りは補欠も含めて3人ですね。わかりました、私がエルフィン国の中ら手配をしておきます」
「あっ、それと関係なく派手な見た目のエルフ戦士を実力に関係なく何人か派遣して欲しいんですけども。……したいですから」
「分かりました。先ずはガーグの試練ですね」
「ええ王位継承者と正式に認められれば向こうも文句を言えないでしょうから。後、審判を務めてくれる傭兵隊の隊長の情報もお願いします」
功才がガーグの試練に付き合う為、部屋を後にするとミッシェルがニヤリと笑いながら呟いた。
「コウサさんが私に一任したんですからね」
ミッシェルはそう言いながら今回の代表選手や世話役を次々と書き出していった。
side 功才
これは何のお祭り騒ぎなんだろうか。
お城から試練会場である王家の墓まで片道10分と言った所なんだけど。
「コウサ凄いね。まるでエルフの壁だよ」
メリーの感想通り試練に向かうガーグさんを見送る為に城から王家の墓までエルフがビッチリと並んでいた。
「試練を受けるイコール王位を継ぐ意志だからな。ましてや今回はサン・エルフも絡んでいる」
北エルフ(エルフィン聖王国)と南エルフ(サン・エルフ帝国)は同族嫌悪なのか、かなり仲が悪いらしい。
「これじゃ純血派も手が出さないね」
「その前に今回は純血派は手を出さないんいだよ。かたや秩序と精霊魔法を重んじるエルフィンと、かたや自由と武術に重きをおくサン・エルフ。水と油だからな。純血派もガーグさんを応援してるみたいだ」
「サン・エルフ帝国か。エルフィン以上に人の出入りが厳しいみたいだよね」
両国ともに他の国に対して鎖国に近い状態らしい。
それでもエルフィンはミッシェルさんみたに他国へ人材を派遣したり、手続きさえ踏めばセシリーさんみたいに出国もできる。
「ああ、ここ100年でサン・エルフ帝国に入国した他種族は魔物討伐の依頼をされた猿人族だけって噂だ」
噂、つまり他種族の入国に関して箝口令を敷くんだろう。
「だからルーンランドで試合をするんだろうね。何でそんなに他種族を国に入れたくないだろうね」
「王家の地位を守る為に新しい知識や技術を入れたくないんだろ?俺の国も昔似た様な理由で鎖国していたんだぜ」
新しい知識や技術は人の意識改革に繋がるし、生活が便利になれば民衆は力をつける。
「知らない国の人と出会うのは凄い素敵な事なのにね。違う世界の彼氏がいるメリーが保証するんだけどな」
まぁ実際は文化や宗教の違いを乗り越えるのは難しくて、それを戦争の理由にしたりするんだけど。
「お前等は俺の大事な試練の前でも平然とイチャつけるんだよな。もう少し厳かな気分になれないのかよ」
そう言うガーグさんは珍しく緊張しているようだ。
まぁ、師匠の薬で中身はエルフに近づいたけれど外見はエルフのエの字もないガーグさんが試練に合格できるかは正直言うと微妙。
「それで試練の内容ってどんな物なんですか?」
「何でも先祖の意識を宿している魔石が王族として相応しいか決めるらしい」
「だ、だ、だ、大丈夫だよ。ガ、ガ、ガー君なら合格できるよ。絶対に多分かならずきっと…合格できると思うよ」
確実にセシリーさんはガーグさん以上に緊張をしている。
「ガーグさんなら大丈夫ですよ。昔から法律や税に深い関心をお持ちでしたし」
前に聞いた時は法律に触れない様にする為だと思ったんだよな。
犯罪者は抜け穴を作る為に法律に詳しいって言うし。
「ガーグ殿が王様になったらイントルも大臣になるのかな?大臣の奥様か…自分も法律の勉強をしなきゃ」
ハンナさんはガーグさんの試練には無関心みたい。
side ガーグ
王家の墓の石造りの為か中に入るとヒンヤリとしている。
ババアの話じゃ、祭壇に飾られている魔石に手をかざせば合否が決まるらしい。
祭壇にある魔石はエルフィンの森を思わせる深い緑色をしていた。
(祖先の意志ね。果たして半端エルフの俺を認めてくれるんだろうか)
俺がボヤきながらも魔石に手をかざすと魔石は淡い光を放つ。
(我等が子孫ガーグよ。ようやく試練に訪れたか。お前は王になれば何を望む?)
低く澄んだ声が俺の頭に響いてきた。
「人は何時も笑っていられるもんじゃねぇ。別れの寂しさ、病気の苦しみはとか防ぎ様がないものもある。だから俺はこの国に住む人間が余計な悲しみに遭わねえ様にする。俺は人が落ち込んでも再び前を向いて歩いていける国を作る。それが俺の望みだ」
(金や女は望まぬのか?王となれば自由だぞ)
「女は惚れた女が1人いれば良い。金は持ち過ぎると禄な事がねえ。王なんざ国民に食わせてもらっている穀潰しだ、贅沢なんざできねえよ」
(我等はエルフィンの森と同化し幼い頃からお前を見守って来た。ガーグよお前をエルフィンの王位継承者として認めよう)
「不肖ガーグ・エルフィンローズ、感謝致します」
次の瞬間、俺の右手に灼ける様な痛みがはしる。
そして手にはエルフィン王家の紋章が刻まれていた。
王位継承者としての初仕事はサン・エルフ達との喧嘩か。
俺らしくて面白れえじゃねえか。
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