ザコとエルフ 南エルフはチンピラ?
新シリーズ?突入です
side 功才
みんなが師匠から贈られた物を大事そうに抱えている。
そりゃそうだ、みんなが奇跡でも起きなけりゃ叶わない願いをあっさりと叶えてくれる物ばかりなんだから。
でも師匠、なんつー規格外な贈り物をしてくれたんすか。
俺が買って来た物が、もの凄く出し辛いです。
それなら答えは簡単、しばらくこの話題に触れない様にしよう、むしろ積極的に話題転換をするべし。
「ところでガーグさん、何で謁見の間にいたんですか?えらい緊迫した空気でしたけど」
うん、完璧。
「お前の師匠に特別警戒中のエルフィンにとばされたんだよ。エルフの魔術師100人で作った結界を無視できるなんて普通は有り得ねえぞ」
やべ、師匠の話題に戻った。
「特別警戒ですか!!何があったんですか?」
頑張れ俺、オーバーリアクションだ。
「そうだな、落ち着いた事だしババアに聞きに行くか」
よっし、ミッションコンプリート!!
(コウサ、頑張ってたね。メリーには分かったよ)
(…メリー、ありがとう)
――――――――――
それでもって再び謁見の間、来たのを後悔するぐらいに空気がピリピリしています。
「ガーグよ、南の連中から遣いが来た。用件は国同士の秘宝を賭けての試合の申し込みじゃ」
「南の連中とは100年近く交流がねえ筈だろ。いきなりどうしたんだよ」
(イントルさん、南の連中って誰の事か分かります?)
(多分南方にあるサン・エルフ帝国の事だと思います。北のエルフと南のエルフはあまり仲がよろしくないそうですから)
データボール参照 サン・エルフ帝国
サン・エルフ帝国は、エルフは日焼けにより褐色の肌をしているのが特徴です。
性格はラテン系で陽気で精霊魔法よりも武術を好むそうですよ。
優等生的な北のエルフとヤンチャな南のエルフは反りが合わないらしいですね。
ところで功才君、お土産はいつ渡すんですか?
もちろん私にもお土産ありますよね!
いや、買いましたけども、色々あって渡したくなくりました。
「南の王子が積極的に動いたらしい。近々、代表の戦士を選抜しようと思うておる」
戦士か…。つまり向こうは自分達が得意とする土俵で戦うつもりなんだろう。
「なんでそんなのを受けたんだよ?向こうの思う壷だぞ」
「若い連中が挑発にのせられて、南の使節団に怪我を負わせてしまっての。戦か試合か怪我を負わせた者達を処刑かの3択を迫ってきたのじゃ」
なにその当たり屋みたいな安い手口は。
国の代表がそんなチンピラみたいな安い手を使うの?
それなら本当の腹黒さを見せてやろうじゃないか。
「お話の途中に申し訳ありません。代表になる戦士に条件はついていますか?」
「エルフィン聖王国に所属もしくは住んでいる者じゃよ。まったくうちには強い戦士が少ないというのに」
そう、エルフィンは他種族に対してあまり寛容ではない。
そして100年間交流がなかった向こうの連中はガーグさんの存在を知らない。
しかもガーグさんは師匠の薬で中身はエルフにさらに近づく。
「ガーグさんはエルフィンの王族です。それならガーグさんがリーダーを勤めているガーグ冒険者隊はエルフィン聖王国の所属とも言えます。そしてガーグ冒険者隊には強力な戦士が揃っていますよ」
いくら南エルフが武術を好むと言っても、それは北エルフと比較してだと思う。
「おい、ザイツ。そんなの相手が了承する訳ねえだろ?」
「条件には純粋エルフに限るなんて言葉はないですよ。それにガーグ冒険者隊はこの話よりも前から正式に冒険者ギルドに登録されているんす。何の問題もないっすよ」
「ザイツ、もし負けた時に責任をとれるのか」
「要は貴重な魔石ならいいんですよね。それならあるじゃないですか、上級精霊が力を込めた魔石が。だって向こうは何の魔石が欲しいって言ってないっすもん」
俺は粗探しが大得意なんだぜ。
それにあの魔石は異世界から帰ってくる時以外は役にたたないんだし。
「さすがはザイツさん、素晴らしい案です。この策を確かな物にする為にガーグ王子に再び試練を受けてもらいましょう。そうしたら向こうも文句を言えませんからね」
ミッシェルさんは俺と同じ考えを持っていたと思う。
でも直ぐにミッシェルさんが提案すれば純血派の突き上げを食らう可能性が高い、だからガーグさんが帰って来るのを待っていたんだろう。
「ガーグよ、頼めるか」
「分かったよ、お前等次のケンカ相手は南の連中だ、頼むぜ」
ケンカには積極的には参加しないけれど、相手を陥れるのは任せて下さい。
side ロッキ
「ロッキ様、随分とご機嫌な様子ですが何か良い事がありましたか?」
「功才君がお土産にネクタイとタイピンをくれたんですよ。功才君ったら照れ臭いみたいで隠しているから持って来ちゃいました。あっ、きちんとお礼の手紙と品は置いて来ましたよ。それより南エルフに味方している精霊は何人くらいますか?」
「ビルクローの一件を恐れて帝国の守護精霊のみです。その守護精霊も今回の試合には深く関わりたくないそうです」
「まぁ賢明な判断ですね。それじゃ、このネクタイを着けて父兄参観と洒落こみますか」
また人気投票をしようかと考えています