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ザコ帰る ザコ戻る

大晦日更新 ちなみ今日は日勤

side 功才


結婚式が終わった夜の事、俺は爺ちゃんと一緒の部屋で寝る事になった。


「功才、栄才に会う気はないのか?最後に言いたい事があるじゃろ?」


爺ちゃんはどこか申し訳なさそうだ。


「うーん、この年まで面倒みてくれてありがとうこざいます。俺はいなくなるんで後は煮るなり焼くなりお好きにして下さいかな?」


「随分とあっさりじゃの。もっとないのか?」


「向こうに行く前は色々あったよ。でも向こうには貴族に彼女を無理矢理奪われた人がいたし、俺より小さい子が親を亡くして働いてた。俺が想像した事もなかった酷い目にあいながらも、みんな一生懸命に生きていたんだ。くだらない恨み言なんて格好悪いだけだよ」


「そんな厳しい世界でも、向こうに戻るのか?」


「ああ、俺に奴隷解放や世界改革なんてのは無理だけど、オーディヌスでやる事があるんだ。そんな時に過去に拘っている暇なんてないよ」


「そうか、それなら後は何も言わん。じゃが無理だけはするなよ」


「大丈夫、俺は自分の実力を知ってるよ」


卑怯と言われようが、姑息と馬鹿にされようが俺にできる事を全力で頑張るんだ。



――――――――――


次の日


「それじゃみんなにこれを渡しておくよ。ストラップとして使えばオーディヌスにいてもメールや電話が出来るから」


「おいザコ、この馬鹿でかい鱗って」


「あー、こっちにはいない生き物の鱗なんすよ。だからあまり人に見せないでもらえたらありがたいっすね。予備は姉ちゃんに渡しておくから」


マジに竜の鱗なんですよ、なんて言えないよな。


「まっ、気が向いたらメールでもしてやるよ。ほらよ、餞別だ」


山田さんがくれたのはバイトしていたコンビニの袋。

中身は…妊娠検査薬とお札?


「山田さんこれはなんすか?」


「向こうの世界は医学が発展していないんだろ?お前がメリーさんと結婚して怪しいなと思ったらそれを使え。医学が発展していない時の妊婦の死亡率は高かったみたいからな。反応がでたら嫁さんを大事にしろ。お札は俺のお手製だ、これでも密教系の寺の息子なんだぜ。幽霊の1人や2人は防げる筈だからよ」


てっきりコンさんが来るかと思ったら、その先のものか。


「山田さんあざっす。山田さんから受けたご恩は一生忘れません」


「うるせーよ。俺の事を思い出す暇があったら向こうで一歩でも先に進める様にあがいてみせろ。…ザコ、ダサくても笑われても生き抜けよ」


「功才、良い先輩をもったの。儂からこれじゃ、こんな物でも先祖伝来の家宝なんじゃぞ」


爺ちゃんが渡してくれたのは刀。


「そいつは鎧通しじゃ。無銘で無骨な見た目じゃが頑丈でちょっとやそっでは折れぬ。まさに功才にぴったりじゃろ」


見た目は悪いけど頑丈と。


「お婆ちゃんからはこれ。包丁のセット、功才は昔からお料理が好きだったから向こうでも役にたつと思うわ」


「爺ちゃん、婆ちゃんありがとう。爺ちゃん達には甘えっぱなしで一杯愛情をもらえて、だから俺は親父達が見てくれなくても寂しくなくて…」


自然とこぼれ落ちた涙をメリーがハンカチで優しく拭いてくれた。


「功才、曾孫の写真を楽しみにしておるぞ。…向こうに財津の名前を轟かせ」


「功才忘れちゃ駄目、いくら強くても一人では誰も何もできないのよ。そして自分を必要としてくれる人を大切になさい」


「お兄ちゃん美才からはこれ」


美才が差し出したのはボロボロで不格好なマフラー。


「これは美才の手作りか。忙しいのにありがとな」


「美才はお兄ちゃんにはどこにも行って欲しくないんだよ…でも、でもお兄ちゃんの決めた事だから応援する、でも寂しくなったら電話するから絶対にでてね。美才の事を忘れちゃやだよ」


美才の奴は泣きそうになるのを歯を食いしばって我慢している。


「美才は俺の大切な妹なんだから忘れる訳ないだろ?何か困った事があったらお兄ちゃんに電話しな。師匠に頼み込んで駆けつけるから」


「功才、私からはこれよ。向こうで使えそうな物を色々と詰め合わせておいたから」


姉ちゃが俺にくれたのは大きめの段ボール。

中身は救急箱にバスタオルや飯盒の生活用品、スリングショットやスタンガン、さらにお菓子やら小さい頃に使っていたヌイグルミまでもギュウギュウに詰め込まれていた。


「姉ちゃん、姉ちゃんが俺の代わりに親父の期待を背負ってくれていたんだよね。そしてそして」


姉ちゃんは半ベソをかいている俺を優しく抱きしめてくれた。


「こらっ、いい年して泣かないの。メリーちゃんに嫌われちゃうわよ。それとメリーちゃん功才をよろしくね。メリーちゃんに携帯をあげるから功才が無茶したり浮気したりさら直ぐにお義姉さんに電話して、功才をお説教してあげるから。功才、強くなくても格好悪くてもいいからメリーちゃんの笑顔を守り通してみせなさい」


本当に本当にみんな俺なんかに勿体ない位に素敵な人達で、この人達に巡り会えた事を幸せに思う。


「それじゃみんな俺向こうで頑張るから」

そして俺は自分の意志でオーディヌスに旅だった。



久しぶりに感情移入して書きながら泣いてしまいました

こんなで泣くなんてストレスが溜まってるんですね

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