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大将

「……で、あれを勝手に使ったと」

「いや、勝手というか……」

「勝手だろ」

「はい、勝手です……」

俺はなにをやってんだ……中村に言われっぱなしじゃないか。

「正直言ってな、あれは非常に危険だ」


それは重々承知してる。


「お前に扱えるようなブツじゃねえ」


分かってる……だけど。

「自分の手で扱いたいんだ」

「……分かったよ。で?誰のクラッキングしたんだ?」

「ナナの」

「即答かよ。まあ、予測はできていたんだが……」


遠隔操作用簡易クラッキングソフト。


扱うには充分な知識と、トラブルへの迅速な対応力が必要である。


PC中村と呼ばれる彼でさえ、遠隔操作先のPCを1台ダメにしてしまったという。


「危ないの。俺は今も使ってるけど、冷や汗かきながら見てるんだから」

「そっか……。ちなみにお前は誰の見てんの?遠隔操作?」

「川崎の」

即答かよ!

そういえば、こいつは昔、川崎にふられたんだっけ。


「……話を戻そう。お前はやめたほうがいい。下手すりゃ、川崎のPC故障しちゃうからな。俺に任せろ。川崎のことは俺に聞け」


チャイムが鳴った。次は体育なので、外に出た。


今年は9月も夏だ。最高気温はいつも35℃超え。午後の授業だったので、ちょうど真っ盛りだ。肌が焼かれているようだ。自分の髪の毛に手を当てると、熱されているのがよく分かる。


運動会も1週間後に迫った今日、最後の親善・全員リレーが行われる。クラスの方針は「みんなあまり本気出さないで。本番、他のクラスをびっくりさせよう」であるようだ。もともと、実力がないクラスなので、びっくりも何もないと思うのだが。

陸上部所属なのにもかかわらず、俺は11走者であった。その理由が、村上が考えた、その名も「内山の足の遅さを補おう作戦」であった。


内山の順番のまわりに足が速い人をたくさん集める。それだけ。それしか手段がない。


内山は13番。なんとか隣は免れたが、走るまで列に並ぶとき、隣なのだ。奇数番の者として分かれるのだ。つらい。隣はあまりにもつらいよう……。



「よおい……」



雷管の音が鳴り響いた。


絶対、本気だ。自分のクラスはかろうじて1番手を死守していた。


バトンを受け、走る。1番手を守り、次の伊藤さんにバトンを渡した。


やばい、抜かされる。


なぜか他の1クラスだけが飛びぬけて速い。コーナーを曲がりきるところで抜かし……




伊藤さんが見えない。




内山が走ってない。野次馬たちがたくさんいて、よく見えない。

「おい!大変だ!血ィ流してるぞ!」



まさか。



転んだのか?


「あいつ、きったねえや!」

「お前、なにやってんだ!」


1人の、がたいがでかい男が、人ごみを押しのけ、やってきた。



「俺のせいじゃねえよ。1人で転んだんだ。俺も危なかったよ。巻き添えを喰らうとこだった」



そいつは、いつもみんなから恐れられている、「大将」……。




工藤大将だった。

中学校の関係で、1週間遅れてしまいました。申し訳ありません。

この差を補うようにがんばって少しハイペースで更新していきたいと思います。

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