73話 超裏面!!
73話 超裏面!!
『裏面3』のさらに奥へ進んでみると、
――そこには、看板と、オペ台のようなものが、置かれていた。
病院と似た雰囲気。
白く、無機質な部屋。
消毒液に似た、鼻を刺す匂いが、うっすらと漂っている。
看板には、こう書かれていた。
『超裏面では改造手術を受けることができます。手術が成功すると、【変身(HPとMPを消費することで、一時的に全ステータスが大幅に向上する覚醒技)】が使えるようになります』
「……『成功すると』ってことは……」
その一文を、指でなぞりながら、俺は、眉をひそめる。
「失敗することも、あるのか……勘弁してくれよ」
嫌な予感が、背筋を、そっと撫でた。
だが、ここで、尻込みしている暇はない。
時間は、限られている。
俺は、覚悟を決めて、オペ台に、身を横たえた。
冷たい台の感触。
視界の端で、機械のアームが、静かに、動き出すのが見えた。
アームの先についている注射器の針が、俺の腕に入っていく。
どうやら、麻酔をぶちこまれたらしい。
――意識が、ふっと、遠のいていく。
★
次に、感覚が戻ってきた時、
俺は即座に、
――『結果』を理解した。
「ずぁあああああ! 失敗しやがったなぁあああ!!」
全身を、電流のような激痛が、駆け抜けていたから。
とんでもない痛み。
肉という肉を切り裂かれて、いたるところから血が噴き出しているかのような感覚。
「痛ぇよぉお! 全身がぁあ! バッキバキにぃい! うぎぎぎぎぎぎぃいい!」
悶え苦しみながら、なんとか、視線だけを、動かす。
視界の中、俺の手術を担当していたらしいアームロボが、関節をキュルキュルと鳴らしながら、レンズ部分を、ゆっくりと、こちらへ向けてくる。
人間でいう『お辞儀』のつもりなのか、レンズのついた先端が、カクンと、小さく傾いだ。
「申し訳ありません。失敗してしまいました」
「謝ってすむか、ぼけぇ!」
叫んだ拍子に、また、体の芯に、痛みが走る。
声を出すだけでも、ノドが爆発しそうだった。
とにかく、全身の至るところ――関節も、骨も、肉も、内臓も。
すべてが、悲鳴をあげている。
「うぉお! やべぇえ! 起き上がれねぇ! てめぇ、これどうすんだ! 指一本動かせねぇじゃねぇかぁああ!」
「成功しようと失敗しようと、麻酔がきいている間は、そもそも、しばらく動けません」
平坦な、機械音声。
なんの感情もない、その無機質極まりない声が、マジで腹立つ。
「麻酔なめんな! 麻酔がきいていたら、こんなクソ痛いわけあるぁ!」
「筋弛緩麻酔と、疼痛緩和麻酔は、全く別ものですよ(笑)」
「てめぇ、今、鼻で笑ったな!」
機械のくせに、絶対に、笑いやがった。
感情はないはずなのに、人をバカにすることはできるとは、いったいどういう了見だ。
悔しいが、動けないので、『叫ぶ』と『睨む』以外に、抗議する術がない。
「てか、おい、アームロボ! 失敗したのは、最悪、しゃーねぇ! 問題はリカバリーができるか否かだ。もう一度チャレンジすることは可能か?」
「不可能です」
「えぇ……」




