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センエース  作者: 閃幽零×祝百万部
第C章 公式S級配信者センエース。

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50/83

50話 クロノス。


 50話 クロノス。


 8階層のボスは、神殿の奥で鎮座していた。


 ――名は、クロノス。


 時間系の魔法を得意とする怪物。


 見た目は、人間サイズで人型。

 だが、その体の周囲だけ、まるで時間の流れが違って見えるような、異様な静けさが漂っている。


 砂時計のような装飾がびっしりと覆う、鎧のごとき甲殻。

 顔の部分には、時計の文字盤を思わせる紋様が浮かび、その中央で、ぽつりと開いた一つの目が、ゆっくりと、こちらを見据えていた。


 まるで、時そのものを司る番人のような、静謐《せいひつ》で、それでいて底知れない威圧感。

 背丈こそ人間並みだというのに、放たれる圧は、これまで見てきたどんなモンスターよりも重い。


 この状況に、コメント欄が沸く。


『やっぱ、クロノスかっけぇ』

『時空旅団でも勝てなかった怪物!』

『でも、今回は数の暴力でいけるんじゃない?』


 ちなみに、現状、俺以外のメンバーも全員が配信しているため、

 俺の配信に集まってきた人数は2000人ちょっと、微妙。


 ……みんな、時空旅団やバビロンズに夢中なんだね……

 いや、わかるよ。

 動けないオッサンの配信より、スーパースターたちを見たい気持ち……

 わかるけど……やっぱり、イラっとしちゃうよねぇ……

 人間だもの。


 せめて、少しでも役に立とうと、俺は、


「てめぇがクロノスか! 間近でみると、ずいぶんな迫力じゃねぇか」


 チームの一番後方から、あえて声を張り上げた。


「動画で見るのとは大違いだぜ。だが、関係ねぇ。お前は死ぬ。人類の底力というものを教えてやろう! 俺以外がなぁ! ふはーはっはっはっは!」


 ちょっとでも張りつめた空気を和らげようと、ピエロを頑張る俺だったが……


「今、真剣な状況だから、ちょっと、静かに」


 名もないレベル40のモブから、真顔で怒られた。


『セン、怒られたw』

『邪魔すんなよ、オッサンw』

『始まる前から舞い散るんじゃないよ』


 コメント欄でもいじられる始末。

 くそ……


 名もないレベル40め……

 モブの分際で、この俺様にタメ口聞いてんじゃねぇぞ、カス!

 表出てかかってこい、ボケ!


 と、心の中で叫びながら、その背中をにらみつけてやった。


 所詮、モブ。

 俺の心の絶叫に気づいてもいない。

 口ほどにもない野郎だ。


 と、俺がラリっていると、

 ――そこで、クロノスが、初めて、声を発した。


「今回はどうやら、大ぜいを引き連れてきたようだな」


 文字盤のような顔から響く声は、機械的で、それでいて、どこか嘲るような響きを帯びていた。


「しかし、後ろにいる者どもは、どれも低レベルのゴミばかり……」


 誰が低レベルのゴミだ。

 言っておくけど、俺が本気を出したら、お前とレベル一緒だからな。


「烏合《うごう》の衆では話にならないということを教えてやろう」


 クロノスの声が、神殿の空気を震わせた。


 その言葉を合図にしたかのように、戦いが始まった。


 クロノスの体が、一瞬でぶれる。

 次の瞬間には、もう、猛田の目の前に迫っていた。


「――ッ!」


 振り下ろされる腕。

 付け根から先端まで、砂時計の紋様がびっしりと並んだその一撃は、掠っただけで骨まで持っていかれそうな重さを孕んでいる。


 だが。


「もう、そろそろてめぇの動きにも慣れてきてんだよ!」


 猛田は、紙一重でそれを避け、同時に、下段からの斬り上げを叩き込んだ。


「グ……ッ」


 クロノスが、初めて、苦悶の声を漏らす。


 俺は、その光景を、後方から呆然と見つめていた。


『やっぱ、猛田カルマ、強ぇ』

『カルマたそ、胸でかすぎ。支えてあげたい』

『わい、猛田きらい。わがまますぎ』

『それがいいんじゃん』

『今回は勝てそう』

『センもちょっとは何かしろよw』


 ――時空旅団は、すでに何度かクロノスと戦っている。

 積み重ねの中で、クロノスの動きに『慣れ』てきているのが、離れた位置からでも分かった。


 これも、いわゆる一つの『死にゲー』的なノリ。


 最初は勝てるわけがないと思っていた敵でも、何度も挑戦するうちに、動きが見えてくる。



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動きに慣れてきて互角の戦いを繰り広げる猛田強い
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