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足を斬られてダンジョンに置き去りにされた少年、強くなって生還したので復讐します(習作2)  作者: 田中寿郎
冒険者編

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第71話 A Question Of Honour

リュー 「……俺は忠告したがな? 最初から無茶な約束をしなければ良かったのだ。絶対に勝てると思ったのだろうが……」

 

マリーに向かってリューが言う。

 

リュー 「つまり、最初から卑怯者だったって事だ」

 

マリー 「……な…?…卑怯な真似などは、した覚えはないぞ……」

 

リュー 「ふん、平民相手なら能力は自分のほうが絶対上だと思ったから決闘を持ちかけたんだろう?」

 

マリー 「それは……」

 

リュー 「つまり、最初から対等な条件での勝負ではなかったって事だ。それを相手の言葉も聞かずに有無を言わさず受けさせた。それはつまり、ただの卑怯、ただの横暴じゃないのか?」

 

マリー 「……」

 

リュー 「たまたま俺が強かったから良かったものの、並の平民だったら負けて終わっただろう、お前の思惑通り、な。そして奴隷の出来上がり。だが、いざ負けたとなったら自分は約束は守れないとは、卑怯でなくてなんだというのだ?」

 

マリー 「そんな事は言っていない、約束は…守る。貴族は辞める……」

 

キャサリン 「リュー、イジメるのはそれくらいにしておいてあげて、模擬戦を提案した私も困るわ」

 

アリス 「マリーは貴族として高いプライドを持っている。貴族でなくなるという事は死ぬ事と同じ」

 

リュー 「別に、貴族を辞めたって死にゃあしないだろ? 俺は平民として普通に生きてる。困る事などないと思うが?」

 

そこにレイナードが横槍を入れてくる。

 

レイナード 「そもそも、貴族を辞めるって、どうすればいいのだ? リューは知ってるのか?」

 

リュー 「……知らんけど……」

 

ベティ 「そんな手続きは存在しないわ。貴族は血。仮に出奔して身分を隠して平民として暮らしたとしても、それで貴族の血がなくなるわけではない」

 

アリス 「……王に届け出て、認められれば平民になれるかも」

 

ベティ (余計な事言うんじゃないわよ!)

 

アリスを睨みつけるベティ。


だが、アリスはまったく動じる様子はない。

 

アリス 「そもそも、爵位というのはその家の当主のみが持つもの。その他の者は、貴族の家族・貴族の血縁者というだけで、明確な地位や肩書があるわけではない」

 

リュー 「貴族じゃなくなっても、王女付のメイドとしてソフィが雇い続ければいいだけじゃないのか?」

 

ベティ 「そうはいかないわ。冒険者をしている時はいいとしても、王宮に戻ったら、王女の側に平民が仕える事はできないのよ。」

 

リュー 「バカバカしいルールだな」

 

キャサリン 「リュー、それ以上、貴族王族の体制批判を続けると問題になるかなぁ~~~」

 

困った顔のキャサリンを見て、やれやれとため息をつくリュー。

 

リュー 「権力を振りかざして横暴な事を言ったのは許せないところはあるが……まあ、結果だけ見れば、確かにキャサリンの言う通り、言葉だけの話と言えなくもない。(手首を折られた)マリーが痛い目を見たのは自業自得として、他に誰か具体的に被害があったわけでもない、か……」


リュー 「……ではこうしよう。あれだけ言ったのだ、俺としては許す気にはなれない。だが、どうしても困るというのなら貴族は辞めなくてもいい」

 

その言葉にソフィが目を輝かせてリューを見る。

 

リュー 「ただし条件がある」

 

ベティ 「条件?」

 

キャサリン 「いや、王女様を奴隷にとか、ありえないからね?」

 

リュー 「話の腰を折るなよ……」

 

ジロリとキャサリンを睨むリュー。


考えてみれば、色々、問題が起きてる原因はこの人物な気がしないでもない。リューは後でキャサリンを締めようと心に決めたのだった。

 

リュー 「もちろん、王女様を奴隷になんて考えてないさ。条件は、まず第一に、王都に戻ったら貴族をやめる手続きについて確認すること」


リュー 「俺の要求は、約束を守って貴族を辞めてもらいたいという事は変わりはない。自分が言った言葉に責任を持って欲しいというだけの事だがな。マリーがそうすると言うのなら話は終わり、シンプルだ。それについて前向きに考えてもらうためにも、手続きについて具体的に調べてもらう」

 

リュー 「まぁ、調べるついでに貴族復帰の手続きについても調べてみたらどうだ? 先程のアリスの話だと、そもそも当主以外は貴族であるという明確な肩書はないようだが……平民から叙爵されて貴族になる例もあるんだろう? ならば、一度やめてもまた貴族に戻る事は可能なんじゃないのか?」

 

ベティ 「貴族というのは、そんな簡単になったり辞めたりできるものではない」

 

リュー 「ま、そう簡単に戻られても困るがな」

 

リュー 「ただ、もし、どうしても貴族を辞められない事情があるというのなら……俺は平民だから、平民になって困るというのは理解できないが、貴族や王族には俺が知らない事情も色々とあるのだろうからな。もし貴族を辞めるわけにはいかないというのならそれでもいい。その代わり……相応の代償を考えてもらおうか」

 

ベティ 「代償……? 結局、金か!」

 

リュー 「金なんかいらないさ、金には困ってない」

 

マリー 「では、代償とは…………なんだ?」

 

リュー 「それは自分で考えろ。貴族を辞める事は死ぬ事と同義だとかそっちのメイドが言ってたが、当然、それに見合う代償をな」

 

ギョッとした顔をするマリー。

 

リュー 「お姫様が代わりに責任を取るのはなしで。あくまでマリー本人が責任を取る事。内容は任せる。


ああ、別に、約束を反故にしてもいいぞ? それは貴族……」

 

リューはソフィをチラリと見た。

 

リュー 「…そして王族の誇りが許すなら、な」

 

ソフィ 「名誉の問題、というわけじゃな」

 

リュー 「そういうことだ。極簡単な代償で済ませても、約束そのものを反故にしても構わない、王女に恥を掻かせる事になっても良いなら、な。


恥と言っても、単に俺一人が貴族・王族を軽蔑するだけの事だ。特に誰も困る事はないさ。

 

貴族を辞めるのか、辞めないならその代償を考えるか、あるいは……。よく考えて決めればいい。

 

俺からの、名誉の問いかけ(A Question Of Honour)の答えを」

 

ソフィ 「あい分かった。王家の威信にかけて、相応しい代償を考えさせて貰おう」

 

リュー 「いや、それを考えるのはマリーだろう。それに、やめる選択肢もなくなったわけではないんだが」

 

ソフィ 「妾としてはやめさせたくはないのじゃ。そして妾も責任を感じているのじゃ、一緒に考える事くらいはさせて欲しい。ダメじゃろうか?」

 

リュー 「……姫様は優しいね」

 

色々と甘すぎる気はするが、リューはソフィが何故か憎めなくなってきていた。

 

リュー 「なのに部下はどうしてキツイのか……」

 

ソフィ 「妾が甘やかしたせいかもしれんの、申し訳ない……」

 

またしても王女に謝らせてしまった。

 

マリー 「いえ、違います。ソフィ様の教育が悪いわけではありません、私がひたすら愚かなだけです……この償いは、貴族をやめたとしても、いつか必ず……」

 

 

 

 

キャサリン 「こ、これにて一件落着っ! と言う事でっ! ソフィ様も、リューの実力は十分ご理解頂けたのでは?」

 

ソフィ 「うむ、見事じゃ。だが、これでFランクとは何故じゃ? 冒険者というのは、皆、こんなに強いのか?」

 

リュー 「ギルドマスターがランクアップを認めてくれなかったんだよ」(笑)

 

ソフィ 「ほう?」

 

キャサリン 「いえ前任者の時の話です! それには事情がありまして……、というか、リュー、ランクアップを受け入れてくれる気になったの?」

 

リュー 「興味ナイネー(・∀・)」

 

キャサリン( ...orz )

 

 

 


次回予告

 

王女様、ゴブリンと戦う!

 

乞うご期待!

 

 


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