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足を斬られてダンジョンに置き去りにされた少年、強くなって生還したので復讐します(習作2)  作者: 田中寿郎
冒険者編

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第62話 王女がやってきてリューの仲間に!?

更地になってしまった五黒星のアジト。

 

転移で外に脱出してリューは無事だったが、そのリューに声を掛けて来た者が居た。

 

銀狼のゾーンである。

 

ゾーン 「ああ、全滅か……派手にやったな。五黒星の手下の中には、他に行き場がなくて仕方なくって奴も居たんだ。そういう奴らは許してやってほしかったんだがな……」

 

リュー 「爆発で吹き飛ばしたのは俺じゃない、五黒星の幹部だぞ? アジトごと自爆したんだ。」

 

ゾーン 「ガエタか、そういえば、自爆のスキルを持っているいう噂を聞いたことがあるな。自分も死ぬが、確実に相手も仕留められるという……しかし、お前には通用しなかったようだな。」

 

本当は、部下たちは全員リューによって頸動脈の血流を断たれていたのだから、ガエタが自爆しなくとも部下は全滅していたのであるが、それは言わないでおくリューであった。

 

リュー 「そういえば、ロンディとか言う奴は居なかったな。」

 

ゾーン 「ロンディは逃げ伸びたのか。まぁ奴は小賢しいがそれほど悪どい奴でもない。放って置いていいだろう。」

 

リュー 「まぁ、他の連中と違って、多少は話が通じそうな奴ではあったな。しかし、これで、お前の一人勝ちだな?」

 

ゾーン 「俺たちも潰すか?」

 

ゾーンがニヤッと笑いながら言った。

 

リュー 「別に、俺に関わりがないならスラムの勢力争いに興味はないよ。それに……アンタはそんなに悪い奴でもなさそうだしな?」

 

ゾーン 「さぁ、どうだかな。だが、スラムには、行き場がなくなった者が集まってくる。そういう者が出続ける社会である限り、いくら掃除しても、またいずれ同じ状態になるだろう。」

 

リュー 「だから、アンタがしっかり纏めていけばいいんじゃないか?」

 

リューはそう言うと、手を上げて転移で消えていった。

 

ゾーン 「む……なんだか、押し付けられた感もあるが……」

 

ゾーンはこれからスラムの後始末・再編に追われるのを想像して肩を竦めた。

 

    ・

    ・

    ・

    ・

    ・

 

― ― ― ― ― ― ― ―

リューがスラムの犯罪組織を壊滅させていた頃、冒険者ギルドでも少々騒動が起きていた。

 

新人冒険者として研修を受けたいと、とんでもない人物がやってきたのである。

 

それは、このミムルの街が所属しているガリーザ王国の第七王女、ソフィ・ダ・ガリーザであった。

 

 

  *  *  *  *

 

 

ガリーザ国王の7番目の子供として生まれたソフィ。王の子供には他に女の子が居なかったため、ソフィは王に溺愛されて育った。

 

王の子供達がソフィ以外全員男児であるというのは、王の後継ぎに事欠かないという意味では良い事でもあるのだが、兄弟の中で唯一の女の子と言う事で、末娘のソフィは父王のみならず兄王子達からも溺愛される事となった。

 

実はソフィが生まれる前にもう一人、王には女の子が生まれていたのだが、そのソフィの姉は、幼くして病気で亡くなってしまったのだった。初めてできた「娘」と「妹」を病気で失った反動で、王と王子達はソフィには異様に過保護に接するようになったのであった。

 

幸い、ソフィは病気をすることもなく順調に成長したが、溺愛が過ぎて、ソフィのワガママはなんでも通ってしまうような状態であった。冒険者になりたいとソフィが言い出した時も、本来は王族の姫が冒険者など絶対ありえない事なのだが、言い出したら聞かないソフィを王も王子達も止める事ができなかったのである。

 

実は、ソフィには、幼い頃、懇意にしていた老子爵が居た。子爵は若い頃、趣味で冒険者をしており、その思い出話の冒険譚が非常に面白かったのである。

 

娯楽の少ない世界である。その老人が聞かせてくれる物語は、幼いソフィの心を踊らせた。ソフィは子爵を何度も王宮に呼びつけては話をせがみ、子爵もそんなソフィに話を聞かせるのを楽しみにしていたのであった。

 

面白おかしく、時にスリリングに、時にダイナミックに語られるその話は、大人たちが聞いてもとても面白いものであったが、その老子爵もやがて亡くなり、今となってはその冒険譚が本当の話なのかどうかも分からない。冷静に考えれば、荒唐無稽と思えるような内容も含まれており、もしかしたら一部(あるいは大部分?)が作り話であったのかも知れない。

 

だが、その話はソフィの心に強い印象を残したのであった。王女はいつしか冒険者に憧れるようになってしまったのだ。

 

そして、やがて16歳になったソフィは、冒険者になりたいと言い出す。


冒険者に憧れているのは知っていたが、まさか本気で冒険者活動をしたいと言い出すとは思っていなかった父・兄達は驚いたが、言い出したら聞かないソフィは反対を押し切り、王都の冒険者ギルドで冒険者登録してしまったのだった。

 

ソフィは登録するとすぐに、魔物の討伐クエストに臨んだ。だが、王族の姫君である。心配した周囲の配慮で、大量の護衛騎士付きでのクエストとなってしまう。当然、魔物はすべて騎士が倒してしまい、王女の出る幕などない。

 

そもそも、本当は登録したばかりの初心者が魔物の討伐依頼をそうそう受けられるものでもない。だが、王族ということで特別扱いされていたのである。それを後から知ったソフィは非常に不満を感じることとなった。

 

ソフィは、老子爵の若い頃のように、自分も貴族(王族)の身分を隠し、一介の冒険者として一から経験を積み重ね、成長していく冒険譚を夢見ていたのである。

 

だが、ソフィが護衛無しで冒険がしたいと言い出しても、子爵の三男程度の立場ならいざ知らず、さすがに王女にそれが許されるわけはない。英才教育を受けてきたソフィは、剣の腕もそれなりではあるのだが、だからといって王女を一人で冒険に出す事など、さすがに周囲が許してはくれないのであった。

 

王の寵愛を一身に受ける王女である。そんな王女にもしもの事があったら大変な事になる。王都の冒険者ギルドでも王女に“冒険”を許す事はできないのであった。

 

そんな時、初心者の冒険者を育てる学校を始めたというミムルの噂を聞きつけたソフィが、そこに行くと半ば強引に王都を出てきてしまったのだ。

 

だが、いくら初心者向けとは言え、王女をダンジョンに潜らせるなど本来は絶対に許されない。普通であれば王が強権を発動し、無理矢理にでも王女を止めるところである。

 

だが、ミムルのダンジョンは、最近管理ダンジョンになり、初心者向けにチューンされていると言う情報を、王宮の諜報機関が既に入手していた。

 

何より、言い出したら聞かない王女である。あまり無理に止めて家出でもされては困ると、王も渋々黙認という事になったのである。




 

ただ、当然、ミムルの冒険者ギルドにも、王女についてはくれぐれも危険な目に遭わせないようにと王宮から厳命が届く事になる。


また、王に忖度したギルド本部から、さらには王女に何かあって責任を問われる事を危惧したミムルの領主からも、くれぐれも問題を起こさないようにと厳命がミムルの冒険者ギルドに出され、ギルドマスターのキャサリンは頭を抱えてしまうのであった。


 

 

 

王女は仰々しい護衛騎士団を伴っての来街だったが、王女の厳命で、冒険者活動には騎士の護衛はなし、それどころか、騎士たちは冒険者ギルドに立ち入ることすらも禁止された。王都から離れたミムルであれば、王も王子も宰相などもおらず、王女の命令に騎士は従うしかなかったのである。

 

ただ、いくら王女の希望とはいえ、本当に護衛なしにする事もできず、王女付きのメイドが3人ほど同行する事で、王女になんとか了承してもらった。冒険者研修は、王女と三人のメイドで参加する事になったのである。

 

王女に同行する三人は、メイドではあるが、騎士家出身の貴族の娘達であり、当然護衛としての訓練も受けており、もともと護衛兼メイドとして王女に仕えていたのだ。

 

 

  *  *  *  *

 

 

まずは、新人としてちゃんと研修を一から受けてもらう事となった。王女自身もそれを希望していた。普通に、初心者の冒険者として扱って欲しいというのがソフィ王女の希望であったのだ。

 

そして、一通り座学による研修を終えた後―――実はその研修は通常よりも長く懇切丁寧に行われたのであったが―――いよいよ実地研修となってしまった。

 

通常であれば実地研修はいきなりダンジョンに潜るのであるが、王女達にはその前に薬草摘みのクエストを受けてもらう事にした。(冒険者は皆、そこから始めると言われて、王女も納得してくれた。)

 

そこで、薬草摘みのスペシャリスト兼護衛役として、リューに白羽の矢が立ったのである。

 

一緒にパーティを組む冒険者が男性と聞いて、メイド達は不満気であった。ソフィはまったく気にしていないようだが、本当は、王族の姫君が、家族や家臣以外の男性と行動を共にするのは通常許されないのである。

 

だが、普通の冒険者として扱うという王女自身の命令なのであるから仕方がないのであった。

 

    ・

    ・

    ・

 

呼び出しに応じて冒険者ギルドに顔を出したリュー。

 

受付嬢レイラ 「あ、リューさん、ギルドマスターがお話があるそうなので執務室へど『あなたがリュージーン?』」

 

レイラの言葉を遮って、女の子が割り込んできた。

 

ソフィ 「妾はソフィじゃ、よろしく頼む。Fランク冒険者だそうだが、妾の足を引っ張るでないぞ?」

 

リュー 「……よ、よろしく。」

 

ソフィ 「まぁ、妾もFランクなのだがな。共に精進してランクアップを目指そうぞ。」

 

ソフィはカラカラと明るく笑った。冒険者らしい活動ができそうで、ソフィも少しテンションが高くなっているようである。

 

リュー 「あ……ああ、よろしく、な……???」

 

何の話も聞いていなかったリューは戸惑いながら答えたが、それにソフィのパーティのメンバー達(=ソフィの護衛兼メイド)が怒り出した。

 

メイドA 「キサマ、王女に対して無礼であろう。跪け!」

 

リュー 「王女?!」

 

 

 


次回予告

 

貴族のメイドにバカにされるリュー

 

乞うご期待!

 

 


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