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足を斬られてダンジョンに置き去りにされた少年、強くなって生還したので復讐します(習作2)  作者: 田中寿郎
王都編

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第177話 呪いを解消……し切れなかった

リューの手によって、エミリアの両目に刺さっていた悪しき魔力の棘が消滅してしまう。

 

なぜそんな事がリューにできるのか? それは、リューが「魔力ゼロ」であるにも関わらず魔法が使える事に関係がある。

 

リューは魔力はないが、神力を直接使って魔法を発動している。正確に言うと、神力を使って必要な魔力が生産されているのである。常に必要な分だけの魔力が生産され同時に消費されてしまうので、魔力は常にゼロなのである。

 

    ・

    ・

    ・

 

太古などと言う言葉では表現できない遠い遠い昔。「世界」は未だ存在していなかった。

 

何モノも存在せず、ただ、(オリジン)だけが空間に満ちているだけだった。

 

そこには善きモノも悪しきモノも存在しない、何もない、完全なる無と同じ状態であった。

 

何もない……

 

良い事も、悪い事も。良いモノも、悪いモノも……

 

何もない……

 

そのような状況の中に、『神』は “何か” を生み出そうとした。

 

そして神は、まず『光あれ』と言った。

 

そうして、まず最初にオリジンから“光”が生み出されたのである……

 

    ・

    ・

    ・

 

神力とは、世界を創った神の力そのもの。この世界のすべてを形成している素である「オリジン」を統べる力。

 

この世界の全て、形あるモノも形の無いモノもその全ての存在が(オリジン)によって形成されているのだ。“魔力”もまた、神力によって創り出されたものの一つである。

 

リューは時空魔法を使う事を可能にするために、その神力を直接扱う能力を与えられているのである。時空魔法というこの世界の理を越えた魔法を扱うためには膨大な魔力が必要であり、それを個人の魔力で賄う事は不可能なので、このような力を与えられたのだ。

 

そして、魔力が生み出せると言う事は、逆に魔力を分解し、(オリジン)に還元してしまう事も可能なのであった。

 

リューは、旅をしながら、自分が魔力ゼロであるのに魔法が使える原理に興味を持ち、自分の空間魔法を神眼で観察し、その仕組に気がついた。神力を明確に認識した事で、(オリジン)―魔力変換を意識的に行えるようになっていたのである。

 

ただ、高度な魔法を生み出すには、魔力を使って術式を構築する必要がある。その術式は非常に複雑・難解・膨大であり、素の魔力を生み出しただけでは魔法にはならないのであった。

 

そのような複雑な術式を組み上げる事は、専門家ではないリューにはできないが、魔力を分解して無に帰してしまうなら、専門的な知識がなくとも簡単なのであった。電子回路を組み上げる事は素人には難しいが、回路を破壊してしまう事なら簡単である。否、回路に流れる電気をなかった事にしてしまうと言ったほうが現象としては近いかも知れない。

 

エミリア 「うっ……!」

 

ホイス 「エミリア様!?」

ヴェラ 「お嬢様?!」

 

エミリアの目に刺さっていた棘が消えたのが、どうやらエミリア自身にも感じられたようである。

 

エミリアがゆっくりと目を開ける。ぼんやりとであるが光を感じる。真っ暗闇になってしまっていた世界に再び光が戻ったのであった。

 

エミリア 「見えるわ! ぼんやりとだけど、光がまた見える……!」

 

ヴェラ 「お嬢様!」

 

エミリアに縋り付き喜ぶヴェラ。

 

リュー 「魔力の棘は取り除いたが、傷ついた肉体はすぐには回復しないかもしれないな。治療士を呼んだほうが良いかも知れない」

 

それを聞いたホイスが慌てて使用人に治癒師を呼んでくるよう指示した。

 

リュー 「続けて、身体を蝕んでいる魔力も除去してしまおう」

 

身体のあちこちに刺さっていた棘や楔もすべて消滅させていく。おそらく、エミリアは相当体調も悪かったはずである。今日は無理してリューと話していたのであろう。

 

エミリア 「おお、何という事でしょう、ずっと苦しかった身体の調子が良くなってきました……」

  

ヴェラ 「お嬢様! 良かった……! 大魔道士リュージーン様、なんとお礼を言ってよいか……!」

 

エミリア 「リュージーン様、さすが、オルドリアン様の紹介してくださった大魔道士様、このお礼は……」

 

リュー 「ああ、俺は魔道士じゃないんだが……」

 

感謝の言葉を述べ始めるエミリア達だが、まだ終わりではない。

 

身体を蝕んでいた棘は除去したが、慌てて再び棘を打ち込もうとしてくる存在がリューの神眼によって捉えられていたのだ。

 

レイスである。

 

リュー 「おおっと! ……ん? 見えないのか?」

 

エミリア・ヴェラ 「?」

 

リュー 「レイスが居るんだが……」

 

エミリア達にはどうやらレイスの姿は見えていないようであった。

 

ダンジョンの中では姿が見えるレイスであるが、外に出ると非常に見えにくいのである。

 

レイスが居ると聞いたホイスが慌てて室内用の短槍を構えるが、見当違いの方向を探している。

 

レイスとは、魔法使いが自分の魂を操るような魔法に挑戦して失敗した成れの果てであると言われている。

 

通常、人は死ねばその魂は別の次元の世界に旅立っていくものなのだが、それが何らかの異常な力(魔法)によって、この世界に逗まり続けている状態になってしまったと言われている。いわゆる「幽霊」のようなものである。

 

幽霊であるが故に、ダンジョンという特殊な環境であれば見えるが、そうでない場所では(霊感のない者には)見えないわけである。(リューは神眼発動中であれば見える。)

 

リュー 「そっちじゃない、ここだよ」

 

試しにリューは剣を抜き、レイスを斬ってみた。だが、やはり剣は空を切るだけであった。レイスには一切ダメージが与えられない。

 

リュー 「やはり物理攻撃は通用しないか」

 

だが、どうやら魔力を使って物質世界に留まっている。つまり魔力によって形成された存在である、と言う事は……

 

つまり、リューが魔力の棘を分解したように、レイスもまた分解できるのでは?

 

思いつきで試してみたリュー。レイスをこの世に顕在化せしめている魔力を消滅させてしまう。

 

それによって、レイスはこの世から旅立つ事になったようだ。

 

成仏したとか昇天したとか言う事になるのだろうか。消えていくレイスは心做しか嬉しそうな顔をしているように見えた。

 

レイスの中には、他の魔法使いによって強制的にレイスにされ、この世に留められている哀れな者もいるらしい。そういうレイスにとっては、この世界に無理やり縛り付けられていた呪縛がなくなり死ぬ事ができるのが嬉しいのかも知れない。

 

何はともあれ、エミリアに悪さをしようとしていたレイスは居なくなった。これで万事解決!

 

と思ったリューであったが、まだ終わっていなかった。

 

レイスは居なくなったが、まだ、エミリアへと流れ込んでいた邪悪な魔力が消えていないのである。

 

神眼を使ってさらによく観察してみると屋敷の外からその魔力は流れ込んでいるようであった。

 

どうやら、その魔力が、ダンジョンの外でレイスを顕在化させていたのではなかろうか。

 

見ていると、その魔力は微弱であるが、エミリアに纏わりつき、直接棘を形成しようとしているようである。

 

その魔力をリューが消し去っても、後から後から絶えず魔力が流れ込んでくる。

 

つまり、放置しておけば、またそのうちエミリアの身体を蝕み始めるという事である。もしかしたら、この魔力を通じてレイスが再び送り込まれて来るのかも知れない。

 

リューは状況をエミリアに説明した。

 

エミリアを追尾・攻撃している悪しき魔力の発生源を断たなければ、やがて再び同じ事になるだろうと。

 

リューは尋ねた。

 

リュー 「原因は、何なんだ?」

 

 

― ― ― ― ― ― ―


次回予告


マガリエル家の呪い


乞うご期待!




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