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足を斬られてダンジョンに置き去りにされた少年、強くなって生還したので復讐します(習作2)  作者: 田中寿郎
王都編

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第164話 アナとレオノア、躍進の秘密を吐け

領主のオルドリアンは忙しいという事ですぐに帰っていった。捕らえたアッシュの尋問もあるだろうし、忙しいのも本当なのだが、実は貴族である自分が居ると話しにくい事もあるだろうと気をきかせたという面もあった。基本的には冒険者ギルドは独立した組織である。領主も支援金を出しては居るが、過剰に口を出さないほうが良いと領主は考えていた。オルドリアンは細かいところに気を使える良心的領主なのだ。

 

執務室に移動したネリナとリュージーン、イライラ。何故かそこに、研修生のアナスタシアとレオノアも呼ばれた。

 

ネリナ 「早速、今後の指導方針についてだけど……ワイラゴの難易度が下がったと言う事で、入場規制は解除する方向で領主様とも話がついているわ。冒険者を調査に派遣して、調整の必要があるところを調べてからと言う事になるけれど。

 

それに伴って、研修の内容は大幅に変更する必要があるわね。

 

……現在、一番の問題点は、物理偏重過ぎるところよね? バイマークの冒険者は物理攻撃特化の職業の者ばかりになってしまっているけど、これからは魔法職も普通にバイマークで活動できるようになるわけだしね。」

 

イライラ 「俺はもうお役御免だな。今後はネリナが教えてやればいい。他から優秀な魔法使いを教官にスカウトしてきてもいいだろうが、俺はネリナほど優秀な魔法使いを知らない。ネリナが教えてやればいい」

 

ネリナ 「教官を辞める気? 別に剣術の指導が不要になるというわけじゃないのよ?」

 

イライラ 「俺は指導者には向いていないと思っている。嫌われているしな。アッシュの事はあったが、それを抜きにしても、俺の指導方針は問題点が多かったのだろう」

 

アナスタシア 「あの~、イライラさんは、魔法職や回復職を嫌っているわけではなかったのですか?」

 

イライラ 「別に嫌っては居ない。俺はネリナとパーティを組んでいたんだぞ、稀代の魔法使いとな。魔法の有用性はよく知ってるさ。ただ……コカトリスには魔法攻撃が通用しない。俺は何度もコカトリスと戦ったが、結論として、魔法よりも圧倒的な物理攻撃力が有効であると結論しただけだ」

 

アナ 「でも、回復職が居ないと長期戦では不利になりませんか?」

 

イライラ 「極論だが、回復はポーションがあれば済む話だからな。ワイラゴ攻略戦には、容量の大きいマジックバックが貸与される予定だった。

 

少しでも物理攻撃力を上げるために、一人でも戦士タイプの人間を揃えたかったのだ。コカトリス相手には、発見次第とにかく先手必勝、石化ガスを吐かれる前に倒してしまうのが最善手だからな」

 

リュー 「敵を知り、己を知れば百戦負けなし!

 

と……

 

…言ってたらしいぞ、誰かが」

 

ネリナ 「誰がや」

 

地球の諺を思い出したリューだが、誰が言っていたのかは思い出せない。異世界に来てしまった今となってはリューにそれを調べる術もない。

 

リュー 「…コカトリスの特性をよく理解すれば、魔法使いやヒーラーなどの支援職も役に立つはずだと思うぞ。例えば攻撃役(アタッカー)速度(スピード)攻撃力(パワー)をアップさせるような支援魔法を使うとか、風の魔法で石化ガスを吹き飛ばして抑えるなんて事もできるんじゃないか?」

 

ネリナ 「やってみなかったと思う? コカトリスの数が少なければそれで行けるとは思うけど……。支援職は石化ガスの攻撃を避けられるほどの敏捷性がなかったのよ。それに石化ブレスは生半可な風で防げるほど弱いものではなかった。向きを変える事すらできなかったわ。魔法の風で充満するガスを吹き飛ばしてしまう事はできたけれど、ひっきりなしにガスを吐かれるとそれも限界があるし、狭い場所だとどうにもならないしね」

 

イライラ 「最下層にはまだコカトリスは出現するのだろう? ならば、挑戦する冒険者が今後出るなら、その前に注意喚起が必要だろうな」

 

リュー 「まぁ今後は、そんなに馬鹿みたいな数のコカトリスが出現する事はない……

 

…と銀仮面が言ッテイタゾ」

 

 

 

 

レオノア 「あの……私達はなんで呼ばれたんでしょうか?」

 

ネリナ 「ああ、それね、貴女(あなた)達二人は、魔法職と回復職志望で、体力はなかったわよね。それが、急に目をみはる体力を身に着けた……それは何故なのかなぁと思って」

 

アナとレオノアは顔を見合わせ、その後チラッとリューのほうに視線を送った。二人は魔力を身体強化に使えるというリューの助言を受け、それをヒントに後はなんとか自力でその方法を編み出してきたのだ。


だが、冒険者がどうやって強くなったかなど、たとえギルマスであっても無理に訊く権利はない。

 

ネリナ 「イライラの報告によると、その影にもリュージーン君の助言があったらしいじゃない?」

 

リュー 「俺はヒントを与えただけだ。あとは二人が努力した結果だ」

 

ネリナ 「そのヒントを教えてくれるとありがたいのだけど……」

 

リュー 「俺自身はそれを明かす事は全然構わないのだが……二人はどうだ? せっかく苦労して強くなれたのだ、その方法は秘密にしておきたいのではないか?」

 

ネリナ 「冒険者の強さの秘密を訊くのはマナー違反だというのは分かっているのだけどね。でも、そのヒントだけでも教えてくれれば今後、ギルドにとって、冒険者にとって、多大な貢献になると思う。貴女達二人にも、ギルドへの貢献度として記録しておくわ。ランクアップその他で優遇されるようになるから、貴女達二人にもメリットはある話よ?」

 

レオノアとアナはお互いの顔を見た後、頷きあい、言った。

 

アナ 「明かしても構いません。リュージーンさんに教えてもらった事ですから、リュージーンさんが他の人に教えれば、いずれ広まって行くことですから」

 

レオノア 「私達は、魔力を使って身体を強化したのです。魔力を魔法に使うのではなく、身体強化に使った」

 

リューはその後、この世界の人間達に、身体能力の差が非常に大きい理由についてのリューの考察を補足説明した。この世界の人間達は、無意識のうちに魔力を使って身体を強化している。それが得意な人間と不得意な人間が居て、身体能力の差が生まれているのではないか? と。

 

元々、剣士や戦士など、身体能力が極めて高いタイプの者は、実は魔力を身体強化のために無意識の内に使用している。逆に、魔法使い(マジシャン)回復職(ヒーラー)は、魔法を魔法として外に発動するのが得意であるが、その分、身体強化に魔力を回すという観点が少ないのだろう。

 

だが、マジシャンやヒーラーというのは、魔力の扱いが元々上手いのであるから、その魔力を身体強化に向ける事も、練習すればできるのではないか?

 

事実、アナとレオノア二人はそれを成し遂げた事例なのであった。

 

話を聞き終えたネリナは、この情報は、冒険者達に革命をもたらす可能性が高いと言った。これまで魔法は得意でも体力は弱いと思われていた者が、魔力をうまく使う事で身体を強化できるのである。逆に、身体強化を無意識に行っていた者達は、身体強化をやめて外に向かって魔力を使う事を覚えれば、強力な魔法が使えるようになるかも知れないのである。

 

ただ、現段階でそう言われてもなかなか一朝一夕にできるものではない。身体能力の高い者が、急に運動能力を落として魔法を使ってみろと言われても簡単にはできそうにないし、逆に、マジシャンやヒーラーが身体強化に魔力を回してしまうと、魔法が使えなくなってしまう可能性がある。

 

結局は、どう振り分けるかは個人の好みという事に最終的にはなるのかも知れないが、いずれにしても、今後の研究が待たれるが、そのための研究にレオノアとアナに協力してほしい、というのがネリナの要望であった。研修卒業後は二人には准教官の立場を与えると。いずれ、この技術が確立すれば、正式に教官となる道もあると。

 

二人は快諾し、退室していった。

 

ただ、もう一つ、ネリナとイライラはリューに聞きたい事がある。それは、リューの石化解除の魔法についてである。

 

 

― ― ― ― ― ― ―

 

次回予告

 

イライラがリューを目の敵にしていたワケ

 

乞うご期待!

 

 


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