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足を斬られてダンジョンに置き去りにされた少年、強くなって生還したので復讐します(習作2)  作者: 田中寿郎
王都編

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第162話 煙幕ドロンとはベタな演出だ

リュー 「俺は、領主に頼まれて覆面審査官として教官の調査に来たわけだが……

 

…それは表向きの話」

 

ネリナ 「ま、まだ裏があるの?」

 

リュー 「領主からの真の依頼(ミッション)は、潜む外敵の割り出し……

 

スタンピードはお前の仕業だな、アッシュ?

 

お前はゲーベルク公国の潜入工作員(エージェント)だ」

 

一同 「?!」

 

アッシュ (なんでバレた!?)

 

イライラ 「待て……人間が、スタンピードを人為的に起こすなど、実際にできるものなのか? リュージーンを疑っていたのは、リュージーンが人間ではない、魔族なんじゃないかと疑っていたからなんだが、アッシュは人間だろう?」

 

リュー 「魔族と思われていたのか……」

 

イライラ 「…すまん」

 

リュー 「まぁ俺の事はとりあえずいい。スタンピードを起こす方法だが、そのための魔道具を使うらしいな、ヘイトを強く煽って魔物を引きつけるとかなんとか? 俺も専門家ではないので仕組みはよく分からんが、人為的にスタンピードを起こして戦争に利用するような技術は、昔から様々な国で研究されてきた事らしい。色々な方法が既に発明されているらしいが、ただ、今回使われた魔道具が面白いのは……

 

…それを使うと、魔獣だけでなく、人間のヘイトも煽る事ができるらしい。誰かに対する印象を悪くする、などにも使えたりもするとか?」

 

一同の視線がイライラに集まる。

 

アッシュ 「……ふふふははははっ、そこまで調べがついているとはな! 正体は完璧に隠していたはずなのに、どうして分かった?」

 

リュー 「方法は秘密だ」


方法はもちろん神眼で心を読んだのである。ただ、心を読んでもそれを立証する客観的な証拠を探すのは意外と苦労するのであるが。

 

ネリナ 「何が目的なの?」

 

アッシュ 「そんなのは決まっている、祖国のためだよ!」

 

ネリナ 「ザックリ答えたわね。もうちょっと具体的な話を聞きたかったんだけど……」

 

アッシュ 「そう簡単に作戦について話すわけないだろ?」

 

リュー 「祖国のため? 自分のためだろう? 小遣い稼ぎ。だいたいお前は、祖国(くに)に送金もしてなかったようじゃないか」

 

アッシュ 「それくらい役得があってもいいだろ! 騙されるほうが悪いんだよ……話はここまでだ!」

 

アッシュは何かを床に叩きつける。小さな爆発とともに猛烈な勢いで煙が発生する。

 

慌てて研修室の窓を開け、風で煙が拭われた時には、もうアッシュの姿はなかった。

 

リュー 「煙幕で逃亡とは、ベタな演出だな」

 

領主の部下が慌ててアッシュを追って外に飛び出していった。

 

 

 

 

ネリナ 「……リュージーン、あなたは追わなくていいの? あなたは暗部の人間なんでしょ?」


イライラ 「暗部!? 国の諜報部員か! なるほど道理で……強そうに見えないのに実は強い、諜報部員(エージェント)と言われればいかにもだな」

 

リュー 「いやいやいや、諜報機関とか暗部とか知らないってば。偶々、領主と知り合って頼まれただけだ。冒険者に再登録しようと思ったのは本当だが……まぁ色々あってな。もう一度、白紙に戻して一からやり直したかったんだよ」

 

イライラ 「色々……というのは、ミムルの件か?」

 

リューは肩を竦めただけで、話を逸らす。

 

リュー 「別に、どこの街でもいい、普通に冒険者に再登録すれば良かったのだが、偶然、領主と出会ってな。で、どうせ再登録するならこの街でやってくれと言われたわけだ…」


 

 

  *  *  *  *

 

 


時はリューがガリーザ王国を出たところまで遡る。

 

国境を越え、ガリーザの南に隣接するフェルマー王国に入ったリュー。ガリーザとフェルマーは同盟国であり、非常に良好な関係を築いているため、国境線はあってないようなものであった。

 

(※ガリーザ王家とフェルマー王家は互いの国の王家から婚姻を繰り返してきた歴史があり、両家は縁戚関係なのである。実は、もしガリーザ王家が全滅していたら、フェルマー王家から新しい王を迎える事になったであろう。)

 

国境を越え、街道を進んでいる時、リューは盗賊に襲われている馬車を発見し、助けた。(リューは目的地があって旅をしているわけではなかったので、転移は使わず、気の向くままに馬で旅を楽しんでいたのだ。)

 

馬車に乗っていたのはフェルマー王国・シンドラル領の領主オルドリアン・シンドラルとその娘であったのだ。

 

そして領主に請われ、仕方なくシンドラル領の首都ベイジムまでの護衛をリューは引き受けた。

 

最初、自分は冒険者ではないと護衛依頼については断ったリューであったが、領主の護衛騎士は全員盗賊に倒されてしまっており、このまま魔獣も盗賊も出る街道を、護衛もなしに領主の馬車だけで行かせれば、どこかでまた襲われて殺されてしまう可能性が高かったのだ。

 

ちなみに、倒した盗賊はかなり有名な賞金首であった。領主ともなれば、それなりに腕の立つ騎士を護衛に付けていたわけであるが、どうやら領主を罠に嵌めて亡き者にしようとした陰謀があったようで、悪名高い盗賊に襲われるように仕向けられ、護衛騎士達は分断され、個別に盗賊の首領に倒されてしまったのであった。

 

盗賊の首領は護衛騎士を全員倒すほどの実力者であった。かつてフェルマーの王宮騎士団で名を馳せた人物であるという噂もあったが、今となってはどうでもよい事である。リューによってあっさり殺されてしまったからである。

 

リューは過去に奴隷にされたトラウマもあり、貴族はあまり好きではなかったのだが、ソフィとその父ラルゴ王と関わる内、その気持はいつの間にか大分軟化していたのだ。もちろん、平民の事を道具としか思っていない不遜で偉そうな貴族が大嫌いであるのは変わらないが。紳士的・良心的な貴族であれば、そこまでの忌避感はなくなっていたのであった。

 

そして、シンドラルの領主と娘は極めて紳士的な好人物であった。そこでリューは首都ベイジムに送り届けるまでという条件で護衛を引き受けたのであった。

 

ベイジムの街についたリューは、結局、そのまま領主の館に泊まり、歓待を受ける事になったが、そこで領主に見込まれリューは頼み事をされたのである。

 

領主暗殺の件か? と思ったリューであったが、予想は外れ。その件については、領主が自力で解決できるので問題ないという。どうやら犯人に目星はついているらしい。

 

もちろん、無理強いはしない、断ってくれても構わないと言う事であったので、とりあえず話だけ聞いてみることにしたのだった。

 

 

― ― ― ― ― ― ―

 

次回予告

 

リュー「やっぱ冒険者になろう」

 

乞うご期待!

 

 


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