表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
足を斬られてダンジョンに置き去りにされた少年、強くなって生還したので復讐します(習作2)  作者: 田中寿郎
王都編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

146/187

第146話 イライラは魔法職が嫌い?

アッシュ 「いやいやいや、待って待って、イライラ? 研修はまずは体力測定と基礎体力の増強訓練からだと昨日約束したじゃないか?」

 

イライラ 「経験者が居るんだ、まずは実力を測る必要があるだろう」

 

アッシュ 「経験者も特別扱いしない、新人とまったく同じに扱うと自分で言ってたじゃないか? いきなり自分の言葉を違えるのはどうかと思うけど?」

 

イライラ 「む……まぁいい。じゃぁ基礎体力からだ。まずは研修場百周だ」

 

百周と聞いて参加者達が「げ」という顔をした。

 

参加者 「おいおい、昨日までは多くてもせいぜい二十周だっただろ……」

 

この研修場はかなり広い。どこの冒険者ギルドも訓練場は用意しているが、せいぜい小さめの体育館程度のものだ。だが、この研修場はサッカーの試合場が何面もとれそうなサイズがあり、外周にそって様々な障害物が用意されている。

 

先輩研修生達が既に走り出しているが、どうやらその障害物をすべてクリアしながら行かなければならないらしい。

 

イライラ 「さっさと行け! 言っとくがこんなものはただのウォーミングアップだぞ。ビリの奴はさらに百周追加だ!」

 

慌てて出遅れていた研修生も全員走り出す。

 

リュー達新人六名は最後尾について走りだした。

 

リューには【加速】の魔法がある、その気になれば誰も追いつけない記録も出せるが、それでは意味がないだろう。リューは、今回、改めて冒険者を始めるに当たって、特に時空間系魔法等のチート能力はなるべく使わない事にに決めていた。できるだけ地の身体能力(地力)を鍛えておく事の必要性を感じていたのだ。

 

とは言え、魔法を使わない素の体力だけでも、竜人の身体能力である、普通の人間では誰も敵わないのであるが。

 

しかし……

 

どうもリューはイライラに睨まれているようである、それは好ましくない。あまりに成績が悪いのもまずいが、あまり突出した成績を出して目立つのも余計怒りを買いそうな気がしたので、リューは研修生の中で中くらいの位置で走っている者に合わせて走る事にした。

 

だが、そんなリューの様子を見ていたイライラがさらに不機嫌そうな表情(かお)になっている事にはリューは気付いていなかった。

 

    ・

    ・

    ・

 

4~5時間後、トップの研修生が百周を走り終えるが、休む間もなく素振り用の異様に重い模擬剣による1万本の素振りを命じられた。

 

ちなみにこれも「ただのウォーミングアップ程度」だと言うイライラに、元Sランク冒険者だったらしいので、そのレベルを基準にされても新人達は困るであろうにとリューは思ったが、口には出さずに黙って従う。

 

ちなみに、体力がない研修生は、百周を一日かけても走り終える事ができなかった。地球のマラソンと違うのは、足を痛めても治癒魔法やポーションで治してしまう事ができる事。とはいえ、怪我は治っても体力・走力がアップするわけではないので、走るのが遅い、体力がない者はやはり遅いのであった。しかも、ビリグループはさらに百周追加である。つまり、一日中走っているだけで研修が終わってしまう。

 

戦士タイプの職能(クラス)を持つ者は体力があるので良いが、魔法使いなどのクラスの者は体力はそれほど多くはない者が多い。それを同じ様に扱われたら溜まったものではない。

 

しかし、イライラは絶対に同じ様に走れるようになるまで次の段階に進む事を許さないのであった。

 

理不尽な話である。これでは魔法系や回復系の職種の人間は誰も合格できないだろう。事実、この街の冒険者は極端に肉体派に偏っており、魔法や回復職が少ないらしい。

 

それはおかしいと多方面からの抗議を受けているイライラであるが、まったく改めようとせず。また何故かそれをギルマスも許しているのだとか。

 

イライラにも、言い分、信念があるらしい。それは―――

 

魔法使いだって魔力が切れたら魔法が使えない。そうなった時に魔物に襲われたらどうするのか? いざという時のために、魔法職や回復職の人間であっても最低限の体力と近接戦闘能力を身につけておく必要がある。(回復はポーションがあれば十分、その分、戦闘職の人間をパーティに増やしたほうが生き残れる可能性が高い。)

 

―――と言う事だそうだ。

 

それは理解できるが、ものには限度がある。仮に体力面の課題をクリアできても、次の段階では戦士や剣士と同等の近接戦闘力を要求されるのだ。

 

結局、魔法職や回復職でその要求レベルをクリアできる者は多くはない。

 

だが、いくら周りの者が言ってもイライラは聞き入れないのであった。 

 

結局、魔法使い(マジシャン)回復職(ヒーラー)を目指す者は皆、研修を脱落して行き、他の街で冒険者になるのだ。

 

他の街で冒険者になり、経験を積んで戻ってきてくれれば良いのだが、嫌がらせのような研修を受けさせたこの街の冒険者ギルドに良い印象など持っているわけもなく、誰も戻ってはこないらしい。

 

    ・

    ・

    ・

 

中堅グループとともに走り終えたリューも素振りに入る。

 

素振用の重金属で作られた剣は、剣というよりはトロールが持っていたら似合いそうな棍棒である。これもリューの膂力では楽勝であるが、非力な者では持ち上げるだけで難儀であるだろう。

 

ただ、これはリューに向いている武器なのではないかとヒントをもらった。

 

竜人の筋肉は人間の筋肉の30倍程度の出力があるようだ。(鍛えている竜人であればさら出力効率が上がっていく。)と言う事は、30倍の重量の武器だって人間と同じ様に扱えるわけである。

 

武器に重量があれば、それだけで破壊力が増して有利になる。剣の重量を増やすというのは難しいだろうが、棍棒のようなものであれば重量が重いものも作れるかもしれない。極端な話、この素振り用の棍棒をそのままリューが武器として振り回せば恐ろしい事になるだろう。なるほど、そのような武器は案外自分には向いているかも知れないとリューは思ったのであった。

 

そんな事を考えながら、調子にのってブンブンと全力で模擬剣を振ってしまったリュー。

 

それをイライラはじっと見ていた。視線を感じたリューは慌てて少し手を抜き、全力で振らないようにしたのだが、遅かったかも知れない。

 

だが、いつの間にかイライラは居なくなっていた。

 

    ・

    ・

    ・

 

さらにその後は、筋トレ各種1万回とか無茶な「ウォーミングアップ」が課され、その日は終了した。リュー以外にクリアできた研修生は4人だけであった。

 

おそらくこれを余裕でこなせるレベルは、最低でもDランク以上であろう。Dランクと言えば、冒険者として一人前と認められるレベルである。それをGランクの新人に課すのはやはりおかしい。

 

(ちなみにクリアした四人はいずれも新人ではなく他の街から鍛錬のために参加させられている騎士や冒険者であった。)

 

だが、これをクリアして卒業を認められてもやっとFランク認定なのである。確かに不満が出るのも分かる。

 

そもそも、内容が体力に偏り過ぎている。イライラは魔法職や回復職が嫌いな理由でもあるのだろうか?

 

ギルドの酒場で晩飯を食っている時、他の冒険者達の噂話が聞こえてきた。それによると、イライラは昔、魔法使いとパーティを組んでいて裏切られた事があるとか。いやそうじゃない、魔法使いが足手まといだった、いやいや、昔魔法使いを庇うために怪我して引退に追いやられたんだ、など、他にも色々な話が出ていて、結局真相はよく分からないのであった。


まぁ人の噂など鵜呑みにはできない、ましてや酒が入ってる場である。リューはその情報は真に受けない事にしたのであった。

 

 

 

 

リューと一緒に研修に入った新人は五人。最初はマラソンもきつそうであったが、三人は一週間も続けるうちに基礎体力トレーニングにはなんとかついていけるようになった。限界まで体力を使い切り、ポーションで回復する。そのため、地球に比べるとこの世界は体力アップもかなり早いのである。

 

だが、残り二人は魔法職(マジシャン)回復職(ヒーラー)志望の女の子で、どれだけ続けても、とてもクリアできるレベルは遠いように思えた。

 

だが、イライラは「連帯責任」と言い出し、全員揃って「ウォーミングアップ」をクリアできない限り、次のステップには進ませないと言い出した。

 

ついていけない者はさっさと脱落させればよい。残った人間が全員クリアしたら次に進んで良いと言う。

 

新人の女性二人も、もう辞めると申し出るつもりであったが、リューは諦めてしまう前にまだ試せる事があると、少し助言する事にしたのであった。

 

 

― ― ― ― ― ― ―

 

次回予告

 

お前、ミムルでは“無能”と呼ばれてたそうじゃないか?

 

乞うご期待!

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ