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足を斬られてダンジョンに置き去りにされた少年、強くなって生還したので復讐します(習作2)  作者: 田中寿郎
王都編

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第129話 リュー、時間旅行から帰還

王宮の資料庫で、リューはヴァンパイアの弱点に関してのヒントがないかを調べてみた。だが結局、弱点は何も見つからなかったのであった。

 

弱点だらけの地球のヴァンパイアとは随分違う。地球の時の知識があったからこそ、弱点を探るという発想にもなったのだが……

 

リューもかなりチートな無敵さであるが、この世界のヴァンパイアも中々のものである。実際に色々試してみたが、不死身であると言うのはあながち嘘ではなかった。


実は、ひとつだけ、ヴァンパイアロード相手にも有効である可能性のある方法があったのだが…。ロードも時間を止める事には対応できていなかった。つまり、時間の流れが停止した状態の亜空間に転移させてしまえば、そこに封じ込められたかも知れないのだ。


単純に亜空間に転移(収納)させても、次元を超える能力がある者ならば抜け出せてしまう。だが、その亜空間の中の時間の流れが停止していたら? 思考も停止してしまうのだから脱出しようとはしないはずである。(相手が時間停止した空間の中で動ける能力がなければ。)


ただ、殺す事はできないので根本的な解決にはなっていないのだが。もし成功したとしても、永遠にそこに封印しておくしかない。リューが生きている限り―――リューの時空魔法が有効である限りは封じ込めておく事は可能であろう。


では、リューはなぜそれをやらなかったのか? 単純に、この段階では思いつかなかっただけであった。随分後になってから思いつき、しまったと思うリューであった。


ただ、落ち着いて考えれば、それは意味のない事ではあったとリューも気がついた。


封印は可能であったとしても、今回のケースで、ロードを封印したところで何も解決はしなかったと思われる。むしろ、魔族達を引かせる事ができる存在が居なくなってしまったら、その後魔族達がどう動くか分からない。ロードに引かせる事ができたのだから、そのほうが良いに決まっている。

 

リューは資料を見ていて、魔族の中でもヴァンパイアは知的であまり好戦的ではない種族であるという事は理解できた。

 

一度戦った時もそうであったが、リューが力を示せば、合理的判断で引く可能性が高いと読んだのだ。

 

結果は予想通り、魔族は撤退した。これでミムルの住民が全滅するという未来はなくなった。

 

シスター・アンと子供達も、キャサリンやレイラ、街の人々も。

 

その後、彼らがどんな人生を歩むかは分からない。当然、いつかはみな死ぬ時は来るだろう。だが、この時点での死は避けられたわけである。

 

……この世界では。

 

魔族が引き上げたのを確認した後、リューは呟いた。

 

「そろそろ帰るか……」

 

リューは再び時を超える魔法を発動、元居た世界に戻っていった。

 

元居た世界、それは、魔族の攻撃でミムルが全滅した時間軸の世界である。

 

実は、時を越える魔法というのは存在しない。部分的な状態の巻き戻し程度ならともかく、世界全体の時間を戻す/越えるというのはできないのである。

 

過去に戻るというのは、ある時点から別の未来を持つ別の平行世界に分岐する事に他ならないのであった。

 

だが、分岐した世界にも既にリュージーンが存在している。分岐した後の未来は、この世界のリュージーンのものなのだ。

 

同じ世界にリュージーンは二人は存在できない。過去を変えても、リューが改変された世界の未来に生きる事は許されないのである。

 

今はまだ分岐した直後であるので非常に近いが、やがて、分岐した二つの世界は異なる未来へと向かって進んでいく。二つの世界は、時が経つほどにどんどん遠くなっていくのだ。元の世界に帰れば、リューもやがてこの世界には来られなくなるだろう。

 

実は、並行世界というのは無限に存在しているらしい。それぞれの世界を作った「神」が居て、それらを管理している。

 

リューも今回新しい世界を作ってしまったわけだが、これはリューの力ではなく、神から借りただけの能力である。リュー自身が神になれるわけではない。

 

そうなると、管理する神の居ない世界が誕生した事になってしまうが、一応、この世界を作った神の能力を借りて、この世界を分岐させただけなので、分岐した世界もまた、元の世界を管理する神の管轄と言う事になるだろう。

 

実は、転生前に時間を遡る事について興味を抱いたリューはそれについて質問し、説明を受けたのだが、結局、難しくてよく理解できなかったのであった。

 

そもそも、神ならぬ人間に理解できるような話ではないらしい。

 

分かっているのは、リュージーンはミムルの人々が全滅した世界で生きていくしかないと言う事である。

 

別の未来を持った世界を作ったところで自分の世界の未来は変えられない。それをリューは知っていた。そんな事をしても単なる気休めでしかないのは分かっていたが、それでもやらずにはいられなかったのだ。

 

リュージーンが生きていくこの世界では、もう彼らは存在しない。

 

つい先程まで居たよく似た別の世界では、引き続きミムルの人々は生き続けているのだから不思議に感じるが。

 

しかし、死は終わりではない、新しい世界への旅立ちでしかない。

 

この世界で死んだ者達も、また別の世界に生まれ変わり、生きていくのだ。自身が異世界への転生を経験し、過去世の記憶を持っているリューはそれを理解している。死は終わりではない。

 

ただ、彼らとはこの世界では二度と会う事はないと考えると、少し寂しい気持ちが湧き上がるのは仕方がない事であろう。

 

いつか、リューが死んだ後、また別の世界に生まれ変わって、そこでまた、過去に生きた世界で関わりが会った人に出会う。もしかしたらそんな事もあるのかも知れない。

 

そんな事を考えながら、リューは王都へと戻っていった。

 

 

― ― ― ― ― ― ― ―

 

次回予告

 

この世界のヴァンパイアにも落とし前をつけさせる必要はありますよね?

 

乞うご期待!

 

 


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