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足を斬られてダンジョンに置き去りにされた少年、強くなって生還したので復讐します(習作2)  作者: 田中寿郎
王都編

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第100話 遠方より、攻撃来たる

結局、商業ギルドと冒険者ギルドで時間を食ってしまったため、リューが街を出発する事ができたのはさらに翌日の事であった。

 

街を出て街道を歩くリュー。

 

すると、道から少しはずれた場所を移動するゴブリンを発見した。

 

ダンジョンから魔物が外に出る事を管理権限で禁止したことで、街の(ダンジョン(地竜巣窟)の)周辺での魔物の遭遇率が著しく下がった。しかし他の地域から魔物が流れてくることはある。そのため、街から遠く離れるほど魔物との遭遇率は高くなっていくという逆転現象が生じていた。

 

ゴブリンは見付けたら駆除するのがこの世界の人間の(特に冒険者の)ルールである。冒険者を辞めたとはいえ、リューは商業ギルドには所属したままである。商人がゴブリンに襲われても迷惑なので、やはり駆除が推奨される。

 

リューも見かけてしまった以上、ゴブリンを駆除しておく事にした。と言っても、ゴブリンの体内の魔石を転移で抜き取ってしまえば終わる、リューにとっては簡単な仕事である。転移先を自分で作り出した亜空間にして直接収納してしまえば手も汚れない。

 

歩いていたゴブリン達はスイッチが切れたように突然倒れて動かなくなった。

 

この世界では、魔石は簡易的な魔道具を動かす電池のような働きもある。リューは魔力がなかったため、魔力を自分で注ぐタイプの魔道具を動かす事ができないのだが、魔石を電池のように嵌める事で使える魔道具があったので、魔石を手に入れた時は大事にとっておくのはリューの癖になっていた。そのため、結構リューの亜空間収納の中には魔石が溜まっているのだったが…

 

実は、今ではリューも、明かりをつけたり水を出したりというような簡易な生活魔法なら使えるようになっている。なぜ魔力ゼロなのに使えるのか、その原理はリュー自身がよく理解できていないのであるが。―――実は、魔力を神眼を使ってよく観察すれば、その原理を理解し、使いこなす事ができるようになるのだが―――リューがそれに気づくのにはまだ時間がかかりそうであった。

 

魔石は収納したものの、それ以外、ゴブリンは素材としての価値はほとんどない。しかし、死体を放置しておくとアンデッド化したりするので処理しておく必要がある。そこでリューはゴブリンの死体をダンジョンの中に転送しておいた。ダンジョンの中なら死体は吸収されてなくなってしまう。

 

……などと、ゴブリンに気を取られていた時である。リューの後頭部に向かって矢が飛んできた。

 

これはバットの攻撃であった。

 

リューを捕らえに王都から来た者の中で残る最後の一人、そう、Sランク冒険者のバットである。

 

街を出る前に、リューは神眼で街の中を探索してみたが、バットの魔力を探知する事ができなかったのだ。

 

王都に帰ったのかと思ったリューだったが、その後、王都の場所を確認すべく神眼の範囲を広げた所、偶然、街から随分と離れた場所に居るバットの魔力を検知したのである。

 

そして、バットがリューの事を諦め王都に帰る途中、などではなく、明確な敵意を持っている事をリューは神眼で読み取ったのだ。

 

実は、神眼で王都の場所は確認済みであったので、いつでも転移で移動できる状態であった。だが、最期にもう一つやる事が残っていたため、リューはあえて転移を使わず、街を徒歩で出たのである。

 

その、やり残した事とは、このバットを(シメ)ておく事であった。

 

敵対しないのであれば放置でよかった。だが、明確にこちらを狙っているのが分かったので、ならば、早めに片付けておいたほうがよいだろうと判断したのだ。

 

 

   *  *  *  *

 

 

バットはかなり離れた場所に居ながら、ずっとリューとリューを捕らえに来たAランクパーティの動向を観察していた。それは、バットの持つスキルの一つ【千里眼】による。

 

この千里眼というスキルは、リューの神眼の能力と一部似ている。離れた場所から、特定のターゲットを望遠鏡で覗くかのように見ることができる能力なのである。

 

望遠鏡では障害物があると見えないが、千里眼は障害物があっても見たいものを見る事ができる。

 

(鑑定や予知、読心まで含むリューの神眼に比べると得られる情報は少ないが、神眼よりも視覚的情報に特化されているため、覗きはし放題である。神眼も視覚情報に絞って集中(チューン)すれば、肉眼で見るように映像を見ることも可能であるが、そこまでの必要をリューは感じていないのであまり行ったことがない。)

 

もちろん、千里眼のようなスキルを持っている人間は極めて少数である。世界中探しても数人いるかどうかだろう。そのような能力を持っているからこそSランク冒険者になれたのである。

 

そしてバットは、リューを観察していて、リューが転移魔法を使うのを知った。これは、かなりやっかいな能力である。リューを狙ったAランクパーティ、「陽炎の烈傑」も「闇夜の風」も、ダンジョンの中に転移で飛ばされてしまっていた。

 

転移魔法が使えるとなると、リューを捕らえたとしても転移で逃げられる可能性がある。逃げられるだけならまだ良いが、自分が転移でどこかに飛ばされるのは面倒である。

 

だとしたら、やはりリューから遠く離れた場所から攻撃して仕留めてしまうのが良策であろう。雷王達がリューを不意打ちで捕えようとしたのは間違いではなかったのだ。リューに気づかれない内にリューの意識を刈り取り、魔法を封じてしまわなければ、逃げられてしまう事になるのだから。

 

そして、長距離からの遠隔攻撃こそは、バットの得意な戦法なのである。

 

バットは離れた場所に身を隠しながら、じっとチャンスを待った。そして、その瞬間がついに訪れたのだ。

 

リューが街から徒歩で出て、しかもゴブリンと遭遇しその対処に気を取られていた。

 

その隙を狙い、バットは自身の必殺の武器である弓に矢を番え、放ったのである。

 

数十キロ離れた場所から、狙ったターゲットを射抜く、それがバットの能力であったのだ。

 

 

   *  *  *  *

 

 

背後の死角から飛んで来た矢がリューを襲う。しかも、念を入れて矢には隠蔽の魔法が付与されていた。高速で死角から飛んでくる隠蔽魔法で隠された矢を肉眼で捉える事は不可能のはずだった。

 

だが、危険予知能力によってそれを察知したリューは、頭を横に傾けただけで矢を躱してしまう。

 

地面に落ちた矢は、しかし地面には刺さらず、土を抉りとりながら転がっていった。(やじり)の形状が丸く、重く柔らかい素材となっていたのだ。これは、リューを殺すのではなく、後頭部に衝撃を与えて気絶させる事を狙った矢なのであろう。

 

リューは矢が飛んできたと思われる方向を見るが、しかし遠く離れた場所に隠れているバットの姿はどこにも見えないのであった。。。

 

 

― ― ― ― ― ― ― ―

 

次回予告

 

VS 魔矢の射手

 

乞うご期待!

 

 


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