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バグⅡ  作者: 祓川雄次
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二四、山

     滝に着く湯田。

湯田  「ここが俺を導いたのか」

     滝を見る湯田。

     薫と椛島が戦った映像が脳裏に浮かぶ。

湯田  「これは」

     湯田の身体が光りだす。

湯田  「これが、今やるべき俺への啓示なのか……」

     驚愕する湯田。


二五、シンドレンコの家

     足元を青龍刀で切られ、膝を着くシェフチェンコ。

熊   「さて、そろそろ終わりにしてもいいだろう」

     ゆっくりと近づいてくる熊。

シェフ 「余裕ばかり見せているから、隙だらけなんだよ」

     ペンダントからの衝撃波を当てる。

ウイン 「シェフチェンコ、逃げろ」

     キーボードを叩くウインザー。

     切りかかる熊。

     シェフチェンコと熊の間が光る。

熊   「何だ」

     熊が後ろへと飛びのく。

     光りが消えたところに、湯田が立っている。

ウイン 「湯田さん」

熊   「何で、この方が……」

     おののくように後ずさりする熊。

湯田  「ウインザー、俺も先ほど啓示を受けてきたよ」

     湯田が熊に向けて手をかざす。

ウイン 「えっ、まさか湯田さんが最後の修正者だという事ですか」

湯田  「そのようだな」

熊   「そんな、修正者だと……じゃああの聖堂に飾られている天地創造の他にある もう一枚は何な

     んだ」

     湯田が熊に向かい衝撃波を打つ。

     すべてのソースが浮かびあがる。

ウイン 「こんなに多いのか、熊のソースは」

     驚くウインザー。

湯田  「ウインザー、早くバグを修正しろ、こいつのバグはまだ増えそうだ」

     ウインザーがキーボードを叩いていく。

熊   「何だかわからないが、俺がやられるわけにはいかないんだ」

     青龍刀を振り上げ、湯田に襲い掛かる。

     湯田がキーボードを打ちこむ。

     熊の動きが止まる。

熊   「おれに何をしたんだ」

     驚く熊。

湯田  「もうお前の動きは止めさせてもらったよ」

     シェフチェンコが立ち上がる。

シェフ 「あなたは」

湯田  「ウインザーが言ったように、最後の修正者さ」

シェフ 「俺は未だに修正者という物がわからない。本当に俺は何に巻き込まれているんだ」

     困惑するシェフチェンコ。

ウイン 「さて、最後のバグだ」

熊   「やめろ~」

     熊のソースに書かれた赤字が全て黒字に変わる。

     湯田が熊のそばへと近づいていく。

     動けずに驚きの表情を見せる熊。

熊   「なぜ、なぜあなたが」

湯田  「もうお前は終わりだ」

     湯田がキーボードを叩き、熊が動けるようになる。

     熊が飛びのき、身構えようとするが、右腕が上がらない。

熊   「あれ、俺の腕が」

     腕を見る熊。

湯田  「君たちは一番原始のままの脳みそで止まり、その上でバグが多い地区の人間 たちだったな。

     倫理や道徳といった成長もない国で生きてきた人間の慣れの果ては、武力を抑えられた時に、

     無力という事だ」

     湯田が熊を覗き見る。

熊   「何だと」

     怒りの表情を見せる。

湯田  「現代社会の衛生観念すら持ちあわせていない人間が、バグのある動物を無作為に食い漁った結

     果が、お前に現れているような気がするよ。だが奥の方にあったバグを修正すれば、ただの使

     徒でしかなかったようだな」

     湯田が無表情で言う。

熊   「人が好き勝手やることが、一番じゃないのか」

     熊が左手で襲い掛かる。

湯田  「文明のない土人の考えだな。もう俺の前から消えろ」

     湯田が、衝撃波を熊に打ち込む。

     熊が光る。

熊   「この光りは」

湯田  「殺しはしない。ただ山の奥地で一人生きるがいい」

     湯田がキーボードを打つと、熊が消える。

ウイン 「湯田さん、もしかして転送装置なしで、彼を飛ばしたのですか」

     驚くウインザー

湯田  「ああ、たぶん今頃、熊は……」


二六、山奥

     光りが発生し、熊が現れる。

熊   「ここは」

     辺りを見渡す。

     驚いた動物たちが、影から熊を見ている。

     血が体についている熊の臭いを嗅いで、肉食動物たちが集まって来る。

熊   「こんな食い物どもにやられてたまるか」

     青龍刀を振るおうとするが、腕が動かない。

熊   「まだ腕が動かないのか」

     近寄って来る肉食動物たち。

熊   「このままじゃあ、俺のほうがこいつらの食い物になっちまう。

     食物連鎖の最上位にいる人間である俺が、こんな下等動物たちに……」

     恐怖の表情を見せ、ハッとする熊。

熊   「あの男が言った武力がなくなった時に、無力と言ったのは」

     肉食動物たちが襲い掛かる。

熊   「うわー、助けてくれ」

     悲鳴を上げる熊


二七、草原

     血だらけになっている薫。

薫   「セキュリティを突破しそうにはなるんだけどな」

     苦悶の表情を浮かべる。

マリンガ「かなり手をくわえられた気がするが、お前の血が俺のセキュリティを強くしてくれているから

     な」

薫   「くそ~」

     衝撃波を当てる薫。

     ウインザーが映像で現れる。

ウイン 「良くこらえてくれた」

シュトロ「ウインザー、遅いぞ」

ウイン 「すまない」

     一気にセキュリティを破っていく。

マリンガ「この男、遠隔でもこの速さか」

     驚く。

フレイ 「まあいい、マリンガ、こっちの男だけでもやるぞ」

マリンガ「わかった」

     マリンガが薫の元を離れ、シュトロハイムのところへと動く。

フレイ 「お前が強いと言っても、これで2対1だ」

     フレイジャーの拳が、シュトロハイムの腕を切り裂く。

薫   「シュトロハイム」

     叫ぶ薫。

シュトロ「いいからこいつらに衝撃波を当て続けろ」

薫   「わかった」

     衝撃波を打つ薫。

     ウインザーがセキュリティコードを破っていく。

フレイ 「マリンガ、こいつの血を噴出させろ」

マリンガ「わかった」

     近づき様にシュトロハイムの首を切るマリンガ。

     シュトロハイムの血が噴き出る。

シュトロ「この」

     シュトロハイムも衝撃波を当てる。

ウイン 「一気にセキュリティを攻略するぞ」

     キーボードを叩くウインザー。

     光りが現れ、消えたところに湯田とシェフチェンコが現れる。

薫   「湯田さん、何でここに」

     驚く薫。

湯田  「俺も修正者の一人だったみたいだ、さあシェフチェンコ、衝撃波をあいつら に当て続けろ」

シェフ 「わかりました」

     ペンダントから衝撃波を当て続ける。

     シュトロハイムが二人の元から離れ、薫がシュトロハイムの元へと行く。

薫   「シュトロハイム、大丈夫か」

     倒れるシュトロハイムを抱える。

シュトロ「これを見てわかるだろう、大丈夫なわけがないだろう」

     血まみれで笑うシュトロハイム。

シュトロ「さあ、一気にバグまでいくぞ」

     倒れたまま衝撃波を出す。

     シェフチェンコと湯田が衝撃波を当て続ける。

     ウインザーがキーボードを打つ。

ウイン 「薫、サキユリティ突破だ、バグが出てきたぞ、一緒に修正をするぞ」

薫   「わかった」

     薫もキーボードを叩く。

     みるみる赤字が黒文字に変わっていく。

マリンガ「せめて一人だけでも倒してやる」

     素早く動きはじめ、薫とシュトロハイムに近づいてくる。

シュトロ「薫、任せたぞ」

     シュトロハイムが力を振り絞り薫の元を離れる。

フレイ 「こいつはもう虫の息だ」

     フレイジャーもシュトロハイムに襲い掛かる。

     フレイジャーの拳がシュトロハイムにあたり、吹っ飛ぶシュトロハイム。

     地面に仰向けに倒れるシュトロハイム。

     素早くその上に乗り、ナイフをシュトロハイムの胸に突き刺すマリンガ。

シュトロ「このまま終われるか」

     シュトロハイムがマリンガの身体を引き寄せ、羽交い絞めにする。

マリンガ「こいつ、まだこんな力が残っているのか」

     衝撃波を当てるシェフチェンコと湯田。

     修正を加える薫とウインザー。

フレイ 「もうやられたのか」

     体が動かなくなるフレイジャー。

ウイン 「もう君の身体は動かないよ」

フレイ 「そうか、まあ仕方がないな」

     マリンガのバグも修正し終えるウインザー。

     薫がシュトロハイムに近づき、動かなくなったマリンガをシュトロハイムか ら離す。

薫   「シュトロハイム」

     薫が叫び声をあげる。

シュトロ「薫なのか」

     眼が見えないのか、薫の声をたよりに見る。

薫   「わからないのか、大丈夫、すぐに連れて帰って手当を……」

シュトロ「もう無理だ、大丈夫俺の血縁がいないと言っても、使徒は減った」

ウイン 「シュトロハイム」

シュトロ「ウインザーか、俺なりに役目を全うした、これで、地上を救えるよな」

ウイン 「まかせておけ」

シュトロ「ああ、ウインザーなら心配はないか……」

     笑顔を見せ、静かに目を閉じるシュトロハイム。

薫   「シュトロハイム」

     抱き寄せて泣く薫。


二七、コンピュータールーム

     血まみれで倒れているシュトロハイムを囲むウインザー、薫、湯田、シェフ チェンコ。

薫   「俺が、格闘能力がないゆえに」

     涙を流し、肩を落とす薫。

ウイン 「それは仕方がないさ、しかもそれがわかっていてシュトロハイムは薫と組む ことを了承した

     んだ」

     ウインザーが肩に手をやる。

薫   「ウインザーはもっと早く参戦することはできなかったのか」

ウイン 「すまない」

     湯田が薫に近づく。

湯田  「宝田さん、仕方がないだろう。シェフチェンコのこともあったのだから」

薫   「だと言っても」

     力なく言う。

シェフ 「薫、すまない。私がもう少し何とかできていれば」

ウイン 「シェフチェンコは修正者として目覚めたと同時に戦いに巻き込まれたのだから 君のせいでは

     ない。私がもっと状況を読めていれば……」

     ウインザーも後悔の表情を浮かべる。

薫   「すまない、誰が悪いわけでもないことはわかっているんだ。けれども」

     涙が止まらない薫。

湯田  「もうその辺にしておいたほうがいい」

薫   「わかっています」

     涙を拭う薫。

薫   「これで使徒の数は6人なんだな」

     ウインザーを見る。

ウイン 「そういう事になるな」

湯田  「彼らの居場所はわからないのか」

ウイン 「まだそこまではわかりません」

湯田  「そうか、だが修正者全てが揃ったことによって、最終決戦は近そうだな」


二八、とある場所

     シリウスとアーナンダがいる。

シリウス「三人もやられたのか」

     眼を閉じたまま言う。

アーナン「はい熊、マリンガ、フレイジャーがやられました」

シリウス「じゃあ使徒の残りは6人か」

アーナン「そのようです」

シリウス「12人いるとされている使徒だが、残りの3人の居場所は、まだわからないのか」

アーナン「ジャックリーンが探していますが、未だに見つかっていません」

シリウス「そうか、早く3人を見つけないとな、目覚める前に私たちがやられてしまっ ては元も子もな

     いからな」

アーナン「私もジャックリーンの元に行って、一緒に検索をかけてみます」

シリウス「よろしく頼む」

     アーナンダが去っていく。


二九、コンピュータールーム

     気配を感じ振り返る湯田。

ウイン 「湯田さんも感じましたか」

     ウインザーが湯田に近づく。

湯田  「ああ、まだバグを持っていると気づいたばかりらしいな」

ウイン 「早めにしかけますか」

湯田  「そうしたほうがいいだろう。シェフチェンコと薫君で行ってもらおう」

ウイン 「そのほうがいいですかね」

薫   「なんだ、使徒が現れたのか」

     二人の話に入る薫。

ウイン 「ええ、シェフチェンコと二人で行ってもらえますか」

シェフ 「二人ならば私が格闘をして、薫が修正していけば平気でしょう」

     ある程度状況を把握したシェフチェンコが答える。

ウイン 「ならばお願いします」

     湯田が、キーボードを打ち込む。

湯田  「転送させるぞ」

ウイン 「ここからでも行けるのですか」

     驚くウインザー。

湯田  「ああ」

ウイン 「バグは当初から持っているでしょうから、どのくらいかわかりません。しかし、使徒としての

     能力はほとんどない相手です。薫、シェフチェンコ、お願いしますよ」

薫   「任せておけ」

シェフ 「かならず使徒を倒してきます」

     二人が光りに包まれていく。

     その光りが小さくなり、二人が消える。

ウイン 「何だか湯田さんの力が大きくなっていますね」

湯田  「からかわないでくれ、年齢的にもかなり厳しいんだから」

     笑みを浮かべて答える。

ウイン 「いえ、その能力の高さには期待していますよ」

     笑顔を見せるウインザー、頷く湯田。


三〇、刑務所

    面会の場に祖恵村が来ている。

刑務官 「入れ」

     入って来る椛島。

     椅子に座り祖恵村と向かい合う。

椛島  「あんたか祖恵村さんっていうのは」

祖恵村 「そうだ、なんで私を呼んだんだね」

椛島  「あんたの知人に湯田という人がいたはずだが」

祖恵村 「ああ、ただ湯田さんは今、行方不明になっている」

     驚く椛島。

椛島  「そうなのか、どこに行ったかは」

祖恵村 「わからない、ただ気になる場所があると言って出かけていったが……」

椛島  「そうなのか、やっぱりあの湯田という人は……」

     考え込む椛島


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