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バグⅡ  作者: 祓川雄次
1/4

一、ナレーション

ナレー 「とある者によって、地球は46億年前に創生された。

     その創生から現在までを1年と考えた時、生物の元となるたんぱく質や拡散 が生まれたのが

     39億年前、2月末。

     最初の超大陸ヌーナが誕生し、分裂をはじめたのが19億年前、8月。

     多細胞生物の誕生は12億年前、9月末。

     超大陸ロディニアが形成されたのが10億年前、10月半ば。

     11月に入る前、創始者が創造しなかったバグが発生する。

     そこから地球は創始者の思いもよらない方向へと向かうこととなった。

     創始者はバグを修正しようとするが、元々能力が足りない中で作った世界だ からか、修正を

     及ぼすことは未だにできなかった。

     それでも時は進んでいく。

     カンブリア紀に、生物の多様化が始まり、魚類が誕生するのが、5億年前、 11月末。

     そこから魚類と両生類に分かれ、超大陸ゴンドワナが分裂をはじめる。

     両生類から爬虫類が分化し、気温が下がり氷河期となり、4億年前を過ぎ1 2月へと突入

     する。

     爬虫類の多様化、超大陸パンゲアが形成されるのが3億年前、12月11日頃。

     海洋全体が酸欠となり、生物の大量絶滅が起こり、恐竜時代へと突入。哺乳類最古とされるネ

     ズミのようなアデロバシレウスが登場。

     パンゲアが分裂をはじめ、再び生物の大量絶滅が起こり、鳥類が出現するのが12月15日。

     パンゲアが分裂をし、現在の大陸の基礎ができるのが12月21日。

     巨大隕石が地球に衝突し、恐竜が滅び、哺乳類の中からリスに似た原始霊長類が誕生するのが

     12月26日。

     一年も終わりに近い、12月29日。類人猿の先祖となる狭鼻猿が登場し、12月31日の午

     前10時40分頃、類人猿から分かれた最初の猿人であるトゥーマイ猿人が登場し、ホモサピ

     エンスが午後11時40分に誕生する。

     創始者は進みすぎた時の中、自らがソースを書き換えることを断念し、望んでいなかった存在

     である人間の能力へと賭けた。

     

二、宝田家

     居間に宝田薫と村木常吉がいる。

村木  「お兄さん、本当に行くのですか」

     尋ねる村木。

薫   「ああ、俺も自分の運命がどうなっているのか確かめる必要があるからな」

     思わず百合の遺影を見る。

村木  「まだ樺島の裁判すら始まっていないのですよ」

薫   「裁判を見る必要はないだろう」

村木  「何でですか」

薫   「誰が信じると言うんだ、修正者と使徒の闘いによって百合を殺害しなきゃならなかったなん

     て」

     強く拳を握る。

村木  「確かにそうかもしれませんね、私はお兄さんと樺島が闘った場にいたのでわかりますけど」

     最後は声が小さくなる。

薫   「それ以外の人たちは何もわかるはずがない。俺だって未だに樺島の存在だけでなく、ウインザ

     ーの存在さえも理解していないのだから」

村木  「だからウインザーに会いに行くのですか」

薫   「そうだ」

村木  「戦わなければならない運命なんですかね」

薫   「そうだろうな」

     仏壇へと向かう薫。両親、百合の遺影が飾られている。

     その前に浮遊石が置かれている。

薫   「百合、行ってくるよ」

     遺影に話しかけ、手を合わせてから、浮遊石を手にする。

村木  「まだ戦わなきゃならないんですね」

薫   「ああ」

     村木に対して鍵を投げる薫。

     受け取る村木。

村木  「この鍵は」

薫   「この家の鍵だ。悪いがたまに来て、線香でもあげてくれないか」

     微笑む薫。

村木  「それはいいですけど」

薫   「しばらくして俺が帰ってこなかったら、この家を相続してくれ」

村木  「そんな、絶対に帰ってきてくださいよ」

     強く言う。

薫   「どうなるかはわからないからな」

村木  「帰ってきてくれると約束してくれなければ鍵は預かれません」

     鍵を握る手を薫に向ける。

薫   「……」

     思わず笑みを浮かべる薫。

薫   「わかった、確約はできないが、ちゃんと帰ってくるよ」

村木  「確約じゃなきゃだめですよ」

薫   「強引だな。兎に角頼むよ」

村木  「わかりました」

     軽く首を縦に振る村木。

     

三、コンピュータールーム

     ウインザーとシュトロハイムがいる。

シュト 「ウインザー、薫がくるっていうのは」

ウイン 「そろそろくるんじゃないか」

シュト 「どうやってこの場所に」

ウイン 「彼には転送で来てもらう」

シュト 「その装置はどこに」

     疑問を投げかける。

ウイン 「もう頼んであるよ」

     笑顔で答える。

シュト 「ちゃんと来ることができるのか」

ウイン 「もちろん」

シュト 「もしも使徒の妨害にあって、混線して他に行くことになったら」

     不安そうなシュトロハイム

ウイン 「大丈夫だ、とある人に頼んである」

     確信した表情を見せる。


四、警察署

     車で駐車場に入ってくる薫。

     署内へと入っていく。

     入ってきた薫に気が付き、近づく峰。

峰   「宝田さん、どうしたのですか」

     不思議そうに問いかける。

薫   「いえ、ちょっと用事がありまして」

峰   「樺島の件ですか」

薫   「いえ違います。こちらに祖恵村さんという方がいらっしゃると聞いてきたのです」

峰   「祖恵村ですか、今呼んできますから待っていてください」

薫   「ありがとうございます」

     薫を置いて歩きだす峰。


     峰が祖恵村と共に来る。

峰   「宝田さん、祖恵村をお連れしましたよ」 

     隣にいる祖恵村を紹介する峰。

薫   「ありがとうございます。祖恵村さんですか」

祖恵村 「祖恵村です。この度は妹さんの件で、警察が力になれなくて申し訳ないことです」

     頭を下げる祖恵村。手を振る薫。

薫   「いえ、峰さんたちは色々と動いてくれましたよ」

祖恵村 「それでも百合さんを救うことはできませんでしたからね」

薫   「まあ」

     一瞬暗い表情をして、戻る薫。

薫   「それでウインザーから話は聞いていますか」

祖恵村 「ええ、湯田さんと共に準備をしていますよ」

薫   「そうでしたか、それで私はどこへ行けば」

祖恵村 「これからご案内しますよ」

峰   「えっ祖恵村さん、今日は早退するのですか」

     驚くように言う。

祖恵村 「ああ上に了解は取れているからね。では宝田さん、行きましょう」

薫   「はい、峰さん、ありがとうございました」

峰   「とんでもない。何か困ることがあったらいつでも連絡してくださいね」

薫   「ありがとうございます、では祖恵村さん行きましょう」

祖恵村 「はい」

     峰に背を向け歩き出す薫。

    

五、道

     車を運転する薫。助手席に乗る祖恵村。

祖恵村 「もう少し先に行ったあたりですね」

     先を指さしながら言う。

薫   「随分と山のほうに入ってきましたね」

     辺りを見渡す薫。

祖恵村 「こっちのほうが宝田さんを転送しやすい条件だということになりましてね」

薫   「条件ですか」

     不思議そうに言う。

祖恵村 「ええ、この山の中に磁場の強いところがありまして、そこで行うほうがいいとウインザーが言っていたものですから」

薫   「一体そんなことがわかるウインザーは何者なんですかね」

     首をかしげて言う。

祖恵村 「彼は世界一のコンピューター会社の人間ですよ」

薫   「そうなのですか」

祖恵村 「彼の脳みそは私たちが及ぶようなものではありませんよ」

薫   「そんなにですか」

祖恵村 「ええ、サーバーを何個も足したような感じです」

薫   「サーバーを何個も……」

     想像がつかない薫。

祖恵村 「それに修正者としての能力を足しているのですから、通常の人間にはできない事ができるので

     しょう」

薫   「確かに、今回非現実的な事ばかりが私の周りでもおこりましたからね」

祖恵村 「樺島の事ですか」

薫   「ええ」

     少し表情を歪める。

祖恵村 「樺島はもう使徒としての能力が失われたと聞きましたが」

薫   「はい、ウインザーの話ですと、ソースを正常に書き換えられた使徒は、通常の人間と同じだと

     言っていました」

祖恵村 「私は使徒と出会っていないので、どれほどの物かわからないのですが、宝田さんの転送を手伝

     って欲しいと言われたウインザーの能力はわかったつもりです」

     納得するように言う。

薫   「それにしてもそんな人間が良くいたものですね」

祖恵村 「樺島にしても、ウインザーにしても、それと宝田さんも、バグによる突然変異なのでしょう

     ね」

薫   「バグによってですか」

     思わず祖恵村を見る。

祖恵村 「ええ、ウインザーの話ですと人間というか生物の存在自体がバグによって誕生したという話で

     すよね。

     だがその中で特殊な能力を持つ者たちは、更に突然変異と呼べるのでしょうね。

     世界で稀に見る天才たちも、同じくそうなのでしょう」

薫   「ちぇ、今回の修正者とかじゃなく、天才として能力が欲しかったですよ」

     呆れた顔を見せる。

祖恵村 「まあ私もそれなら良かったと思っています。ただ私には修正者のような能力はありませんが

     ね」


五、山中

     山道を歩いていく薫と祖恵村。

薫   「結構奥のほうですね」

     来た道を振り返って言う薫。

祖恵村 「ええ、人にこられては困りますからね」

     少し疲れた表情で言う。

薫   「じゃあ準備には大変な思いをされたんじゃないですか」

祖恵村 「まあそれなりに大変でしたけど、ウインザーが楽にしてくれましたよ」

薫   「楽にって、どういう事ですか」

祖恵村 「私たちとチャットで繋ぎ、荷物を軽くしてくれました」

薫   「軽くって……」

     自らの荷物を見る薫。

祖恵村 「物質のソースをいじって、軽くするという物のようですか、その能力は修正者だからだと思い

     ます」

薫   「そんな事までできるのか」

     しばらく歩いていくと、網で覆われた場所へとつく。

薫   「この網は」

     網を見渡す薫。

祖恵村 「この網もウインザーですよ」

     まくりあげて入っていく薫と祖恵村。

     12台のパソコンが円形に置かれている。

     真ん中に湯田がいる。

祖恵村 「湯田さん」

     振り返る湯田。

湯田  「おお来たか」

     近づいてくる湯田。

薫   「湯田さん、よろしくお願いします」

     頭を下げる薫。

湯田  「ああ、任せておきなさい」

     近寄って握手を交わす二人。

薫   「それにしてもウインザーと湯田さんが繋がっていたなんて思わなかったですよ」

     一度荷物を下ろす薫。

湯田  「その浮遊石が混線して私のパソコンの内部に来たという話をしたでしょう。

     そこから私の位置を辿ったらしい」

薫   「でもなぜウインザーは湯田さんと祖恵村さんに今回の作業をお願いしたのです

     か」

     不思議そうな表情を見せる。

湯田  「私が色々なシステムを作っている中でウインザーの独自システムに入り込み、混線したそこか

     ら浮遊石を拾った。

     使徒が混線させた回線は一般回線に紛れ込むことはまずないらしく、私のパソコンが普通のパ

     ソコンと異なっていたというので、白羽の矢がたったらしい」

     湯田が言っている意味が薫にはわからないのか、首を傾げた。

薫   「湯田さんのパソコンは普通じゃなかったのですか」

湯田  「私のシステムが、ウインザーや使徒の作った回線に紛れ込むのは、やはり普通ではないようだ

     な」

薫   「何だかわからないが、湯田さんたちは普通の人じゃないですね」

     薫を直視して湯田が言う。

湯田  「私も祖恵村も普通の人間だよ、突然変異の天才や君たちのような能力者ではないよ」

薫   「そんな」

祖恵村 「凡人ですよ」

     笑顔を返す祖恵村と湯田。


     三人が円の中心にいる。

湯田  「それでは説明しよう」

     湯田が真剣な表情を見せる。

祖恵村 「まず円形になっているパソコンを起動させて、その中心部に宝田さんに入ってもらう」

     祖恵村が円形のパソコンを指さし、最後に自分たちのいる位置を指さす。

湯田  「そして、ウインザーの用意した回線により、転送を試みるという事になる」

薫   「これって平気なんですか」

     恐々言う薫。

湯田  「普通の物質ならば転送している途中で細胞が壊れてしまうだろう」

薫   「壊れるって、ちょっと怖いなぁ」

     身震いをする仕草。

祖恵村 「大丈夫、あなたはそんなことはないでしょう」

薫   「それって、実験なんかしているんですか」

     猜疑の目を向ける。

湯田  「やってはいないが、ウインザーの力は私たちが保障しよう」

     湯田が自らの事のように胸を張って言う

祖恵村 「彼の脳みそはやっぱり未知だからね」

薫   「そんな……」

     一台のパソコンの電源が入る。

薫   「勝手にパソコンが……」

     薫が驚く。

湯田  「ウインザーが来たようだな」

     画面にウインザーが映る。

ウイン 「薫、来たようだな」

     笑顔で話しかける。

薫   「なんでわかるんだ」

     ビックリする薫。

ウイン 「それは私の回線が薫の存在をキャッチしたからね」

薫   「まるで監視されているみたいだな、何だか悪い事はできないな」

     バツが悪そうな表情を見せる。

湯田  「するつもりなのかね」

     茶化すように言う。

薫   「そんなことはないですが……」

ウイン 「それでは早速で悪いのですが、行いましょう」

     パソコンに順々に電源が入り、光っていく。

薫   「勝手にパソコンが……」

     薫が驚く。

祖恵村 「さあ、準備は万端だ」

湯田  「人類を救うために、頑張ってきてくれ」

     薫の肩を叩く湯田。

薫   「わかりました。何だか自分が人類のためにやるなんて事、未だに信じられないんだけどなぁ」

祖恵村 「バグを修正するために選ばれた修正者なんだから、しっかりやってきてくださいよ」

薫   「祖恵村さん、突然変異って言っていましたよね。選ばれたのか何なのか良くわかりませんが、

     とりあえず行ってみます」

     湯田と祖恵村がパソコンの外側へと出る。

湯田  「ウインザー、こっちは準備できたぞ」

     腕を上げ、合図をする。

ウイン 「わかりました。ありがとうございます」

     緊張をした面持ちで、浮遊石を胸の前で持つ薫。

ウイン 「薫、それでははじめるよ」

薫   「ああ……」」

     緊張した表情を見せる。

ウイン 「怖がる必要はないよ、一瞬だから」

     軽い言葉を出す。

薫   「本当に大丈夫なんだろうな」

ウイン 「ええ、しっかりと迎え入れますよ」

     すべてのパソコンが強く光りはじめる。

湯田  「いよいよか」

祖恵村 「そうですね」

     すべてのパソコンからの光りが、薫を包んでいく。

     その光りが大きくなる。

薫   「マジか……」

     光りが徐々にしぼみ、薫の姿がそれと共に小さくなっていく。

     集約された光りが、激しく光り、薫と共に消えた。

湯田  「行ったか」

祖恵村 「そうみたいですね」

     中心部を見て言う。

     パソコンの光りも消える。

     

六、とある場所

     シリウスの後ろにアーナンダが控えている。

シリウス「アーナンダ、使徒は残り何人だ」

アーナン「私とシリウス様含めて、残り9人です」

     背中に答える。

シリウス「そうか、随分と減ったものだな」

     表情を変えずに言う。

アーナン「修正者は血縁がいれば能力を継承できますからね」

シリウス「圧倒的にこちらのほうが条件は不利だという事か」

アーナン「そうですね、しかしながら、その血縁さえ根絶やしにしてしまえば、こちらのものです」

シリウス「それができた例はあるのか」

アーナン「はい、一人だけですが、修正者は消すことができました」

シリウス「そうか」

アーナン「他にも、もう血縁がいないという修正者もいます」

シリウス「じゃあその修正者を倒せば、一人修正者を消すことができるということか」

アーナン「そうです」

     アーナンダが頷く。


七、コンピュータールーム

     転送装置の前にいるウインザーとシュトロハイム。

シュトロ「そろそろ着そうですかね」

ウイン 「ああ、先ほど転送作業は終えたからな」

     転送装置が光りだす。

     光りが大きくなり、消える。

     そこに薫が現れる。

薫   「ふー、生きていたか」

     自らの身体を確認する薫。

ウイン 「よく来たね、薫」

     装置に近づくウインザーとシュトロハイム。

薫   「よく一瞬でこっちにくるものだな。

     改めて、はじめまして宝田薫です」

     装置から出て握手を求める。ウインザーが手を取る。

ウイン 「ウインザーです、こちらはシュトロハイムです」

シュトロ「ようこそ、修正者のコンピュータールームへ」

     シュトロハイムがガラスへと薫を招く。

     階下に大人数がパソコンを作業している姿が見える。

薫   「ここは」

ウイン 「私が作ったコンピュータールームだ、今下で仕事をしている人たちは修正者 ではなく私の部

     下だがね」

     ウインザーが薫を見て言う。

薫   「そういえば祖恵村さんが、世界一のコンピューター会社をやっていると言っ ていたけれど」

     薫が階下から視線を移す。

シュトロ「そう下の者たちは修正者としての能力はないが、世界のバグの存在を知っている人物たちだ」

薫   「そうだったのですね。それでウインザーはいつ使徒とか修正者の存在を知ったのですか」

ウイン 「4年前かな、ふと会社のコンピューターの中から、異世界の通信網に入り込 んでしまい、そ

     れで知ったんだ」

薫   「コンピューター会社ならではですね」

ウイン 「修正者としての能力もあったからだろう。それで使徒が現れる前にこのコンピュータールーム

     を作り、備えていたわけだ」

シュトロ「使徒はウインザーが言っていたように、今年になってから世界各地に現れは じめた」

     変わるようにシュトロハイムが続く。

薫   「それで戦いの状況は今どうなっているのですか」

     薫が急くように聞く。

ウイン 「使徒の数はちょっと前にわかったのだが、全部で12名。

     それに対して私たち修正者は7名だ。

     そのうち使徒は3人倒すことができたのであと9名」

ウインザーが力強く言う。

シュトロ「まあ倒すと言っても、椛島をやった時のようにバグを修正して通常の人間に 戻すという事だ

     がな」

薫   「ただ使徒の能力を奪ってしまえば、いいという事なのですね」

     納得するように頷く。

ウイン 「逆に修正者の能力は、血縁に継がれていくので、使徒たちは私たちを殺そう としてやってき

     ます。もちろん血縁もです」

     力を込めて言う。

シュトロ「そして椛島が言っていたように、使徒たちは私たち修正者の血を浴びること によって、私た

     ちの攻撃に対するセキュリティが強くなっていくのです」

薫   「だから使徒は修正者の血を浴びた上で、殺すという事をするのか。

     でも使徒が3人減って9人で、こっちは数が減らないわけだから、かなり有利になるんだな」

     薫が考えるように言う。

ウイン 「いや1人は血縁全てが殺された。それに薫にはもう血縁者はいない」

薫   「そうか、でも血縁という意味では、かなり多い人もいるんじゃないか」

シュトロ「説明不足で申し訳ない、血縁と言っても、親などの等身が上には移らないことがわかった。だ

     から同じ等身にいる兄弟や子供と言ったところまでだからな」

薫   「何だか複雑だな」

     頭を捻る。

ウイン 「さて、薫に来てもらったのは残りの使徒を倒すためだが、私も全ての修正者 にかかわること

     ができないんだ。

     それでバグ修正のコードを覚えてもらい、使徒と戦う時にソースを書き換えることができるよ

     うになってもらいたいんだ」

薫   「勉強もしなきゃならないってことか」

     頭をかく薫。

シュトロ「大丈夫、そんなに大変じゃないさ」

     笑いながら言う。

薫   「そんな、プログラムなんかをやった事がない人間からしたら大変な話さ」

ウイン 「大丈夫、修正者としての能力もあるからすぐになれるさ」

     軽く肩を叩く。

薫   「簡単に言ってくれるぜ」



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