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微笑みの遺言  作者: 鳳龍麒亀
第六章
6/9

「ありがとう」の記憶

 「……滝沢さんが、最後に言ったんです」  新人介護士の西村海斗は、夕暮れの庭を見つめながら呟いた。


 「『ありがとう』って、そう言ってくれたんです」


 誰に、とは聞けなかった。聞く前に、彼は静かに息を引き取ったから。


 海斗はそっとポケットから、小さく折りたたまれた一枚のメモを取り出した。


 『かいとくんへ ありがとう きみはわたしの たからもの』

海斗はそれを誰にも見せていなかった。


(これを出せば、僕が“選ばれる”かもしれない……でも)

彼は知っていた。これは“本当のありがとう”だった。


嘘にまみれたこの戦場に、それを出すことが、正しいとは思えなかった。


彼は、封筒を火にくべた。


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