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証拠と嘘と告発と
「……ふざけるなよ」
遺言の写しを手に、滝沢喜三郎の息子・晃司は唇を噛みしめた。「親父が……三億を、他人に?」
父からの連絡も愛情もろくに受けなかった自分には、遺産を受け取る資格がなかったのか。
(いや、そんなの……許せるか)
晃司は、密かに施設内の人間関係と行動記録を洗い始める。
そしてある日――
「これ……改ざんされてるな」 彼は職員の日誌に、不自然な修正跡を発見した。
「ハメてやる。あの金は、俺のもんだ」
復讐にも似た欲望が、彼の理性を飲み込んでいった。