茜雨に濡れる
仕事も、終わり、帰宅時間になった。
外は、灼熱のような、赤色の空になっており、虫の声も少しずつ音を大きくし始めてくる。
なんだか、この景色はいつも見ているのに、妙に懐かしさを感じてしまう。
地元ではないけど、そのような感じ
ふんわりとした雰囲気
温かくて、少し寂しくて
夕日を背中に浴び、山道を歩いて降りていく。
中学生だろうか、みんなで並んで家に帰っている。
その光景は、微笑ましく、少し寂しく、懐かしく
あのころに、戻りたいななんて考えてしまって。
子供の時は、早く大人になりたいななんて考えたりしてたけど、今では逆になんで混んンい早くに大人になっちゃったんだろうとか、あの頃に戻りたいとか、常日頃から考えている。
今の生活に別に不満があるとか、生きていくのがつらいとかはないけど
でもやっぱり、あの頃の純粋無垢な心には、もう二度と戻れないんだなと考えると、悲しい
背中の方から、少し冷たく、湿った風が強く吹いた。
暁色の空が、雲に覆われ暗くなってきている。
天気予報で今日は、夕方から雨だと予報されていた。
このままだ雨に降られてしまうかもしれない
生憎今日は、傘を持ってきてないない。
なんて言っていたら、雨粒が頬にぶつかり濡れる。
予報よりも少し早く、雨が降り出してきた。
風も冷たく吹きだし、急いでコンビニに入る。
幸い、雨に濡れたのは、髪の毛とスカートだけで、多少ブラウスも濡れたけどまぁすぐに乾く
先ほどまでの暖かさはもうなく、傘を持って外に出るが、服が濡れているのもあってかなり寒い
もうこの季節には、おでんもホッカイロもない
駅までは、まだ少し距離もあるし
追加でホットコーヒーも買った。
傘を差し、歩き始める。
傘をさす手の指先がとても冷たい。
五月も下旬に入ろうというのに、この寒さは耐えかねる。
半袖だし、手袋も持ってないし
傘にぶつかる雨は、とても激しい音をだし、環境音をすべて消し去る。
傘を突き破るかのような雨音は、次第に弱まることを願うばかりだ
私の、願いがお天道様に届いたのか、雨は弱まり
山の方から先ほどより茜色になった、夕焼けが顔をのぞかせる。
ちょうど、私も駅に着いた。
もう少し早めに、弱まってほしかったけど
濡れたことなども、忘れてしまうほどの綺麗な夕焼けが見られたので、もう気にしないでおこう
茜色のそらに、土砂降りと天気雨に濡れた私
茜雨に濡れる