表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/30

6.後日談

 2日後、私たちの予定は崩れることなく、お泊まりに来ていた。スイーツはもちろんおいしかったし、ホテルの近辺のお店も楽しかった。限定アイスも食べたかったが、ちょうど売り切れてしまったので絶対リベンジしようと詩保と誓う。2日前のことはどうであれ、楽しい思い出を作ることができた。


 それから約2週間後、休日のショッピング帰りで、私は比較的交通量の少ない歩道を通っていた。


 あの事件はだいぶ風化してきたが、真相は明らかになった。学校中に広まったことだ。


 まず、男子生徒と女の関係。2人は付き合っていた。だけど、男の方が浮気性で、それを指摘したところ、「いつから本命だと思ってたの」と罵られたことがきっかけだったそうだ。今更、女に言われた「そうなんでしょ」の「そう」の部分を理解した。浮気相手の一人だと思われてたらしい。


 男子生徒は死ななかった。肩の傷も深い訳ではなく、2、3週間である程度回復するらしい。ただ、彼自身は今回のことを反省し自主退学した。そして、私はその親から感謝された。複雑な気分で、とにかく気まずかった。


 そして、私を助けてくれた金髪の男の人。周りにいた生徒も、「突然走ってやってきた」と言うから、結局どこの誰なのか分からない。しかも、なんで中に入ったのか。警察にもお願いして、この前新聞にこのエピソードを載せて、お礼が言いたいと伝えたが、音沙汰なし。新聞を読まないのかもしれない。


 そのせいか、最近、金髪に敏感になってしまった。今も、前からやってくる男3人組の真ん中が金髪で、もしかしたら助けてくれた人かもしれない、とすれ違う金髪みんなにするように心の中でお礼を言う。3人組は、そんなことも知らず大声で喋っている。


「ツキさぁ、この前新聞出てたよ」


「え何で」


「ほら、この前の高校の事件、」


「ああ、ツキがバイトあるから警察来る前に外でちゃったやつだ」


 あれ、もしかして。


「なんか作文コーナーみたいなとこで、お礼が言いたいって書いてあった」


「ふーん」


「名乗り出てやれよー」


「そうだぞー」


 やっぱり、もしかして、この真ん中の人が、助けてくれた・・・?


 真ん中の人を見てみると、ばちっと目が合ったが、思い違いだと怖いのですぐ逸らしてしまった。でも、あの人の基本の時間、2hだった。2時間。早すぎる。得を積んでないとなかなかならない。


 相手はこっちを見たままのようだけど、そのまますれ違う。


「マイナス、、2日、??」


 私は足を止めた。思い違いでもいい、もしかしたら、今聞いたことが、私が、私だけが、理解できるものだとしたら。


 私が振り返ると、真ん中の男の人だけが、こっちを向いて立ち止まっていた。


「2日前って、どんなことしてんの」


 その金髪の人は、私を、私の少し上を見ていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ