【短編】犬を飼いたい男の子と告白されたい女の子 ver.ボイコネライブ大賞応募
「【短編】犬を飼いたい男の子と告白されたい女の子」の「ボイコネライブ大賞」応募バージョンです。
ゲームっぽい動画も作りました。
https://tapnovel.com/stories/8553
掛川:(俺、掛川友孝は、今日、犬を譲ってもらう予定だ。待ち合わせは、近所の公園。ネットで知り合ったブリーダーさんが、可愛いトイプードルをタダで譲ってくれるってことだった。俺は喜び勇んで公園に行って驚いた)
掛川:(そこにいたのは、クラスメイトの佐藤さんだった)
掛川:佐藤さんだったの!?
佐藤:誰か分からないで来たの!?
掛川:(そこにいたのは、クラスメイトの佐藤愛さん。クラスでも割と人気がある女子だった。友達が多く、笑顔が可愛いと評判だ。)
掛川:(なぜ、佐藤さんが!? もしかして、ブリーダーというのがクラスメイトの佐藤さん!? こんな偶然ってあるのだろうか。特に取柄もなく、特徴もない自分だから犬でも飼ってキャラ付けしていきたい。もらったトイプードルをしっかり育てて、佐藤さんの好印象をもぎ取りたいところだ。)
佐藤:(教室の机の中に呼び出しの手紙が入っていた。)
『今日、学校そばの公園に18時に来てください。伝えたい想いがあります』
佐藤:(完全にラブレターだった。告白されるに違いない。ただ、残念ながら、手紙には名前がない。私の好きな人は入学当初から決まっている。同じクラスの掛川くん。)
佐藤:(友達の友達経由の情報では、彼は友達が多くて笑顔が可愛い女の子が好きらしい。
私は、あまり社交的な方じゃなかったけれど、友達を増やし、笑顔を絶やさないようにして、静かにアピールしてきた。)
佐藤:(私と彼の相性は、とてもいいはず。)
佐藤:(だって、世の中には、リズムの良い言葉の並びがあるもの。例えば、俳句の「5・7・5」や短歌の「5・7・5・7・7」などは有名よね。それ以外にも、特に名前はないけれど「4・4・5」もリズムがいいわ。例えば「墾田永年私財法」。
理由は分からないけれど、ちょっと言いたくなる言葉の理由はリズムだった。)
佐藤:(「生麦・生米・生卵」とても言いやすい。「天皇皇后両陛下」とてもいいリズム。「滅びのバーストストリーム」これも「4・4・5」。)
佐藤:(そこにきて、「掛川友孝・佐藤愛」これも「4・4・5」。私の名前「佐藤愛」は掛川くんの名前「掛川友孝」ととても相性が良かった。こんなに言いやすい言葉に悪い相性などあるはずがない!)
佐藤:(よく「感性が独特」と言われる私だから、『THE・普通』の掛川くんはとても魅力的。
何としても掛川くんと付き合いたい!)
佐藤:(今回、誰からの告白かは分からないけれど、掛川くんの可能性がある以上、私は指定の場所に行くしかなかった。夕方の公園。年末だったら18時といえば外は真っ暗だった。ただ、3月にもなるとまだ比較的まだ明るい。)
佐藤:(ただ、空気は冷たくて、何となくキリっとしている。少し期待しているせいか、私の頬は熱い。さあ、手紙の主は誰なのかしら?)
佐藤:(そこに現れた人物を見て思った。私は勝負に勝った! そこに現れたのは、掛川くんだったからだ! 彼は、包みを持って現れた。告白のためのプレゼントってこと!? もう、完璧だった。私の期待は最高潮に高まっている)
ここから『犬をもらいに来た男』と『告白されに来た女』のすれ違いが始まる
掛川:その……俺、(犬飼うの)初めてだから……今後も色々相談させてもらえると嬉しいんだけど。
佐藤:(掛川くんって一方的に俺についてこい的な「俺様キャラ」じゃなくて、話し合って付き合っていけるタイプなのね、素敵。むしろ私にしてみれば好印象♪)
掛川:(ちょっーーーと待て! 俺! いきなり『さっさと犬ください』はクラスメイトに対して失礼すぎる。まずは、当たり障りのない天気の話からだ! 公園を見渡しながら言った)
掛川:その……(3月になってこの時間でも)だいぶ明るくなったな。
佐藤:(ちょーーーっと待って! いま私、褒められた!? いきなり掛川くんに褒められた!? 確かに、掛川くんは、友達が多くて明るくて、よく笑う女の子が好みらしい。高校入学当初、暗い印象だった私は笑顔も心掛けるようにした。そして、とにかく友達を増やした。男女分け隔てなく友達を増やしたわ! それがいま実を結んだのね!)
佐藤:ありがとう。嬉しいわ。
掛川:なんで!?
掛川:(なんだ!? なんだなんだ!? 今のリアクション!? 天気の話をしたら、お礼を言われたし、喜ばれた!? 佐藤さんはちょっと変わった子だと聞いたことがあったけれど、こんなところにもその片鱗が!?)
佐藤:(待ちに待った掛川くんからの告白! だけど、気になることが一つある。ただ、なぜこのタイミングなの!? 今はまだ3月。4月にクラス替えがある訳でもない。いまのタイミングで告白してくれる理由が分からない)
佐藤:(…まあ、分からないことは聞けばいいわ。コミュニケーションを図ることで、お互いの理解を深め、益々好きになっていきたい)
佐藤:その……なんでタイミング?
掛川:(ああ、犬を飼うタイミング!)
掛川:やっぱ、可愛いからかな!
佐藤:(可愛いって言われた! これまで頑張ってきた積み重ねが実を結んでいる!
なぜ、今のタイミングで告白なのかは聞こうと思っていたけれど、完全に頭から飛んだ!)
掛川:ちっこいところも好きだな!
佐藤:(ああ、天にも昇る気持ち! 背が低くてよかった! これ以上成長しないように、今後はもうご飯食べない!)
掛川:あと、目が愛らしい。目の愛らしさが俺の心を離さない。
佐藤:(意外にめちゃくちゃ好かれてた!)
掛川:(犬の)写真で見ただけで心を射抜かれたね!
佐藤:(私の写真持ってるの!? 相当好きになってくれてるのね!意外だった。掛川くんは、密かに私の写真を見ているくらい私のことが好きだった!)
佐藤:そんなに好きなの?
掛川:そりゃあ、好きだよ。普通、誰でも好きだろ、当然だよ
佐藤:(すごく評価が高い! 誰でも私を好きになるほど人気になった覚えはない。掛川くんはちょっと思い込みが激しいのかもしれない。でも、そんなに盲目的に好きになってくれるのは悪い気はしない)
掛川:逆に、嫌いって人がいたら人格疑うよ。
佐藤:そこまで!?
佐藤:(でも、ちょっと待って。私は甘えん坊だったわ! きっと実際に付き合い始めたら、ベタベタ甘えるに違いない。これまでの笑顔のキラキラしたイメージを作ってきたから若干クールな感じと思われているかもしれない。やたらベタベタしてきてウザいとか思われないかしら!? ここはベタベタしても大丈夫か事前に聞いておきたい)
佐藤:ずっと一緒だと邪魔じゃないかな?
掛川:むしろ嬉しい!ずっと一緒にいたい!迎えるからには死ぬまで面倒みるよ。
佐藤:プロポーズ!?
佐藤:(いいのかな!? 付き合う前からプロポーズまでされちゃって。しかも、ベタベタしてもいいって言われたわ)
掛川:(犬を飼ったらやってみたいことがあった。俺がソファに寝転んでいたら、犬がかけてきて、俺の顔をペロペロ舐めるんだ。アニメとかで見て憧れていた)
掛川:むしろ、甘えてきてほしいかな。顔とか舐められるの憧れるー!
佐藤:舐めるの!? 顔を!?
掛川:あれ?変かな!?
佐藤:んーん、全然変じゃないわ(汗)
佐藤:(なんでも受け入れよう。そんな過激なスキンシップが必要ということなのね。掛川くんと付き合えるなら、舐めるわ顔)
掛川:連れて歩いてる時、公園とかで友達に会ったら、自慢できるよな
佐藤:そこまでのもんじゃないよぉ(照れ)
佐藤:(めちゃくちゃ褒めてくれるけど、そこまでかわいい訳じゃない。頑張ってきれい目にはしているけれど、それでやっと普通って感じじゃないかな?そんなに自分に自信はないよぉ)
掛川:なに言ってんだよ! めちゃくちゃ可愛いだろ!
佐藤:……自信を持つようにするわ
掛川:ちゃんと首輪とリード付けて朝晩公園を散歩させるから
佐藤:まさかのプレイの話!?
佐藤:(掛川くんは、思ったよりもかなりハードな性癖があるみたいね。告白の時にこんな話する!? 私、耐えられるかしら!?)
佐藤:(それにしても、人間用の首輪とリードなんてどこに売っているのかしら?)
佐藤:(人間用の首輪なんて)買うの難しくないかしら?
掛川:飼うの? 何の問題もないよ。家族も楽しみにしてるから
佐藤:家族も楽しみにしてるの!?
掛川:うん、庭に迎えるつもり
佐藤:庭!? 庭なの!? まさかの外!?
掛川:まあ、庭を考えてたけど……室内の方がいいのかな?
佐藤:もちろん! 室内の方がいいです!
掛川:そうなのか…じゃあ、室内で……
佐藤:(あそびに行っても、庭にしか迎えてもらえないところだった。ほら、各家庭それぞれの常識ってものがあるから……ここら辺は話し合いで何とかなるはずよ)
掛川:(そうか、小型犬は室内で飼うのが普通なんだ。庭に犬小屋を準備しようと思っていたけど、プラン変更が必要そうだな。でも、事前に聞いてみてよかった。こういったことを一つ一つ確認して、間違いないと判断したらトイプードルをくれるに違いない。できるだけいい飼い主と思われるようにアピールしていきたい!)
佐藤:(付き合うの初めてって言ってたから、今まで誰とも付き合ったことがないのかな。
だから、ちょっと過激な感じなのかな? 付き合う前から過激なプレイの話をしてくるなんて……)
佐藤:(掛川くん、かなり飛ばしているみたいだけど、不安とか、心配事とかないのかしら?)
佐藤:その……心配事とかないのかな?
掛川:すぐに子供ができちゃわないかなと思って
佐藤:早速、子づくりの心配!?
掛川:公園とかで自由にさせていたら、いつの間にか妊娠してたりってよく聞くだろ?
佐藤:(私って)そんな貞操観念が低そうに見えるの!?
掛川:え、普通そんなもんじゃないの!?
佐藤:そんな訳ないでしょ! もうちょっと相手は選ぶわよ!
掛川:そうなんだ。相手は選ぶのか。知らなかった。
佐藤:(大変だわ。私、相当ビッチだと思われている!? どこでこうなったのかしら!? 友達を作りすぎたとか!? 男女分け隔てなく友達を増やしたせいで、変な誤解が生まれているみたい! 女子だけ友達になっておけばよかったのかしら…!?)
掛川:(去勢しないと公園の散歩のときとかに知らない間に交尾して雑種が生まれたりするって聞いたのに……犬にも「貞操観念」があるんだなぁ。やっぱりブリーダーは知識がひと味違う。そうだ、ブリーダーの人にも共感してもらえるように、子供の話もしよう!)
掛川:まあでも、子供は6匹くらいほしいかな
佐藤:子だくさん!しかも、『匹』って!
佐藤:(大変、掛川くんは、子供を大切にしないタイプなの!? 実の子供を1匹、2匹と数えるなんて! 子供は大事にしてもらえないかもしれない。私が大事に育てなければ! 強くなるのよ!私!!)
掛川:ねえ佐藤さん、そろそろ…(犬を譲ってよ)我慢できないよ
佐藤:ちょっと待って、どんなふうに付き合うの?
掛川:「付き合う」? 「飼う」だろ
佐藤:(やっぱり、かなりハードな感じ!? お母さん、私、今日から掛川くんに飼われます!!)
掛川:室内の方がいいってことだったから、サークルっていうの? 檻の中で飼おうかな
佐藤:檻に入れられちゃうの!?
掛川:だって、家中歩き回られたら掃除が大変だよ
佐藤:まさかの潔癖症!?
掛川:潔癖!?そこまでかなぁ?外も裸足なわけだから、家の中、泥だらけになっちゃうからな
佐藤:靴! ちゃんと靴履くから!
掛川:え!? 靴履くの!? 言ってみれば裸でしょ? 靴だけ履いてるのって、なんか変じゃない?
佐藤:え!? 服ないの!? 服も着させて!
掛川:服か……考えてなかった。意外と出費が多いな
佐藤:(家に招くつもりなのに服は無しの予定だったの!?)
掛川:じゃあ、服も準備するよ
佐藤:ぜひ、お願いします!!
掛川:(そっか、小型犬は散歩のとき、服がいるって聞いたことあるな。身体の体積が少ない分、冬は冷えるってことかな。まさか、家の中でも服が必要だったとは……しかも、犬が靴を履くって初めて聞いた。帰ったらすぐにネットで調べて取り寄せなければ)
佐藤:(なんとか服と靴は確保できた! でも、いきなり檻の中で飼われてしまいそうだ。掛川くんは、束縛がすごいタイプなのだろうか。それとも、『ヤンデレ』というやつだろうか。ちょっとだけ自信が揺らいできた)
掛川:一緒に暮らすからには、環境は出来るだけよくしたいと思ってるんだ
佐藤:ほんと? ありがとう。順応性は高い方だから、掛川くんの家でもやっていけると思うわ
掛川:ご飯は、缶詰中心にしようと思ってる
佐藤:缶詰ばかりなの!?
掛川:それ以外もあった方がいいのかな?
佐藤:むしろ、缶詰はたまににしてほしいわ。肉とか野菜とかバランスよくお願いしたいの
掛川:え!? 肉とか野菜食べるの!?
佐藤:そんなに驚くこと!?
掛川:そうなのか。やっぱ聞いてみないと分からないことってあるな
佐藤:そうね……
佐藤:(缶詰中心の食生活って……掛川くんって家庭になにか闇を抱えているのかしら?)
掛川:(犬って雑食だもんな。ドッグフードよりも缶詰の方が高級だと思って、缶詰アピールしてみたけど、まさか、肉や野菜の方がよかったとは……やっぱりブリーダーと普通の飼い主では与えているエサから違うんだな。じゃあ、今度はトイレをアピールして巻き返そう!)
掛川:あと、専用のトイレをもう設置済みです!
佐藤:そこまで!?
佐藤:(食事は貧相なのに、なぜトイレにそんなにこだわりがあるの!? 私は掛川くんと付き合ったら、掛川くんちで飼われるのだから、学校も掛川くんちから通うことになるのよね!? 朝とか混みあうから、家族が多い場合、専用トイレがあると嬉しいけど……)
掛川:トイレは俺が責任もって毎日ちゃんと掃除してやるつもりだよ!
佐藤:トイレは自分で掃除します!
掛川:え!? できるの!?
佐藤:バカにしないで! それくらい一人でできます!
掛川:やっぱ聞いてみないと分からないわぁ
佐藤:(それにしても、トイレ掃除もできないお嬢様と思われていたとは……せっかく、私専用のトイレを準備してくれるって言ってるんだから、掃除くらい自分でしよう。逆に、私しか使わないトイレを掛川くんに掃除してもらうのって違和感しかないわ。なんか、すごく恥ずかしいし。)
掛川:(犬って自分で自分のトイレ掃除するの!? 今日は知らなかったことばかりが次々出てくる。一応、犬を迎えるにあたって色々とネットで調べてみてはいたんだけど……やっぱりネットの情報は嘘が多く混じっていて、玉石混合って本当だな。ブリーダーの人の生の話が聞けて本当に良かった)
佐藤:(私たち付き合ったら、どんなお付き合いになるのかしら? 当初私がイメージしていたものとはちょっと違うから、ちゃんと聞いておきたいわ)
佐藤:(私たちが付き合ったら)どんなことをしようと思ってるのかな?
掛川:そうだなぁ、(犬を飼ったら)芸を覚えさせたいかな
佐藤:芸するの!?
掛川:教えれば普通出来るだろ
佐藤:が、頑張るわ。どんな芸がいいの?
掛川:チンチンかな
佐藤:ないわよ!?
掛川:教えたら何とかなると思ってるんだけど……
佐藤:教えられても無いものは無いわよ!?
佐藤:(私は、芸を仕込まれるのね。耐えてみせる。順応してみせる!……あとは、掛川くんからプレゼントを受け取るだけだわ)
佐藤:その……実は、来た時から気になっていたんだけど、その包みって……
掛川:ああこれ。実は、フライングして、首輪とリード買ってきちゃったんだ
佐藤:(包みを開けて首輪とリードを取り出す掛川くん。話だけなら冗談かもと思ったけれど、こうして首輪とリードを既に買って持ってきている。掛川くんは本気だ! 私は、掛川くんから首輪を付け取ると、自分の首に付けた)
掛川:え、ええ!? 佐藤さん!?
佐藤:掛川くん、これからよろしくお願いします
掛川:な、なにが!?
今こうして、学校近くの公園で新しいカップル(?)が誕生した瞬間だった。




