初心者マーク
運転は苦手だ。
必要以上に確認してしまう。
今日も、首の筋肉を傷め中だ。
黄色と緑のマークを付けて、今日も走る。
「本当に着くんでしょうね?」
「着くよ。道は間違えてないから」
「でも、確認しすぎでしょ? そのままじゃ、首、もげるよ?」
「黙っていてよ」
彼女は、いつも口を出してくる。
これが3回目のデート。
でも、彼女の馴れ馴れしさは、20回目のデート並だ。
「着いたよ」
「やっと着いたか。お疲れ様」
「うん」
でっかくそびえる、観覧車が見える。
子供の、はしゃぎ声が聞こえる。
これから、遊園地を楽しみたい。
「免許を取って、10年でしょ?」
「うん。でも、全然慣れなくて」
「その、初心者マークみたいなやつは?」
「オリジナルのステッカーだよ。10年経つけど、初心者だって分かってほしくて」
"ピピピ、ピピピ、ピピピ、、、、、、"
「お時間です」
無情にも、終わってしまった。
トイレ休憩や、カーナビ無視で、時間を食ってしまった。
「レンタル彼女は、これで終わります。これからすぐに、予約が入っていますので」
彼女の右胸にも、小さな小さな初心者マークが、付けられていた。