表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

女の子同士でキスをしたら子どもが出来ちゃう世界で、親友にキスされた

作者: しゆゆ

きっと怒られないはずです。

ギリギリセーフなはずです。

「ちょっ、ばっ、バカじゃないの!?」


私は親友の愛莉(あいり)から離れて、口を拭う。

このバカは、今したことの重大さを本当に分かっているのだろうか。


「女の子同士でキスなんかしたら、()()()()()()()()()()()()()()!!」


私たちはもう高校3年、つまり18歳で。

既に毎月アレの週間はやってきている。

そんな私たちがでぃ、ディープキスなんかしちゃったら、子どもが出来てしまう!


「バカ!ホントばかっ!しかも、私の方に舌を入れてくるし…!

私が妊娠したらどうするつもり!?」


女の子同士がキスをしたら、子どもが出来てしまう。

生物的にはあまりにも異常だけど、それは実際に起こってしまう。


人口があまりにも減少してしまった、超少子高齢社会の日本人女性だけに起こった進化。

キスだけじゃなく、女性同士で遺伝子情報を交換すると、受け入れた側の女性が妊娠する。

女性同士で出来る子どもは、全員女の子で、今では男女比が3:7になっている。

妊娠する確率は3%ほどらしいけど…キスなんか何回でも簡単に出来る。


今は1回だけだったけど…それでもっ!


「何か言いなさいよ!」


私が愛莉を睨み付けると、やっと愛莉は口を開いた。


日花(にちか)の口って甘いね」


「こいつ…!」


愛莉は特に表情を変えることなく、そんなことを言った。

なんでそんなに冷静なのか分からなくて、めっちゃ腹が立つ。


「あんた、本当にどういうつもり!?」


「だって、私のこと好きなんでしょ?」


「うぐっ」


「幼なじみで、親友の私のことが大好きって告白してきたのは日花じゃん」


そうなのだ。私は、つい5分ぐらい前にこいつに告白してしまったのだ。

今考えると、バカなことをしてしまった。


「私が、学校で男子に告白されてるのを見て、胸が痛くなったんだっけ?」


愛莉がにやぁと、口角を上げた。

今こいつが口にしたのは、私がさっき告白したときに言った言葉。


たまたま、放課後の教室に忘れ物を取りに戻ったら、愛莉がクラスの男子に告白されているのを目撃した。

別に、私は愛莉のことが好きだったはずじゃないのに、ついそこに横入りし、愛莉を家に連れて帰ってきてしまった。


そしてそのまま告白しちゃって…気付いたらキスされていた。


「それはそのっ、そうだけど…」


「じゃあ別に良くない?」


「よっ、良くないよ!」


「なんで?」


「なんでって…妊娠したら大変じゃない!」


「何が?」


「お金とか、学校とか!」


「お金は私が持ってるし、学校も、今妊娠しても春休みぐらいに出産でしょ?」


「たっ、確かに、愛莉は株でお金稼いでるし、もう6月だからそうかもしれないけど…あっ、大学もあるじゃん!」


「別に大学の授業は遠隔授業で良くない?私たちが受験するところって、家で授業を受けられるのが売りじゃん」


そうだった。大学の授業もどうにかなっちゃうんだった。

…あれ?じゃあ、別に問題はないの…?


「いや、いやいやいや、お母さんたちも怒るよ!だってまだ高校生だし!」


「怒らないでしょ。おばさんたちを思い出してみなよ」


うぅ…確かに、孫が可愛いって言ってる未来が見えるけど…。


「ちなみにうちは、自己責任でOKって言われてる」


「愛莉の家はそういうところだもんね…」


「ねぇ、まだ何か問題ある?もっとキスしたいんだけど?」


「うぐぐ…あ、待って!まだ愛莉の気持ちを聞いてない!」


私ににじり寄ってきていた愛莉を止めて、そう言った。

そうだった!まだ返事聞いてない!


「日花のこと好きだよ?じゃないと、こんなことしないし」


愛莉はサラッと、そう言った。

顔が熱くなっているのを感じて、恥ずかしくなる。


「そ、そんな軽い気持ちなの?」


「もう、まだ不満なの?ちゃんと言ったじゃん」


「そういうとこだよっ!なんか軽い!全然気持ちが伝わんない!」


「本当に伝わってない?顔も赤いし、日花なら分かってるよね?私が本気だって」


「むぅ…」


愛莉が即答するときは、本当のことしか言ってない。

それは、幼馴染みで親友の私はよく知っている。


「どっ、どこが好きなの?」


「全部。顔も好きだし、声も性格も言動も全部好きだよ」


「うぎゅっ」


凄く真剣な眼差しで、私を見つめる愛莉に、つい目を逸らしてしまう。

やめてほしい。そんなこと言われたら、もっと好きになってしまう。


「ねぇ、まだ何か不満があるの?」


「不満…」


よく考えると、断る理由はないのかな…?

いや、だめだめ、流されちゃダメ。

でも、学校もお金も親も、何も問題ないし…。

んー、何が引っ掛かるんだろ…。


あっ、そっか。


「私も愛莉の子どもが見たい」


「? 2人の子どもでしょ?」


「ちがう。愛莉が生んだ子どもが見たい」


「あ、そういうこと。

へー、つまりぃ、私を孕ませたいってこと?」


「そ、そういう言い方は良くないと思うっ!」


「でもそういうことでしょ。

日花は私を妊娠させたいんだぁ?」


愛莉がニヤニヤ見つめてくる。

やめて、恥ずかしいからそんな顔で見ないで。


「日花ってさー、結構むっつりスケベだよね」


「えっ!?」


「いっつも私をえっちぃ目で見てきてさー、本当に気付かれてないって思ってたの?

座って足を組んだら太ももを見てくるし、胸元の緩い服だったら上から覗こうとするし」


「そっ、そんなことしてない!」


「ほんとー?」


「本当ですっ!」


「そっかぁ。そういえば、この部屋暑いなぁ」


愛莉がそんなことを言いながら、制服のボタンを上から1つだけ外した。

あっ、今谷間が…!


「ガン見じゃん」


「あうっ」


ちくしょう、罠だった!

ついつい、ガン見してしまった!

やめろっ、ニヤニヤするな!


「ねー、いいじゃん。キスしようよぉ?」


「ちょっ、抱きついてこないで!?」


「なんでー?別に日花はむっつりスケベじゃないんでしょー?」


「それはっ、違うけどさ!?」


「じゃあいいじゃん」


「あっ、ちょっ!?」


右腕に柔らかいものが当たる。

腕の方を見ると、そこには白いものが…って!


「またガン見してるじゃん。ほらっ、もう認めちゃいなよ。

そして、私とチュッチュしよ?いつも誰かさんがえっちぃ目で見てくるから、私もそろそろ限界なんだけど?」


愛莉が首をかしげて、誘惑してくる。

凄くあざとい行動なのに、心がざわめく。


もう、いいんじゃないか?

だって、今までずっと大好きだった愛莉から誘われてるんだよ?


いや、いやいや、だめだめ!

まだ高校生だし!


「日花が妊娠したらさ、両親に言って、結婚届出しに行こうよ」


「えっ!?」


「そしてそのまま、2人で同居するの。

毎日同じ家から高校に行って、同じ家に帰ってくる。

学校の皆には内緒で、2人だけの秘密にして」


つい、愛莉の言った風景を想像してしまう。

今日愛莉に告白してた奴にも、いつも私たちと遊んでくれる友達にも、皆に秘密で同棲する。

私のお腹には愛莉の子どもがいて、それも秘密。


卒業式の頃にはさすがにバレてるだろうけど、その頃にはもう取り返しが付かない。

私は愛莉の赤ちゃんを産むしかなくて、そこには誰も入ってこれない。


「さすがに2人同時に妊娠して出産は大変だから、数年後に、私が日花の赤ちゃんを産んであげるよ。

想像してみてよ。私のお腹が大きくなっていて、私はお腹を撫でているの。その中には日花の赤ちゃんがいて、日花は私の赤ちゃんを抱っこしてるの」


「それは…凄く憧れる」


すごく、すごく、素晴らしい世界だと思う。

いつも2人と、2人の赤ちゃんと暮らしている。

それでも何回もキスしちゃって、どんどん妊娠しちゃう。

気付いたら片手じゃ数えられないぐらいの子どもがいて、全部私と愛莉の子ども。


「でしょ?それが今なら現実に出来るの。

日花が私を受け入れるだけで、そんな幸せな世界がやってくるの」


「愛莉を受け入れる…」


「そう。目を閉じて、私とキスするだけ。

ほら、目を閉じて?」


私は、愛莉の甘い言葉に導かれるまま目を瞑る。

すると、唇に柔らかいものが優しく触れてきた。


そしてそのまま、私たちは口を少し開き、ディープキスをする。

何回も何回も、キスをした。






半年後―――――


「ばかっ!なんで私たちが妊娠してることを皆に言っちゃうの!?」


「だって、聞かれたもん」


「あんた、もんとか言う性格じゃないでしょうに!」


「いいじゃん、別に隠すことじゃないし」


「それはそうかもだけど、でもっ!」


私は、自分と愛莉のお腹を見て、口を開いた。


「2人同時に妊娠したなんて、バカじゃない!」


そうなのだ!調子に乗ってキスをしまくってたら、2人とも妊娠しちゃったのだっ!

ばかっ、片方ずつって話はどこにいったのよ!

しかも、それを友達に聞かれたからって、教室で皆がいるときに言いやがって!


「だって、日花が可愛かったし」


「かわっ!?も、もうっ、すぐそんなこと言って!」


「日花、あんまり怒ると、赤ちゃんに悪影響だよ。

それに、私は日花の笑顔が好きだな」


「うぐっ…いつもそんなこと言って…」


赤ちゃんを出されると、さすがに怒れなくなる。

それを分かっていて言うんだから、愛莉は性格が悪い。


「ねぇ、そんなことより、しようよ?

今日も私のことをえっちぃ目で見てくる誰かさんがいて、ムラムラしてるんだけど」


「っ!?わ、わたしじゃないからね?!」


「別に日花って言ってないんだけど…もしかしてえっちぃ目で私のことを見てたの?」


「あっ、いやっ、ちがくてっ!」


「ふーん。まあいいけど。

ほら、こっちきて」


愛莉が私を誘ってくる。

その目は、半年前から変わらなくて。

ニヤニヤしつつも、真剣な眼差しで、キュンキュンする。


私は、そんな愛莉の目も好きになってしまっていて。


ふらふらと誘いに乗ってしまうのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] こんな世界で百合し放題、素敵ですね!
[一言] 結構好き
[気になる点] こんな世界で男女比3:7なわけなくない?男同士でもそうならまぁわかるけど
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ