Red Cliffs (1)
僕は気力を振り絞り、大喝した。
「ようやく僕を殺す気になったのか?!なら上等だ!」
魔王は顔をしかめた。
「死のことを考えざれと言ったんでは無いか?お姉ちゃんの言うことをちゃんと聞け!」
魔王は夢で見た黒龍に化けて、尻尾で僕を口元に運んだ。
「僕を食べる気か・・・?!」
魔王は何も答えずに、ただ深淵見たいな目で僕を凝視した。
そして、僕の体を背中まで運んで、放した。
え・・・?これは、食われているより、騎乗させているようにしか考えない・・・
「しっかり掴まれ。離陸す」
突然、ゴォォーと轟音が耳に響いた。そして、岩雪崩に巻き込まれたかのように、僕は不可抗力の力に魔王の背中に押し付けられた。
「なんだよ、これ・・・?!」
「離陸だ。周りを見よ」
押す力が緩んだら、僕は顔を上げて前を見る。
遥か彼方の地平線に、静寂な紺碧の空と渦巻く銀色の雲が混ぜあい、完璧な一直線の輪郭を示す。
いや。一直線ではない。空と雲の交差点は、真っ先の方は左右の方より高度が高い。曲線だ。これは、地球が丸いの証明になるのかな・・・?
それに、これは地平線より、雲平線と言うべきかな・・・?
「U ターンす」
突然、僕の視界は横転した。右を見ると、無限に広がる空だ。左を見ると、雲だ。
「おい!このままじゃ僕落ちてしまうよ!」
「求心力があるから、落ちる恐れは無い」
僕はもう一度、抗えない力に鱗夢の背中に押し付けられた。
「U ターン完了。前を見ば赤土ノ滝が見える」
横転が元に戻ったら、僕は慎重に顔を上げて、目の前に広がる光景を見渡した。
「すごい・・・」
下にある雲海は前に伸ばし、遠くに霞む山の寸前に絶する。乾鮭のような土に浅葱色の川が流れて、山の高原が崖に到る所で滝口になる。滝の頂上から最初の十数メートルは近づけば近づくほど激しい反射光を放ち、まるで薄青い太陽を見ているかのようだ。そしてその下は雲の下に隠れている。
それが多分、赤土ノ滝だ。
「これが、噂の紅山脈か・・・?」
「正に。滝沢は紅山脈の麓にある。荒地が近い故、滝沢に緑はあまり無い。その代わり、紅山脈の粘土が一番よく見える」
「こんな綺麗なはず、じゃなかった・・・悪魔は、大自然を腐敗させようとしてたんじゃない?」
「デタラメを。そんな魔法を使うのは人間しか無い」
ふと、魔法使いの顔が意識に浮かんだ。そして、強い罪悪感が感じた。
「そう言えば、あの魔法使いが妾に消滅の魔法を掛けんとしたのう。紫紺の炎を呼び出せるとは、一流な魔法使いらし」
「・・・魔法使いさんを、恨んでいる?」
「恨んでおらぬ。清石達は義務を果たそうとしておっただけだ。如何にせよ、あの子に妾を傷付けることは出来ぬ」
僕らは滝の頂上に着いたら、鱗夢は雲海の中に沈み始めた。
「下りながらの景色は、一番よし」
雲の下から出たら、僕は再び滝の方を見る。流星が夜空を駆けるように、儚い煌めきが滝の水面を走る。崖そのものは地層が重なって、上から見えた乾鮭色だけじゃなく、赤色系統と橙色系統の地層が多くある。鱗夢の髪色に似たような大きな地層に目を引かれると、そこにはーー
「ーー崖に、ヤギが?!」